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「みんな違って、みな同じ」LGBTに優しい都市ベルリン、初夏の風物詩(画像)

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旅行ガイドのロンリープラネットによれば、ベルリンはLGBT(性的マイノリティ)に優しい都市として、世界第6位に位置する。確かに、LGBTのシンボルであるレインボーのフラッグを掲げた店舗や一般住宅を見ることは珍しくない。ベルリン前市長のクラウス・ヴォーヴェライトを始め、自身が同性愛者であることをカミングアウトしているドイツの政治家もいる。

そのベルリンでは、6月から7月にかけて合計で200以上ともいわれる大小のイベントが開かれている。中でも核となるのが、去る6月20・21日に開催された第23回「レズビアン・ゲイ・シティフェスティバル」と、6月27日に行われた第37回「クリストファー・ストリート・デー」の2つだ。どちらも長い歴史を持つ、ベルリンの初夏の風物詩となっている。ベルリンは、どうやってLGBTに優しい都市になっていったのか。イベントの様子をレポートする。

■LGBTイベント、ゲイ住民の多いエリアで開催

「レズビアン・ゲイ・シティフェスティバル」は、LGBT関係の団体や政党、企業など各種ブースと、飲食の屋台が路上に並ぶ、縁日のような雰囲気のお祭りだ。そのスペースは合計で2万平方メートルに及ぶ。

開催場所であるシェーネベルク地区のノーレンドルフプラッツ駅周辺は、ゲイ住民が多いエリアとして知られている。しかし、当然ながら異性愛者も外国人も暮らしており、ベルリンでも人気エリアのひとつだ。多様性という点では、非常にベルリンらしいエリアといえる。

フェスティバルでは、政党関係、企業関係など出展者の性格ごとに6つのカテゴリーに分かれてブースがまとまっている。各ブースでは資料が準備されているほか、ゲームなどのアトラクションを用意しているところもあり、楽しみながらLGBTについて触れられる。

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レズビアン・ゲイ・シティフェスティバル
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■ファミリーの来場者も多く、子供向けのパンフレットも

来場者は非常に多彩だ。LGBTのお祭りだからといって、特定の人々しか訪れないわけではない。小さな子供を連れたファミリーも多く見られる。

出展ブースのひとつである「ベルリン・ブランデンブルク州レズビアン・ゲイ連盟」のメンバーは、「小学4年生から20歳ぐらいの生徒を対象に、学校で多様性についての授業もしています」と話す。

LGBTだけでなく、それも含めた人々の多様性を教えるのがポイントで、生徒たちからはポジティブな反応が返ってくるという。ブースでは、子供向けのパンフレットも数多く用意されていた。

lgbt
出展ブースのには子供向けのパンフレットも

■政党も毎年ブースを出展「一歩ずつ歩んできました」

このお祭りには、ドイツ社会民主党(SPD)や緑の党といった政党も毎年ブースを出している。近年結成されたPiraten(海賊党)も、それに加わった。緑の党では「ドイツでもLGBTに対する偏見や差別は多かったんです。私たちは政府への質問や提案を通して、一歩ずつ歩んできました」と言う。

スポーツジムなどの商業施設もブースを出展しているため、このフェスティバルを「商業主義化した」と評する市民もいる。しかしそれにより、多くの人々が訪れるようになるのなら、それは本来の目的に適っているのではないだろうか。

■市内を横断する「クリストファー・ストリート・デー」

来場者が各ブースを回る「レズビアン・ゲイ・シティフェスティバル」に対し、「クリストファー・ストリート・デー」は参加団体がベルリン市内を横断するデモだ。2015年は53団体が参加。以前は行進をパレードと称していたが、今年からはデモと呼ぶように変更された。

とはいえ、これまでのにぎやかな要素は変わらない。派手なメイクと衣装で練り歩く参加者もいれば、横断幕を掲げて歩く人々もいる。沿道にいる見物客たちの前をゆっくりと進んでいく参加団体のトラックには、手を振る人々と大音量の音楽を流すスピーカー。その後ろから大勢の人が、音楽に合わせて踊りながら付いていく。行進する人々の笑顔が印象的だった。

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「クリストファー・ストリート・デー」
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■スローガンは「みんな違って、みな同じ」

筆者はこの「クリストファー・ストリート・デー」を過去に何回も見ているが、今年は開催直前にアメリカの最高裁で同性婚を認める判決が出たばかりとあってか、例年にも増して希望と明るさが感じられた。

今年の「クリストファー・ストリート・デー」のスローガンは、“Wir sind alle anders. Wir sind alle gleich“(みんな違って、みな同じ)。

LGBTの問題は、まさにこのスローガンに集約されているように思う。誰もが、人として同じで平等である。誰もが、人間としての尊厳を持って生きていける。多様性を認める社会は、誰にとっても居場所があるのではないだろうか。

そうした社会になるにはまだ時間がかかるだろうと思う一方で、何かひとつきっかけがあれば、案外急速に変わっていくのではないかという気持ちもある。

■40年連れ添った男性カップル「70年代に一緒に暮らせるように」

「レズビアン・ゲイ・シティフェスティバル」に来場していた、年金生活を送っている男性カップルはこう語っていた。

「私たちは40年以上連れ添っていますが、つきあい始めた当初は、同性同士でアパートを借りるのはおろか、異性同士でも結婚していなければ一緒に住むことが許されない時代でした。70年代に入って初めて男性同士で暮らせるようになったんです」

「家のご近所さんたちには、いきなりカミングアウトせずに、自宅にお茶に招いたりして少しずつ理解を得てきました。今の若い同性カップルは自分たちと違って、人前で手をつないだりしていますが、それもいいことだと思います」

ドイツでは、同性パートナーシップ制度はあるが、同性婚は現在認められていない。しかしアメリカや諸外国の動きを受けて、今後ドイツもまだまだ変わっていくことだろうと思う。

(ベルリン在住ライター 久保田由希

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