「LGBTの理解、大事なのは教育」 渋谷区長、世田谷区長、東小雪さん、杉山文野さんと考えるダイバーシティ

LGBTの理解を進めるには、何が大切なのか――。

LGBTの理解を進めるには、何が大切なのか――。

ハフィントンポスト日本版は9月29日、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどの性的マイノリティ)に焦点を当てた2周年イベント「LGBTって何だろう? 今、私たちにできること」を都内で開催。有識者によるパネルディスカッション「LGBTの暮らしやすい社会へ――これからのダイバーシティを考えよう」を行った。

登壇したのは、日本で初めて同性カップルを結婚に相当する関係と認め「パートナーシップ証明書」を発行することを盛り込んだ条例を制定した渋谷区の長谷部健区長と、「パートナーシップ宣誓書の受領証」の発行を決めた東京都世田谷区の保坂展人区長、NPO法人・東京レインボープライド共同代表でトランスジェンダーの杉山文野さん、LGBTアクティビストで元タカラジェンヌのレズビアン、東小雪さんの4人。

LGBT支援法律家ネットワーク・メンバーの山下敏雅弁護士をモデレータに、LGBTの暮らしやすい社会やこれからのダイバーシティについて、活発な議論を交わした。渋谷区と世田谷区の取り組みについて紹介した前編に続いて、当日の様子をレポートする。

■LGBT当事者が抱える、生きづらさとは

イベントでは、モデレータの山下さんが、LGBT当事者である東さんと杉山さんに、LGBTの人たちの抱える課題を聞いた。石川県金沢市出身の東さんは、高校生のときのエピソードを交えて地方に暮らすLGBTの生きづらさに触れ、杉山さんは、女性のパートナーとの婚姻できない現状をもとに、制度的な課題を紹介した。

——今回の渋谷区と世田谷区の取り組みは、東京の話じゃないかと、地方の人には思われているかもしれません。石川県出身の東さんは、地方の当事者の方が抱える問題についてどう思いますか?

東さん:私も今は渋谷区に住んでいるんですけど、高校を卒業するまでは、石川県金沢市に住んでいました。伝統と文化の町・金沢なんですが、セクシュアル・マイノリティの人にとっては、まだまだ生きづらさが強く残っている地域だと思います。

私が、自分が女の子のことが好きだと気がついたのは、高校2年生のときでした。学校でも、男の子は女の子を好きになって、女の子は男の子を好きになる、としか教わりませんから、周りに自分のセクシュアリティについて話せるような、信頼できる大人は見当たらなくて。今のようにインターネットも自由に使えませんでしたから、非常に孤立して、自分はおかしいのではないかと悩みました。

今では、たくさんの仲間に囲まれて、こうしてパートナーも得まして、幸せに暮らしているんですが、(以前は)同性カップルの大人に出会うことができなかったので、すごく悩んで思春期を過ごしました。残念なことですが、それから15年ほど経った今でも、あまり状況は良くなっていないんですね。

学校で、LGBTであることでいじめられてしまう人がたくさんいます。これは私の母から言われたことなんですけれども、「あなたのようなレズビアンの人というのはね、東京やニューヨークにはいるかもしれないけど、金沢では会ったことがない」と。これは母の実感なんですよね。カミングアウトの難しさは、地方に根強く残っていますし、今もこうした問題に悩んでいる人がたくさんいるので、ぜひ改善に向けて動いていかなければならないと思っています。

——トランスジェンダーである杉山さんの話と、今回の同性パートナーシップや同性愛、バイセクシュアルの人たちの話が、どうつながるのか、頭の上にハテナがつく人もいるかもしれないですが。杉山さんはどうですか?

