父親の育児休暇は、アメリカとヨーロッパでこんなに差がある

育児の専門家によれば、母親だけでなく父親も育児休暇をとることには大きなメリットがあるという。世界の中でも育児休暇が充実していることで知られている、ヨーロッパの国々の育休の状況をまとめた。
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日本では、なかなか男性の育児休暇取得が進まないことが問題となっているが、育児の専門家によれば、母親だけでなく父親も育児休暇をとることには大きなメリットがあるという。

ニューヨーク大学の応用心理学名誉教授で、育児の専門家としても知られるローレンス・バルター氏は「子供にとって父親の役割がとても大きいことが多くの研究からわかっている」と話し、父親が赤ちゃんと一緒に過ごす時間を十分にとり、強い絆を結ぶことの重要性を強調した。

また、社会心理学者で育児専門家のスーザン・ニューマン博士も「父親も、母親と同じように自分の赤ちゃんと親密な関係を築けます。だから、父親にとっても赤ちゃんと可能な限り一緒に過ごすことは大切なことです」と話した。

2013年に国際労働機関(ILO)が167カ国を対象に行った、世界の育児休暇の調査では、対象国のうち47%が出産休暇を法律で義務付けていた。

アメリカは、先進国の中で、唯一育児休暇が法律で義務付けられていない国だが、人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が発表した2013年のレポートによると、育児休暇がない環境にはデメリットがある。

レポートによれば、有給の育児休暇がないと、労働者の健康面、金銭面、そしてキャリアアップに悪い影響を及ぼす。そして、アメリカで有給休暇制度が存在しないため、生産性の向上や離職率の低下の足かせとなっていると指摘している。

一方で、充実した育児休暇制度で知られているのがヨーロッパだ。

下の表はアメリカ・ベルギー・デンマーク・フィンランド・アイスランド・ノルウェー・スウェーデン・フランス・スペインの9カ国の父親の育児休暇の状況をまとめたものだ。

四角は一日を表しているが、その中で、濃い緑の四角は「父親専用の育児休暇の日数(有給・無給含む)」、薄い緑色の四角は「両親のどちらかがとることができる育児休暇の日数(有給)」、緑の斜め線が入った四角は「両親のどちらかがとることができる育児休暇の日数(無給)」だ。

父親専用の育児休暇が最も多いアイスランドでは、父親たちは120日の休暇を取得できることが分かる。また、スウェーデンでは、父親と母親あわせて480日(約16カ月)の有給育児休暇を取得することができる。

父親の育児休暇比較 アメリカ:育児休暇なし、ベルギー:10日(両親どちらでもとれる育児休暇17日)、デンマーク:14日(両親どちらでもとれる育児休暇22日)、フィンランド:54日(両親どちらでもとれる育児休暇158日)、アイスランド:120日(両親どちらでもとれる育児休暇90日)、ノルウェー:70日(加えて給与全額が支払われる26週の育休か、給与の80%が支払われる36週の育休のどちらかを選ぶことができる)、スウェーデン:60日(両親どちらでもとれる育児休暇420日)、フランス:10日(両親どちらでもとれる育児休暇6カ月)、スペイン:15日(無給の育児休暇3年)

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:佐藤卓/ガリレオ]

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