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ボストン美術館の「キモノ試着イベント」が中止に 理由は人種差別、白人至上主義?

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ボストン美術館は7月7日、巡回展で行われていた着物の試着イベント「キモノ・ウェンズデー」を「人種差別だ」という抗議を受けて中止にした。

中止となったのは、クロード・モネの「ラ・ジャポネーズ」の前で着物に触れてみたり、試着して絵画の前で記念撮影できるイベント。ソーシャルメディア上で「文化的に無神経で人種差別だ」との抗議の声が広がり、美術館の現場で抗議する人たちも現れた。批判はさらにエスカレートし、「用意された衣装は正確に言うと着物ではなく打掛だ」という抗議まで起きている。

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クロード・モネの「ラ・ジャポネーズ」

モネのオリエンタリズム作品の真似をして、白人のモデルが着物と扇子を持ってポーズをとっている。

美術館は7月29日まで行う予定だった「キモノ・ウェンズデー」を中止すると発表した。

ラ・ジャポネーズ」は、日本芸術を愛したモネが、妻のカミーユ・ドンシューに扇子と着物を着せてポーズをとらせている1876年ごろの絵画作品。1870年代にパリを席巻していた日本ブーム「ジャポニスム」の代表的作品だ。「キモノ・ウェンズデー」では、来館者に似た服装をしてもらうことで「自分の中のカミーユ・モネを呼び起こす」ようにしてもらうことが目的だったという。

奇妙なのは、この作品が「ジャポニスムをバカバカしい、フェティズム的な流行として風刺したもの」とたびたび解釈されることだ。ボストン美術館は、その当時のオリエンタリズム(東洋研究、東洋趣味)について議論を活発化させる代わりにその作品自体のちょっとしたフェティシズムの論争を巻き起こしてしまった。

今回の抗議を行った「Stand Against Yellow Face」は、Tumblrでこの作品の"白人至上主義的な側面"についてくわしく説明している。

「モネまでもが批判されたもので人を呼び集め、ドレスアップさせ、参加させることに何の価値があるのか? 日本人女性の経験をさせたいのなら、なぜ葛飾北斎の浮世絵を選ばなかったのか? あるいはどうして1870年代のブームに関して歴史的な文脈や批判を議論にしないのか?」

直接美術館に抗議しに来た人たちは、こんなメッセージを掲げていた。

「着物を着てキュートでエキゾティックに見えたとしてもあなたはレイシストではない。ボストン美術館がこんなサポートをする以外は!」

「Stand Against Yellow Face」のFacebookページには、「着物の起源、歴史、使用方法、そして当時の日本社会での重要性について説明されていない」と書かれている。「日本人ではない美術館職員は、訪問者に着物を放り投げるように渡すし、"コスチューム"イベントだと思っている。これはアメリカ国内のアジア系アメリカ人としての私たちのアイデンティティや経験、そして歴史に対する侮辱であるばかりか、社会全体に固定観念を植え続け、今の私たちの声を否定し続ける影響もある。博物館の職員と訪問者が、こんな白人至上主義の"コスチューム"イベントにはよく考えて参加するよう望む」

「Stand Against Yellow Face」のTumblrでは、なぜ、日本の伝統衣装がこのような形で展示されるのか、その「背景」についても詳しく述べている。イベント自体は攻撃的でなくても、損害を与え、精神的に傷つけるものだという。「オリエンタリズムの影響で南アジア、東アジア、そして中東の伝統的なさまざまなカルチャーがエキゾティックになる。そしてその結果、現在まで攻撃的な姿勢がオリエンタリズムの人々に向かい続ける」

ボストン美術館では、なぜ日本風の衣装を着ることが事件になるのか、素敵な対話が7日に行われた。

7日、ボストン美術館は声明を発表し、プログラムを変更して訪問者には着物に触れたり、ディスプレーで歴史的に正しい着物の知識について紹介するとしながらも、着物を着る内容は停止した。

ボストン美術館のケイティ・ゲッチェル副館長はイギリスの「オブザーバー」紙の取材に、「キモノ・ウェンズデー」は日本の東京・世田谷美術館や京都市美術館、名古屋ボストン美術館などで「ラ・ジャポネーズ」が貸し出された時、同様のプログラムが好評だったのである程度は成功するだろうと思っていたと述べた。

7日の声明で、ボストン美術館は不快に感じた訪問者に対して謝罪した。抗議したアパルナ・"パンピ"・ダスさんはBBCの取材に対し、ボストン美術館の声明は出たが、公式に謝罪するまでは抗議を続け、抗議側の人間を含む形で公開の討論会を行うと述べた。

ボストン美術館はハフポストUS版からのメールでの取材に対し、抗議する人たちからの新しい要求についてはコメントしないとの回答を寄せた。

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Impression, soleil levant: l'histoire du chef d'oeuvre de Claude Monet
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この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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