杉山さん:よく同性パートナーシップに、なぜトランスジェンダーの僕が関係あるのかというのは、聞かれるんですけれども、先ほど山下先生からもご説明があった通り、性同一性障害特例法というのができて、条件を満たせば戸籍上の性の変更が可能になりました。そこには、性別適合手術、いわゆる生殖器を取り除いていることという条件があって、僕自身はまだ子宮と卵巣を取っていないので、戸籍上は女になるんですね。

今、僕はストレートの女性のパートナーがいて、そうすると、見ためは男女のカップルに見えるんですけど、実は戸籍上は女性同士のカップルということで、婚姻関係になれないと。いわゆる同性愛という感覚で彼女を好きなわけではないんですけれども、戸籍上は同性のパートナーということになります。「じゃあ何で手術しないの?」っていわれるんですけれども、性同一性障害といってもすごく個人差があって、本当に手術までしなければ嫌だという人もいるし、手術までしなくても望む性で生きられればいい人もいる。すごく幅広いものなんです。

素直に湧き出る自分の違和感から手術をするのはいいと思うんですけれども、いわゆる制度に合わせるために結婚できないから、じゃあ子宮と卵巣をとれば結婚ができるから、手術をしようみたいな、制度に合わせるために体を切るというのは、僕は本末転倒なんじゃないかなと思っていて。僕自身は乳房切除をしただけで、今の状態にある程度満足しているので、もうこれ以上、不必要な手術はしたくない。でも、手術をしないと結婚ができない。彼女と一緒にいる手段がないんです。

同性パートナーシップだったり、これから同性婚みたいな議論も、もちろん大事だと思うんですけど、性同一性障害の特例法を変えていく、といったことも並行して進めていかないと、僕自身も本当に、まだ生活に困っているという状態です。

■同性婚の人権救済申し立て、LGBT支援法律家ネットワークの取り組み

当事者の抱える課題をふまえて、LGBT支援法律家ネットワーク・メンバーとして山下さんが、7月に行われた同性婚の人権救済申し立てを紹介した。この申し立てによって、日本の弁護士が全員加入している日本弁護士連合会(日弁連)が今後、同性婚が人権侵害であるかどうかを調査するという。

山下さん:弁護士の立場から見ますと、渋谷の証明書も世田谷の受領書も、婚姻としての法的効果、例えば相続ですとか、外国人のパートナーであったら在留資格のことであったり、年金のことであったり、そういう法的な効果は無いんだけれど、ただ条例なり要綱なりの取り組みができることで、事実上の社会に与える影響が本当に大きいんだなというふうに実感します。

他方で、やはり同性間で結婚ができないことが置き去りにされている、いわば二流市民のような扱いになっていることについて、今までなかなか日本で議論が起きなかったところを、今年の7月7日に日弁連に、「同性婚ができないのは人権侵害で、国に法律をつくってほしい」という人権救済申し立てをしまして、杉山さんと東さんも、申立人の当事者455人のうちのふたりとして加わっています。

まだまだ日本で実際に、同性婚が欧米の国のようになるのは先かもしれないけれど、その一歩が今年、いろんなところで動き出したんだなと実感しているところです。日弁連の結論は1、2年先くらいになりますけども、ぜひ期待していただければと思います。

■LGBTの理解を進めるために必要なこと

次に議論は、多様性(ダイバーシティ)の話に及んだ。LGBTの理解や多様性を進めるためにできることとして、長谷部区長と保坂区長はともに「大事なのは学校教育」だとして、「教育の現場にアプローチして、子供の頃から普通なんだと思える世の中にならなきゃいけない」などと展望を語った。

——よく渋谷区の「同性パートナー条例」という表現されますけど、正式名称は「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」ですね。

長谷部区長:おっしゃる通りです。パートナーシップ証明書ばかり注目されているんですけれど、これはパートナーがいる人たちだけ。まだ限られている人たちです。大事なのは、小雪さんの話を聞いていても、子供の頃から悩んでいるとか、ちょっとおかしいんじゃないかという。その時点で、普通なんだって思えるように世の中がそうならなきゃいけなくて。

だから、これから学校教育とか、教育の現場にどれだけアプローチしていくかというのも大きな課題だし、その悩みを聞く相談窓口の設置も必要で。もうすでに、学校では、文野君とか他の仲間に授業をしてもらったり、先生たちにもレクチャーしたりしてる。実際にそういう子供もいるんですね。当事者同士じゃないとわかり合えないところがあったりするし、親が認めないのであれば、理解してくれている当事者の親に出てきてもらって、話をしてわかってもらうとか、そういうケアをしていく必要がある。もっともっと、これから深く取り組んでいかなきゃいけないのが、教育の分野です。

