村井俊二・東大名誉教授、9月12日の地震を予測していたと話題に 地震学者から反論も

村井俊二氏の地震予測の方法とは?地震学者からは激しい反論も。

東大名誉教授で地震科学探査機構(JESEA)顧問の村井俊治氏(75)が、9月12日朝に発生した東京湾を震源とする地震を予言していたと話題になっている。村井氏は6日に出演した「Mr.サンデー」(フジテレビ系)で、震度5以上の地震が9月〜10月に起こると公言していた。

9月12日に発生した東京湾を震源とする地震(気象庁)

村井氏は6日の番組のなかで、震度5以上の地震が関東にくると警告。南関東の沿岸部を「要警戒」として、地震の規模と時期について「震度5以上を想定しています。場合によっては震度6弱、6強が起こりうる可能性はもちろんあります。9月10月ぐらいまでは警戒をした方がいいと思っています」と述べていた。

予測に使われているのはGPS衛星と電子基準点

村井氏はなぜ、どのような方法で予測を行っているのか。

実は村井氏は地震学者ではなく、専門は測量工学。GPS衛星と電子基準点のデータをもとに、今回の地震を予測した。

電子基準点とは、GPSを利用してその位置を測定するもので、全国約1300カ所に設置されているという。ミリ単位で正確に把握が可能なものだ。

村井氏はこの基準点の「高さ」に着目。通常、地面は1週間で1〜2センチほど動くが、地震の前には高低差が4センチ以上になるような異常な動きを見せるという。

今回の地震を警戒した根拠は?

村井氏は6日の番組の中で、過去5年間の地面の高低差が、東京の秋川(+11センチ)、三宅島(+11.9センチ)と八丈島(−1.8センチ)となっており、さらに、これらの地点の高低差が約14センチあることを指摘。隆起した地域と、沈降した地域の差があることについて、「大きなひずみがたまっている」と指摘した。

さらに、7月の1週間では、東京で8センチの上下動が観測されたことを根拠に、南関東地方を震度5以上の地震が発生する可能性が極めて高い「要警戒地域」としたという。

村井氏はこのシステムを使って予測情報を提供しているが、地震予測を公開することについては「人に与える影響が大きいので、非常に慎重だった」としている。しかし、計測データによる予測と地震の発生が度々重なったことから、「これは警戒という言葉を使ったほうが妥当だろうと考えた」と述べた。村井氏は予測が当たるかどうかではなく、警鐘を鳴らすことが重要だとしている。

村井氏への反論も

村井氏の予測については「公開する勇気に感謝したい」とする意見も見られる一方、反論もみられる。

この他、地震学者の島村英紀・武蔵野学院大学特任教授は12日、THE PAGEに寄稿した記事で、村井氏らが利用しているデータについて誤差やノイズ(観測データの雑音)が多いことを指摘。「彼らが来るべき地震の前兆として主張しているGPS測定の結果は、ほぼ全部がノイズだといって間違いではありません」と主張している。

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