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「MRJ自身が『飛びたい』と言っているようだった」初飛行の安村佳之機長

2015年11月11日 19時47分 JST | 更新 2017年01月23日 18時12分 JST
Kenji Ando

国産初のジェット旅客機「MRJ」が初飛行した11月11日、機体を開発した三菱飛行機が、名古屋市内で記者会見を開いた。初飛行のパイロットを務めた安村佳之(やすむら・よしゆき)機長は「離陸速度に達したら飛行機が『飛びたい』と言ってるような感じで、フワッと浮き上がりました」と笑みを浮かべながら振り返った。

安村機長は過去に航空自衛隊に所属しており、F-1戦闘機やT-2練習機などのジェット機も操縦しているが、MRJについては「これまで私が運転した機体の中でもトップクラスの操縦性と安定性がありました」と太鼓判を押した。記者から「緊張しましたか?」と聞かれた際は、「ワクワクして迎えたのですが、どこか緊張感があったのか、昨夜は午前2時に目が覚めてほとんど眠れませんでした」と苦笑するシーンもあった。

安村機長の主な発言は以下の通り。

非常にいい天気の中、初飛行が可能になりました。これまで地上走行試験を進めてきましたが、本日は離陸速度に達したら飛行機が「飛びたい」と言ってるような感じでフワっと浮き上がりました。天気も良好でしたので、その後ずっと上昇するまでの感、非常に安定した状態でした。これまでシミュレーターで訓練を積んできましたが、まさにシミュレーターの通り、飛行機が飛んでいく感じで、全く違和感を感じませんでした。

その後、着陸侵入中に風の影響で若干、機体が揺れるということはありました。ただ、これに対して操縦の修正は非常に安定しておりまして、これまで私が運転した機体の中でもトップクラスの操縦性と安定性がありました。

1時間半程度ですけど、飛行機を触ってみて、非常に高いポテンシャルを持っていると感じています。これから厳しい試験が続いていきますけど、必ずや素晴らしい飛行機が出来上がるという確信を得ました。

■初飛行の模様(スライドショー)

MRJ初飛行


■遠州灘の上空などを初フライト

報道陣や関係者が見守る中で、MRJは午前9時35分に名古屋空港を離陸。比較的静かなジェットエンジンの音ともに、ゆっくりと空に浮かび上がると、周囲からは拍手が沸き起こった。MRJは遠州灘の上空など約1時間半のフライトをして、午前11時ごろに着陸した。設計通りの性能が発揮されたかどうか、今後検証するという。

5機の試作機が製造され、名古屋空港で飛行試験を重ねる。ANAへの量産1号機の納入は2017年春を目指している。

■離陸のシーン(動画)

■MRJとは?

MRJの正式名称は三菱リージョナルジェット。その名の通り、三菱重工のバックアップの元、子会社の三菱航空機が開発している。日本刀をイメージしたというスマートなデザインが特徴だ。

採算が取れず1973年に製造中止となったプロペラ機「YS-11」以来、約40年ぶりに製造された国産旅客機だ。全長は約35m。旅客機としては小ぶりだが、78〜92人の乗客を乗せることができる。最大巡航速度はマッハ0.78(時速830km)だ。

航続距離は最大3300kmで、東京からはグアム、台北、上海、北京をカバーできる。ヨーロッパやアメリカ合衆国では全域を飛行できる計算で、世界各国の大都市のハブ空港と地方空港を結ぶ「リージョナルジェット」の分野への参入となる。産経ニュースによると、これまでにANAやJAL、米スカイウエストなどから400機強を受注。当初の計画よりも4年以上遅れたが、初飛行に成功したことで、受注に弾みがつきそうだ。

小型機市場ではブラジルのエンブラエル社、カナダのボンバルディア社の2強が圧倒的なシェアを持っている。国家プロジェクトとして、日本政府も500億円の開発予算をつぎ込んだ「日の丸ジェット」が、どこまで世界市場に食い込めるか注目されている。


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