——世田谷区も、多様性に関する取り組みをされています。

保坂区長:そうですね。同性パートナーシップが前面に出て報道されていますけれども、そこは長谷部さんのおっしゃった通りです。もちろん一番大事なのは学校教育ですね。そういうところで、「性的マイノリティに対する差別がないような社会を、世田谷区は目指していくんですよ」と、子供たちにもしっかり分かってもらわなければいけない。

あとは、区の職員のセクハラ防止指針というのがあるんですが、より具体的に、性的マイノリティを理由にした、からかいや暴言は、区の職員がやってはいけない、というふうにしています。

■LGBTへの理解、10年間で急激に変わった

次に、事前に寄せられたハフィントンポストの読者からのLGBTに関する質問を、有識者に聞いた。保坂区長は、ジャーナリストとしての経験から、10年間で、LGBTへの理解は「急激に変わった」と振り返り、長谷部区長は、「東京オリンピック・パラリンピックが大きなチャンスになると思う」などと語った。

——保坂さんに、「ジャーナリストとしてのご経験を踏まえて、LGBTに対する社会の理解というのが、過去と今とでどのように変わったというふうに感じられますか?」という質問ですけど、いかがでしょうか?

保坂区長:急激に変わったと思いますね。もちろん、10年前にパレードに参加した当時と比べれば、やっぱり報道される回数も増えてきたし、LGBT成人式第1回目は、全部の会派の区議会議員が来賓として出ていたんですね。なんかおかしいんじゃないかとか、止めたほうがいいという意見は誰も言っていないし、こういう取り組みについては自然だと。

宣誓書とか受領証についても議会に報告していますけれども、ちょっと待ったみたいな意見は無かったんです。じゃあ10年前に可能だったかというと、やっぱり10年前のほうが、ハードルがもっともっと高かっただろうと思います。

——続いて、長谷部さんに「LGBTについて、渋谷区の条例は日本に大きなインパクトを与えたと思いますが、今後どういうことが、さらに世論の風向きが変わるきっかけになるとお考えでしょうか。ジャストアイデアがあればお聞かせください」という質問です。いかがでしょう?

長谷部区長:間違いなく変わってくるんです。冒頭話した通りなんですけれど、だんだん街の景色になってくるんだと思うんです。2020年にはオリンピックもありますけど、パラリンピックも来ますね。LGBTとは違いますけれど、障がい者の課題もあって。障がい者は、どっちかというと今までは手を差し伸べる対象としか思われていなかったかもしれないけど、尊敬の対象に変わる大きなチャンスだと思うんです。

ロンドンのパラリンピックが、史上最高のパラリンピックだったといわれていますけど、僕はあのポスターが大好きで。片足無い人、片腕無い人、車いすの人たちが、黒バックでかっこよく写っているところに、「MEET THE SUPER HUMANS」っていう、かっこいいコピーが書いてあって。「超人たちに会いに行こう」という、尊敬の対象に変わったんですね。LGBTの課題もそうですけど、無理して尊敬する必要も実はなくて、普通に接してほしいし、良いヤツもいれば、悪いヤツもいるし、嫌なヤツもいれば、本当に優しい人もいたり、僕らと一緒なんですね。

これに求められているのは、マジョリティと呼ばれる人の意識の壁を打ち破ることで、パラリンピックというのは、マジョリティの人の意識の壁を打ち破る、良いきっかけに間違いなくなると思います。多分、パラリンピックをちゃんと見た方って少ないと思うんですけど、東京でやりますから、嫌が応にも見る機会が増えると思います。頭で分かっていても、心で分かるというか。意識が変わってくる。

