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東芝不適切会計の究明大詰め、経営陣の責任が問われるのは必至

2015年07月09日 20時31分 JST | 更新 2015年07月09日 20時31分 JST
Reuters

[東京 9日 ロイター] - 東芝の不適切会計をめぐる第三者委員会の調査で、リーマン・ショックや東日本大震災による業績悪化の中、厳しい予算目標が圧力となって問題が広がった構図があぶりだされつつある。営業利益の減額修正の規模だけでなく、経営トップの方針が不適切会計に結びついた因果関係の究明が焦点。

田中久雄社長や佐々木則夫副会長ら経営陣の責任が問われるのは必至の情勢だ。

外部の弁護士などがメンバーになっている第三者委員会の報告は7月中旬に公表される。関係者によると、同委は経営陣や管理職へのインタビューをほぼ終了し、来週以降に予定される報告書の取りまとめに向けて事実認定の作業に入ったもようだ。収集した情報は、関係書類や担当者間でやり取りしたメールなど広範囲に及んでいる。

不適切会計問題について、東芝はこれまでに2009―2013年度の5年間で累計548億円の営業利益が過大に計上されたことを明らかにした。インフラ関連が中心で、2011年11月に受注した高速道路の自動料金収受システム(ETC)と2013年9月に受注した次世代電力計(スマートメーター)の2案件が大きい。

いずれも、受注時に原価割れを知っていながら、実現不可能なコスト削減計画で、損失処理を先送りしたことが判明した。 インフラ関連だけでなく、半導体、パソコン、テレビの部門を含めれば、不適切会計による営業利益の過大計上額は1500億円超に膨らむ見通し。

第三者委員会では、正確な過年度の営業利益の下方修正額について「会計士を中心に集計中」(関係者)だが、すでに調査の焦点は、不適切会計が発生した原因の究明に移っているもようだ。田中社長は記者会見で「高い予算達成目標」が要因にあったことを認めており、同委は経営陣からの事業部門への圧力が実際の不適切な会計処理とどう結びついたのか、因果関係の裏付けを進めている。

<「故意」や「意図」の認定が焦点>

背景にあるのは、2008年のリーマンショックで、同社が巨額赤字を計上してからの経営状況だ。2009年6月に就任した佐々木則夫前社長(現副会長)は、携帯電話や中小型液晶の不振事業を売却する一方で、原子力発電事業と半導体の2本柱に注力していく。収益のブレが大きな半導体を原発事業で支えるはずだったが、2011年の東日本大震災を契機に、原発事業の先行きに暗雲が漂う。

原発事業に代えて同社が期待したのは、不適切会計が発覚したスマートメーターとETCなど、インフラ関連の新規事業。特に、スマートメーターは、震災後の2011年7月にランディス・ギアを買収し、この通信技術を応用した受注案件は東芝の将来を占う事業だった。

決算期ごとの「見積もり」に応じて費用計上する工事進行基準のルールの中で、実現する可能性の低いコスト削減計画で損失を先送りした背景には「その年の決算だけ乗り切れば済むとの意図があったのかもしれない」(東芝関係者)との見方が出ている。

トップの期待が高い新規事業の結果を求め、現場で数字を無理に作った実態があったとすれば、そこにはどんな指示が働いたのか。問題が発覚した発端は、証券取引等監視委員会の報告命令だが、不適切会計に「故意」や「意図」が認められれば、金融商品取引法による処分の重要な判断材料になる。

<役員交代だけでは不十分との声も>

不適切会計の利益過大計上の金額が膨らむにつれて、田中社長、前社長の佐々木副会長ら経営陣の責任を問う声は日増しに高まっている。東芝は、 第三者委員会による不適切会計の原因究明の事実認定を基に経営陣の責任を明確にする方針。9月下旬めどの臨時株主総会で新たな役員体制を選出する。

企業不祥事に詳しいある弁護士は「この問題で経営陣の責任は免れないが、誰かを辞めさせるだけで解決するわけではない。ガバナンスの優等生のはずだった東芝の内部で一体何が起こっていたのかが明確に解明されなければならない」とし、問題に至った経緯や動機、企業風土にまで踏み込んだ原因究明を求めている。5月15日に設置された第三者委は、わずか2カ月の調査期間で、最後の詰めを急いでいる。

(村井令二 取材協力:安藤律子 編集:北松克朗)