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【群像社】ノーベル文学賞作家に増刷を断られた中小出版社、健気な声明(全文)

2015年10月23日 01時11分 JST | 更新 2015年10月23日 01時17分 JST
ASSOCIATED PRESS
Belarusian journalist and writer Svetlana Alexievich who has been named the 2015 Nobel literature winner, holds flowers as she leaves a news conference in Minsk, Belarus, Thursday, Oct. 8, 2015. Belarusian writer Svetlana Alexievich won the Nobel Prize in literature Thursday, for works that the prize judges called "a monument to suffering and courage." (AP Photo/Sergei Grits)

ロシア文学の翻訳書で知られる横浜市の中小出版社「群像社」の公式サイトのお知らせに同情や称賛の声が集まっている。

同社は、2015年のノーベル文学賞を受賞したベラルーシ人の女性作家、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさんの著書のうち、「ボタン穴から見た戦争」「死に魅入られた人びと」「戦争は女の顔をしていない」の3冊を出版していた。10月8日のノーベル賞受賞を受けて、群像社では「戦争は女の顔をしていない」を1000部重版することを決めて、10月21日に取次搬入する予定だった。

しかし、アレクシエーヴィチさんの著作権を管理する代理人から「あなたの会社の権利が消えているため、増刷は認められない」と通知が届いたという。通販サイトAmazonでは品切れとなり10月22日現在、中古品が定価の7倍の約14000円で出品されている

群像社は1980年に設立されたが、2010年以降は代表取締役の島田進矢さんが一人で経営していた。電話回線も一つしかなく、ノーベル賞受賞以降は注文が殺到して、電話とファックスは常時ふさがっている状態だったという。島田さんは、アレクシエーヴィチさんの本について「今後、あらたに版権を取得した出版社から刊行されることになると思います。小社の本をお届けできなかったみなさまには、ぜひ新しい装いの本でアレクシエーヴィチの作品をお読みいただければ、最初に刊行した出版社としても喜ばしいことです」とコメントを出した

群像社が発表した声明文は、以下の通り。

■アレクシエーヴィチの本の販売について

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチが今年のノーベル文学賞を受賞して以降、小社で刊行しておりますアレクシエーヴィチの本に多くのご注文、お問い合わせをいただき、誠にありがとうございます。小社刊のアレクシエーヴィチの『ボタン穴から見た戦争』(三浦みどり訳)、『死に魅入られた人びと』(松本妙子訳)、『戦争は女の顔をしていない』(三浦みどり訳)〔刊行順〕は、著者の著作権を管理する代理人からの連絡で、小社が有する権利が消失しているため、あらたに増刷することは認められないという通達を受けました。そのため現在、小社で保有している在庫がなくなり次第、販売を終了することになります。

これまで書店のみなさま、読者のみなさまから多くのお電話、ファックスをいただきながら、小社のひとつしかない電話回線がほぼ常時ふさがってしまい、返信も回答もままならず、大変失礼な対応になっておりますことを、心よりお詫び申し上げます。

まだ店頭に在庫が並んでいる書店もあると思いますし、また一定の日時が経過すると売れ残った本が返送されてくる場合も多くありますので、その分は小社の在庫としてきれいに改装してご注文に応じますので、品切れになるまでは何卒ご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

アレクシエーヴィチの作品は、今後、あらたに版権を取得した出版社から刊行されることになると思います。小社の本をお届けできなかったみなさまには、ぜひ新しい装いの本でアレクシエーヴィチの作品をお読みいただければ、最初に刊行した出版社としても喜ばしいことです。

また、小社で刊行しております本には、アレクシエーヴィチが注目した「小さき人々」の世界と通ずる本がたくさんありますので、みなさまにはこの機会にぜひとも関心をお寄せいただき、これからの読書の対象に選んでいただければ、幸甚このうえありません。小さな出版社の営みにご注目いただけますよう、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

株式会社 群像社

代表取締役 編集発行人 営業担当 島田進矢

■ネット上の反応は?

Twitter上では、「かっこいい企業だ」と称賛したり「せつないなぁ」と同情する声の一方で、「作家側としては大手と契約し直すのは当然の流れ」といった冷静な意見も出ている。

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