LGBTに関しても、僕が20歳くらいで初めてゲイの人に出会ったときは驚いたし。アメリカだったんですけど全然日本と違うぞ、と。でもそこから十数年かけて慣れてきて、途中で文野に会って、さらに慣れて。それで多分アライといわれる、そういう立場になれている。

やっぱりマジョリティの人が、だんだん慣れていく必要があって。街で普通に同性カップルが歩いていたり、もしかしたら洋服屋さんのショーウィンドウが、いつも男と女、みたいだったのが、男同士が手をつないでいたりとか、もしくは車いすの人とか、片足の人とか、そういうのも含めて、いろんなものがダイバーシティの景色になっていく。国籍や人種、性別とかか世代も問わず、混じり合っていく街というのが、だんだんと進んでくると思います。

■これからのダイバーシティ、私たち一人ひとりができること

——最後に、パネルのテーマであるダイバーシティ、多様性を認め合う社会を実現するために、これからどういったことを伝えていきたいか。最後にみなさん一言ずつ、杉山さんからお願いします。

杉山さん:はい。今日トークが盛り上がりすぎちゃって時間内に終わらないかもと思っていたら、さすが山下先生は弁護士業界の黒柳徹子さん、ありがとうございます(笑)。

僕自身は、以前からLGBTセンターみたいなのを作りたいという構想から、神宮前2丁目で「カラフルステーション」という施設を作りました。今は1階がirodoriという飲食店で、2階がFLATというLGBTフレンドリーのシェアオフィス、その1棟をまるまる「カラフルステーション」にして、多様性発信基地みたいになったらいいんじゃないかということでスタートしました。僕の会社とNPO法人グッド・エイジング・エールズの共同運営にしています。

お店のスタッフは、3分の2以上がLGBTの当事者の子たちなんですね。まだまだ雇用にハードルがあったりするので、そういったことを気にせずに働ける職場をつくっていけたらいいなと。そうはいっても、外にレインボーフラッグを出しているだけで、一般的なエスニックのレストランということでやっていて。あまりLGBT、LGBTっていわずに、本当に美味しいご飯を食べてもらって、楽しい時間を過ごしてもらって、結果的に、後からこういうコンセプトなんだって知ってもらうくらいが、ちょうどいいのかなと。LGBTもそうじゃない人も、普段の生活のなかで交わる接点をどれだけ普段の生活の場に作れるか、というのをやっていきたいなと思っています。

どうしてもセクシュアル・マイノリティというと、どこか自分とは違う世界、ちょっと遠くに生きてる人って思うかもしれないけど、生活の中にいるじゃん、と気づけるポイントを、いろんなところに作っていきたいなと思います。

——続いて、長谷部さんお願いします。

長谷部区長:僕、一応街のプロデューサーというつもりで、政治もやってますし、ソーシャル・プロデュースということでやってますから、この課題に関しては、文野君とか小雪さんたちが、少しメディアに出るお手伝いとはいわないですけれども、表に出る覚悟を持ってる人たちのことを後押しできたらいいなと思ってます。

あとは、LGBTだけじゃなくて、どっちかと言ったらダイバーシティということを、もっともっと突き詰めてやっていきたいです。LGBT区長みたいな感じで注目されて、別にそれは構わないんだけど、もっともっと他にやりたいこともあるので、とりあえずパートナーシップ証明書をちゃんと発行まで持っていければ、ちょっとホッとする気分もあると思いますね。

ただ、この渋谷区がもっともっと成熟した国際都市になるように、この都心で、どうやってお年寄りが生き生きと暮らしていくかとか、子育ての話とか、課題はやっぱりたくさんあって、それを誠実に、少し企画でおしゃれっぽく、渋谷っぽくやっていければいいなと思います。何というかLGBTも含めてみんなが豊かで、ニコニコと暮らせる街づくりができたらいいなと思っています。

——東さん、お願いします。

東さん:今、長谷部さんからお話がありましたけれど、LGBTの課題は本当に繋がっていると思います。私は渋谷区で子育てをしていこうとしている、レズビアンなんですね。障害のあるLGBTの方もいらっしゃいますし、お年を召した方もいらっしゃるので、やはりすべて繋がっている人権課題だと私は思っています。

