猫はちっともよそよそしい生き物なんかじゃない 「5つの迷信」を解く

猫が縁起が悪いだって?そんなわけないじゃないですか!

猫はよそよそしくて冷たいし、それに態度が大きい ―― そんな固定観念から、猫は悪く言われがちだ。しかし、冗談半分の悪口が悲劇につながることだってある。

人間動物学者のジョン・ブラッドショー氏は、「猫が冷たくてで縁起が悪い動物だという考えから、子供が猫の尻尾に爆竹を仕掛けるような虐待を生むことがあります」と話す。

その他にも、猫は何日でも留守番できるという迷信から、飼い猫が不幸せな生活を強いられることもある。そんな悲劇が起きないように、猫にまつわる5つの迷信を打破しよう。

迷信1. 猫は飼い主が嫌いだ

「猫は飼い主に愛情を感じない」という主張は、固定観点や煽るようなメディア報道に根差している。

2015年9月、「人間の子供は親に安心感を求めるが、猫は飼い主に安心を求めない」という研究結果が発表された。研究は「猫は飼い主のことを必要としていない」とか「猫は飼い主が嫌いだ」といった見出しで紹介されたが、実はこれは研究の主張とは異なる。

記事に書かれていなかったのは、研究が「愛情」について調べたものではないという点だ。科学情報サイト「ライブ・サイエンス」はこう説明している。

それでも猫好きの人は、飼い猫は自分のことを愛していると断言するだろうし、それは間違っていないと研究リーダーのダニエル・ミルズ氏も述べている。ミルズ氏によれば、今回の研究でわかったのは、猫が飼い主を親のような存在として見ていないということだ。

親は安心を子供に求めていない。親は子供を愛していても「いつでも迎えてくれる存在」とは思っていない。同じように、猫と人間の愛情も依存に基づくものではないのだろう。

猫と人間の「愛情」を測った2007年の実験では、興味深いことに、親に対しての振舞いは猫も人間も一致した。また2011年の別の研究では、猫と飼い主には「人間の絆によく似た」関係が築かれ、複雑な社会的関係が結ばれていることがわかった。

ブラッドショー氏によれば、猫が一番愛情を表現するのは「安全な場所にいると感じたとき」だそうだ。愛情表現には「飼い主を見て尻尾をたてる、頭や脇腹を足にこする、そばに来て舐める、ゴロゴロと喉をならすこと」などがある。

迷信2.猫は社交的ではない

猫は犬のように群れで暮らす生き物ではないので、一匹でいるのが好きだと思われがちだ。しかし、猫の行動に関する公認コンサルタントマリリン・クリーガー氏によれば、それは猫によって違う。

「猫の生い立ちや性格はそれぞれ違います」とクリーガー氏は話す。猫同士は強い絆を築くことができ、絆で結ばれた猫同士は離れ離れにしない方がいいという。

様々な実例からも、猫が他の生き物とさえ強い絆を築けることが示されている。

クリーガー氏によれば、猫は縄張り意識が強いため、初めて会う猫同士は少しずつ慣らすのが大切だ。多くの猫は他の猫とうまくやっていけるが、中にはうまく付き合えず、王様や女王様のように一匹でかわいがられたい猫もいる。そういった猫でも、おもちゃや登って遊べる場所、それに人間とのコミュニケーションは必要だという。

迷信3.猫は一匹で何日も留守番できる

「丸一日、猫を一人ぼっちにすべきではなく、誰かが必ず様子を見て、遊んで、トイレを掃除してあげたほうがいい」とクリーガー氏は話す。24時間以上家を空けるときは、ペットシッターを雇うか、友人に世話をお願いした方がいいだろう。

クリーガー氏によれば、猫は仕事や買い物で飼い主が短時間家を空ける時は、一匹で留守番できるが、家の中で遊べるものを準備した方がいい。

「家にいない間、猫が走り回って遊べるおもちゃや、登れるような高い場所、爪とぎなど快適な環境が必要です」。またクリーガー氏は、おやつを家中に隠して猫に探させる「宝探し」をすすめている。「自分で食べ物を探して、猫に楽しんでもらいましょう」

では、猫が寂しがっているかどうかを見分けるにはどうすればいいのだろう?

わかりやすいサインとして、元気がない、べったり付きまとってくる、過度な毛づくろいをする、トイレをうまく使えなくなるなどが挙げられる。しかしこういった行動を見せる時は体調が悪い場合も考えられるので、獣医に診てもらった方がいいとクリーガー氏は勧めている。

迷信4.猫が統合失調症や流産の原因になる

最近、猫に寄生するトキソプラズマ・ゴンディという原虫に関する研究が発表されている。研究は、トキソプラズマ・ゴンディに感染することで統合失調症を発症する可能性を示唆している。また、妊婦が感染すると流産する可能性があるという。

だからといって、猫を捨てないようアメリカ疾病対策センター(CDC)は勧めている。その代わり、猫のトイレを掃除する時には手袋を使い、徹底した手洗いを求めている。

汚染された生肉や、火のよく通ってない肉、感染したネズミを食べて猫は寄生虫に感染する。そのためCDCは、猫を家から出さず、生肉に触れさせないよう勧めている。また寄生虫は、排泄して1〜5日たってはじめて感染力を持つので、トイレを毎日掃除することでリスクをかなり軽減できる。

猫の糞だけがトキソプラズマ・ゴンディの感染源ではない。火のよく通っていない肉を食べた人間が寄生虫に感染する場合もある。また汚染された土壌から感染することもあるので、野菜や果物は食べる前によく洗い、ガーデニングや土を掘った後は手洗いを徹底した方がいい。

迷信5.猫は訓練できない

動物トレーナー、サマンサ・マーティン氏が率いる猫サーカスでは、猫は楽器を演奏し、ジャンプして輪をくぐり抜け、スケートボードに乗る。彼らを見れば、猫は訓練できないと言えなくなるだろう。

マーティン氏によれば、猫のトレーニングは犬よりも忍耐力が必要だが、どんな猫でも芸を覚えることは可能だという。猫は訓練できないと考えられているのは、実際に誰も猫を訓練しようとしないからだ。

猫を訓練する時には、上手にできたら音を鳴らしてご褒美をあげる「クリッカートレーニング」をマーティン氏とクリーガー氏は勧めている。音を鳴らすことで、どの行動が求められているのかを猫に伝える。

クリッカートレーニングは飼い主とペットとの絆を強くし、精神的な刺激を与え、悪い行動を修正させるという。

さらにクリーガー氏は、最も悪い迷信は「猫の行動は変らない」という考え方だと話す。

「猫の行動は変わらないと考えて、猫をシェルターに持ち込んだり、安楽死させたり、捨てたりすることがあります」「トイレを使わない、攻撃をしてくる、家具で爪とぎするなどの問題行動は、訓練とちょっとした環境変化で変えられます」

猫の訓練は誰でもできる。下のInstagramでは、クリッカートレーニングであっという間にハイタッチできるようになった猫が紹介されている。

「猫を訓練できました(画像はぼやけていますが)」

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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