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【新国立競技場】ザハ事務所が新たな声明「コンパクト案はワールドカップ招致への影響も考えているのか?」

2015年08月09日 01時50分 JST | 更新 2015年08月09日 01時54分 JST
JSC

単純に、小さなスケールの建物を建てるだけでいいのか。今後のワールドカップ招致などへの影響も考えているのか――新国立競技場の建設見直し作業を巡って、建築家のザハ・ハディド氏の事務所は8月7日、遠藤利明五輪相が建築家の槇文彦氏から意見聴取を行ったことに抗議する声明を発表した。コンパクトな設計を提案する槇氏らのグループに対し、ザハ氏らは大会後の競技場利用方法について指摘。これまで計画に携わってきたなかで「恒久的な座席数を減らした場合、それが国内・国際競技の開催にどんな影響を及ぼすか、例えばサッカーワールドカップが開催できるかといったこと」も試算しているとして、実績をアピールしている。

槇氏はかつてより、ザハ氏の新国立競技場原案デザインについて「2本のアーチで屋根を支える構造が工期の長さとコスト増大につながっている」と問題視。7月末には新国立競技場の収容人数を、大会後は8万人から5〜6万人に減らせるようなコンパクトな競技場にするような案を発表しており、8月6日に遠藤五輪相と面会した際にも、同様の提案をしたとみられる。

8月8日付の読売新聞では、政府は新国立競技場について、スポーツジムなどを含めた多目的施設を想定していた旧整備計画と異なり、新計画では簡素なスポーツ専用施設にすることを基本方針とする方針だと報じられた。

一方、ザハ事務所側は7月27日、ザハ氏の署名入りで「ザハ氏側には、新国立競技場のプロジェクトでこれまで積み重ねてきた知識と経験があり、よりよい競技場を造るための手助けができる」などとする書簡を、安倍首相に直接送付した。

しかし、政府からの反応はなく、遠藤五輪相が槇氏と面会したことに納得がいかなかったようだ。今回の声明では槇氏の提案を「単純にこの敷地により小さなスケールの建物を建てたいという彼の望みを示しているだけ」と批判。「新国立競技場の本質的な要求であるコスト効果が高くサステナブル(持続可能)な国立競技場をスケジュールに合わせて完成させる、この目的について触れられていない」と指摘している。

以下、声明全文(原文ママ)。

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新国立競技場、ザハ・ハディド・アーキテクツ 

2015年8月7日

ザハ・ハディド・アーキテクツ(ZHA)は、先日の遠藤オリンピック担当大臣と槇文彦氏の面談が、新国立競技場の本質的な要求であるコスト効果が高くサステナブル(持続可能)な国立競技場をスケジュールに合わせて完成させる、この目的について触れられていないと感じています。スタジアムのデザイナーとして選ばれたZHAは、このプロジェクトと敷地についてとても多くの知識と経験を持っており、現実的解決方法を新たに提案できます。

槇氏の提案は、単純にこの敷地により小さなスケールの建物を建てたいという彼の望みを示しているだけです。ZHAと私たちの日本側パートナーは2013年のデザイン初期段階において、仮設席を使った小さなスタジアムの提案を検討しました。しかしこのオプションは、固定8万席規模の国立競技場というクライアントの要求に合致しませんでした。この要求は、専門家による2020年以降の年間収益予測に基づいたスタジアムのビジネスプラン、またはJリーグなど主な将来のユーザー達の要求など、これらを合わせて導かれたものです。スタジアムの長期的なビジネスプランは、常に恒久的な座席数8万席から-これが常にデザインのベースとなりました。現在の8万席を擁したデザインは、諸官庁の詳細な要件を満たしており、オリンピック・パラリンピックに必要な安全性やセキュリティを2020年以降も満たします。元のデザイナーである私たちは、今後変更されるであろう与件に合わせた変更を行う準備ができています。例えば、恒久的な座席数を減らした場合、それが国内・国際競技の開催にどんな影響を及ぼすか、例えばサッカーワールドカップが開催できるかといったことです。日本の国民と政府が、過去2年にわたって現在のチームにかけた時間、努力そして投資を有効に使えば、2020年のオリンピック・パラリンピックはもとより、当初の完成予定であった2019年のラグビーワールドカップに間に合わせることもできるでしょう。

私達は既に安倍首相へ計画見直しの協力を申し出る書簡を送り、返信を待っております。

新国立競技場のデザインたち

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