先ほどは時間がなくてご紹介できなかったんですけれども、地方のレズビアンの高校生から「今、家族にも言えないし、誰にも言えなくてとっても辛い。どうしたらいいですか?」と質問していただいていて。最後に彼女に向かってお話ししたいと思います。

私も高校生のときにレズビアンだと気がついて、結婚も子育ても家族も、自分の人生には何も無いんだというふうに、すごく悲しい思いをしました。だけど今は、結婚式を挙げて、パートナーと一緒に暮らして、これからは子育てをしたいというふうに考えているんですね。LGBTの人たちは、自分のセクシュアリティは数が少ないだけで何もおかしくない、何も悪くないんです。まだ私たちの社会の制度が追いついていなかったり、他者を受け入れるだけ社会が成熟していない。ただそれだけで、LGBTの人たちは何も悪くないんです。地方のレズビアンであるということでメールをくれた彼女に、本当に、数が少ないだけで、あなたは何も悪くない。絶対に幸せになってほしい、なれるんだということを伝えたいです。今家族に言えなくても、新しい自分の家族を作ることができますし、理解してくれる仲間にも必ず出会うことができる。私はそれを東京だけではなく、地方に住んでいるLGBTの人たちにもしっかりと伝えたいと思いました。

——それでは最後に、保坂さんお願いします。

保坂区長:今、シンポの中で考えていたんですけど、私自身も15歳という非常に若い頃に排除された経験があるんですね。高校進学の際に、内申書にさんざん書かれまして。当時、14才くらいでデモに行ったり、新聞を編集して発行したりしていて、学校ではよろしくないといわれて、先生方とずっと議論して。

内申書によって、あらゆる高校が不合格になったということで、後に裁判になって。これが最高裁の判例にもなっているわけなんですけれども、そういう経験があるので、やっぱり痛みというか、どんなに素晴らしい点数であっても認められないみたいな、そういう原点があります。

実はハフィントンポストのブログに、児童虐待防止法について書いたんですが、子供を救うためにいい仕事をしたと思っていたんですが、いつの間にか保護される子供たちが増えて、18才で施設を出るときには、何の支援も無い社会だったということに直面していたんですね。同じように、ぜひLGBTの当事者の人たちの声を、しっかりと聞き続けていきたい。できれば、声にならないぼやきとか、ため息みたいなところまで分かってくれる人に、私が聞こえなくても伝えてくれる人たちに伝えてほしいと思います。

あとは、(世田谷区のアンケートでは)LGBTの啓発活動や政策を、「進めるべきではない」と思っている人が、4.3%はいるわけです。こういう必要ないという人たちと、時間をかけて対話をしていく。なぜ必要なのかということをしっかり話し合っていく。その2つをやって、だんだん街の景色が変わるって長谷部さんもいいましたけれども、自治体の空気も変わっていくといいなと思っています。

山下さん:どうもありがとうございました。今、児童虐待のお話ありましたけど、私もフィールドが子供の分野で、実際にLGBTの10代の子のケースにも接しています。

こうやって、名前と顔を出してカミングアウトできる当事者の方々も増えてきましたけど、他方でそれをいえない、認めてもらえない人たちも多くいて、法律事務所に、そういう方々のトラブルが寄せられるたびに、法律や制度が整っていないことの大変さを感じます。弁護士として、そういった方々の代弁者として社会に伝えていくことが、役割として必要なんだなと実感しています。

今日、議会という多数決の場で条例を通した渋谷区と、それから行政の長として取り組む世田谷の区長と、弁護士という司法の分野、そして当事者と、様々な立場の人たちが揃うことができたことを本当に嬉しく思っています。弁護士とか、区長とか、何か大きなことのように思いますけれども、そうじゃなくて社会をつくっているのは私たち一人ひとりで、当事者や、その近くにいるアライと呼ばれるみんなが、一人ひとり力を合わせて社会をつくって、法律なり制度なりをつくっていくんだということを、お話を聞きながら私自身も実感したところです。みなさん、ありがとうございました。

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