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ジンバブエのライオン「セシル」殺害は正当化される?「狩猟許可料は貴重な収入源」

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LION PARK
A general view of a lion in an enclosure of the Lion Park, in Johannesburg, South Africa, Tuesday, June 2, 2015. (AP Photo/Themba Hadebe) | shutterstock
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「ジンバブエで最も有名なライオン」と呼ばれていた野生ライオン「セシル」がアメリカ人歯科医師のウォルター・パルマー氏に殺されたというニュースは、大勢の人たちの怒りに火をつけた。

レビューサイト「Yelp」のパルマー氏が務める歯科医院のページには、パルマー氏を「殺害者」と非難するコメントが殺到しており、現在閉鎖中の歯科医院の外には地元の人々により追悼の場が設けられた。

パルマー氏は、地元ミネソタ州の新聞スター・トリビューンに「しとめたライオンが、地元でよく知られた人気のあるライオンだったこと、そして研究対象になっていて首輪をつけられていたことを、狩猟が終わるまでまったく知りませんでした」という声明を寄せている。しかし、彼は狩猟が禁止されている国立公園からセシルをおびき出し、弓を撃って弱らせた上で殺害しており、密猟の罪に問われる可能性がある。

今回の狩猟をするにあたり、パルマー氏は約5万5000ドルを支払ったとされている。このように、数十万ドルもの大金を支払って野生動物を対象にした狩猟をすることは「トロフィー・ハンティング」と呼ばれ、南アフリカやナミビア、タンザニアなど、アフリカの多くの国で合法的に行われている。

トロフィー・ハンティングで、毎年推定600頭のライオンが合法的に殺されている一方、狩猟許可料は貧しいアフリカの国にとって貴重な収入源にもなっている。実際、今回セシルが殺されたジンバブエも、観光収入のおよそ3.2%にあたる約2000万ドルの収入を、トロフィー・ハンティングから得ている。

そのため、規制するのではなくトロフィー・ハンティングから得られる収入で野生生物を保護すればいいという意見もある。たとえば世界銀行は、貧困を緩和するために2014年にモザンビークに4000万ドルあまりの助成金を提供したが、そのうち70万ドルを、トロフィー・ハンティングの強化に割り当てた

しかし、野生動物の生息地が減っていくなかライオンなど狩猟対象として人気の高い動物はすでに減少傾向にあり、保護活動家たちは、トロフィー・ハンティングは不要な殺戮だと主張する。

アフリカで狩猟対象として人気の高い動物「ビッグ5」はゾウ・クロサイ・アフリカスイギュウ・ライオン・ヒョウだが、ほぼすべての種が絶滅の危機にさらされている。そして、動物たちが希少になるにつれ、ハンターたちの狩猟熱がさらに高まって狙われやすくなるという悪循環も見られる。

たとえば、クロサイの数は現在5000頭を下回り、絶滅の危機に瀕している。また、象牙目当ての密猟によって過去3年で10万頭のアフリカゾウが不法に殺され、その結果アフリカ大陸中央部ではこの10年でアフリカゾウが半分以下になった。ライオンも過去20年で42%減少し、西アフリカではわずか400頭しか残っていない。

国際動物福祉基金(IFAW)の地域ディレクターを務めるジェフリー・フロッケン氏は「動物を殺すためにお金を払う人は、野生動物を保護する人ではない。動物を守るために動物を殺す必要はないのです」と話している。

また、トロフィー・ハンティングから得られる収入で、自然保護プログラムを支援したり、貧困を緩和することができるという主張に対しては、過去の調査から、トロフィー・ハンティングから得られる収入のうち、地域社会に還元されるのはわずか3%で、ほとんどが腐敗した政府関係者や、狩猟を手配する外国の旅行業者たちの懐を潤しているということが分かっている。

野生生物保護には持続的な資金供給が必要だ。そのため、アメリカ・アイダホ州ボイジーにある環境保護経済研究所のエヴァン・ヒェルプ所長は、狩猟許可料が野生生物保護プログラムを支援することがあると認めつつも、「トロフィー・ハンティングから、多くの収入を得ることが出来ますが、トロフィー・ハンティングを嫌う別の支援者が、資金の提供をやめるという逆効果になる可能性もあります」と指摘する。

さらに、ほとんどの人がトロフィー・ハンティングを好ましくないと感じている。IFAWによって委託された2011年の世論調査では、アメリカ人の70%が「ライオンを見るためにお金を支払ってもいい」と回答したが、「ライオンを殺すためにお金を支払ってもいい」と回答した人は7%を下回った。

トロフィー・ハンティング以外にも、利益を得る方法はある。たとえば、野生動物の写真を撮ることができる「ネイチャーツーリズム」は、狩猟を許可するよりもずっと収益性が高い。

ある報告書によれば、エコツーリズムでは、ゾウ1頭当たり160万ドル以上の収入を得ることができるのに対し、闇市場で象牙を売って得られる利益は2万1000ドル程度だという。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:梅田智世、合原弘子/ガリレオ]

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