東芝、決算発表を7日に再延期 新たな不正会計が10件

不正会計問題に揺れる東芝は31日、同日予定していた2015年3月期の決算発表を延期すると発表した。
Masashi Muromachi, chairman and president of Toshiba Corp., reacts during a news conference in Tokyo, Japan, on Monday, Aug. 31, 2015. Toshiba delayed release of its fiscal 2014 earnings after discovering additional accounting issues that required further investigation. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images
Masashi Muromachi, chairman and president of Toshiba Corp., reacts during a news conference in Tokyo, Japan, on Monday, Aug. 31, 2015. Toshiba delayed release of its fiscal 2014 earnings after discovering additional accounting issues that required further investigation. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images
Bloomberg via Getty Images

不正会計問題に揺れる東芝は31日、同日予定していた2015年3月期の決算発表を延期すると発表した。新たに10件の会計処理の疑いが発覚し、連結決算の確定が遅れたため。同日が期限だった有価証券報告書(有報)の提出は、9月7日に再延長した。

もともと15年3月期の有報提出は6月30日が期限だったが、同社は5月29日付で、不正会計問題の調査を理由に8月31日に延期すると発表。これに向けて8月18日には、連結当期純損益を除く業績予想を公表し、31日の決算発表と有報提出の準備を整えていた。

しかし、31日夜に記者会見した室町正志社長は「18日以降、新たに約10件の事案が発覚した」と説明。内訳は、国内外子会社の会計処理、固定資産の減損額の計算ミス、米国子会社の工事進行基準案件の引当計上の処理で、これによって決算が確定したのは27日となり、監査法人への提出は30日に遅れた。

ただ、室町社長は「新たな事案は巨額になるということではない」とも述べ、これまで公表した総額2130億円の不正会計金額の大きな変更にはつながらないと強調した。

さらに、米国子会社で発覚した工事進行基準の処理の疑いも「ウエスチングハウスではない。米国の水力案件のコスト見直しだ」と説明。18日に公表した連結業績予想(営業利益1700億円、税引前利益1400億円)についても「大きな差は出ていない」とした。

新日本監査法人からは、監査完了までに7日程度が必要との連絡を受けており、再延期の期限を9月7日とした。室町社長は「深く責任を感じている」と陳謝。その上で「万が一の事態に至った場合は進退問題含めて責任をとる」と述べ、新たな期限までに必ず決算を発表し、有報を提出するとの意向を強調した。

■ 上場維持へ正念場の東芝、17日が有価証券報告書提出の最終期限

もし、同社が示した9月7日の期限に同報告書を提出できなかった場合、そこから8営業日後の17日まで未提出なら、東京証券取引所の上場廃止基準によって上場廃止に追い込まれる。東芝は上場を維持できるか正念場を迎えた。

東芝の再延期を受けて、有価証券報告書の虚偽記載の疑いで調べを進めていた証券取引等監視委員会の関係者は「まことに遺憾」と憤りを口にした。もともと6月30日が最初の有報の提出期限だったが、虚偽記載の訂正と監査に時間を要するとして、8月31日まで延期した経緯がある。

監視委はこの間も調査を進めてきたが、東芝が期限までに決算と有価証券報告書を提出できるように配慮もしてきたという。

それだけに、今回の再延期で「東芝の決算はどうなっているのか」(関係者)と、疑念をさらに深めかねない状態に陥っている。

再延長期限である9月7日に提出できなければ、東芝株は監理銘柄に指定される。さらに、それから8営業日後、17日にも間に合わなければ、東証の上場廃止基準により上場廃止が決まる。

ただ、9月7日以前の段階で東芝が7日までの提出が難しいと判断した場合、提出期限を3度延長することは制度上は可能。一方で「監査法人との協議でまだ積み残しがあるようだが、作業は着実に進んでいる」(取引銀行関係者)との指摘もある。

上場廃止に関し 「そうならないように全力を尽くす」と今年5月、東芝の田中久雄社長(当時)は1度目の提出期限延長が承認された際、上場廃止の回避に向けた意気込みを会見で語った。東芝は瀬戸際に立たされている。

(村井令二 和田崇彦 編集:布施太郎 北松克朗)

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