新国立競技場、「特殊だから」という理由だけで765億円 スタジアムだけでも通常の3倍

新国立競技場は「特殊だから」という理由で765億円も高くなっていた。スタジアムの部分だけでも、通常の3倍との指摘もある。

新国立競技場は「特殊だから」という理由で765億円も高くなっていた――東京オリンピックのメーン会場となる新国立競技場について話し合う有識者会議が開かれ、2520億円の総工費が認められた。2014年5月に計算されていた1625億円という予算より約900億円も高い額だ。

この日の会議で、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は、資材や人件費の上昇で350億円、そして消費増税分で40億円増えたと説明。さらに、アーチ2本で建物を支える「キールアーチ」というデザインの特殊性によって、765億円がかさんだことも明らかになった。

過去のオリンピック主会場の総工費と比較すると、北京大会(2008年)が約500億円、ロンドン大会(2012年)が約800億円で、新国立競技場が突出。特殊性だけで750億円も高くなることについて、批判が出ている。

「キールアーチ」を採用したのは、建築家の安藤忠雄氏を委員長とする審査委員会だったが、この日、安藤氏は有識者会議を欠席。JSCの河野一郎理事長は特殊性によって費用が増えたことについて「予測できなかったこと」と弁明した。遠藤利明オリンピック・パラリンピック担当相は、「建物の特殊性という意味で『費用が高い』と言われれば確かに高いと思うが、ある程度はやむをえない。後ろ向きではなく逆にPRして世界に発信していくという思いで造ったほうがよい」と述べた

一方で、キールアーチ部分を除いても、費用が高過ぎるという批判もある。

新国立競技場はもともと、約1300億円の整備費で建設されることになっていたが、コンペで選ばれたザハ・ハティド氏の案では3000億円以上かかることが明らかになり、2014年にJSCが大幅に規模を縮小し、1625億円規模の修正案を公開。しかし資材高騰などが影響し2520億円かかることが判明したが、結局、このまま建設されることが決まった。

なお、今回発表された費用計画では、大会後に整備が予定されている開閉式の屋根や、仮設席約1万5000席の設置費用は見積ができないなどとして2520億円に含まれておらず、最終的には3000億円近い費用がかかる可能性が高いとみられている。

ザハ・ハディド氏の当初の案

新国立競技場のデザインたち

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