あの人のことば

過去は未来を構築するためのもの――フランス映画「愛しき人生のつくりかた」ルーヴ監督に聞く

2015年12月09日 00時48分 JST

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映画「愛しき人生のつくりかた」より(C)2013 Nolita cinema – TF1 Droits Audiovisuels – UGC Images – Les films du Monsieur – Exodus – Nolita invest

老婆とその息子と孫の3世代の人々の絆を描く本国フランスで100万人を動員した映画「愛しき人生のつくりかた」の公開が、2016年1月23日から始まる。時にコミカルで、時にリアルな笑いと涙を誘う作品だ。監督を務めたジャン=ポール・ルーヴさん(48)が12月上旬、ハフポスト日本版のスカイプでのインタビューに応じ、映画の見どころについて「過去は未来を構築するためのものということ」と話した。

愛しき人生のつくりかた

あらすじはこうだ。パリの小さなアパルトマンに暮らすマドレーヌは、クリスマスを目前に、最愛の夫に先立たれた。3人の息子を育て上げ、ささやかだけど充実した日々を過ごしてきたマドレーヌは、ひとりになって初めてふと自分の人生を振り返り始める。小さなホテルで夜勤のアルバイトをしている夢見がちな学生の孫ロマンは、祖母をよく理解し、2人は親友のように仲が良かった。そんなある日、マドレーヌが突然パリから姿を消した。「手掛かりは祖母の想い出のどこかにあるはず…」。ロマンは祖母を探す旅に出た。

主演のマドレーヌを演じるのは、現在86歳の国民的歌手アニー・コルディ。作品は、歌手シャルル・トレネの名曲「残されし恋には」にのせて、対照的な美しさを放つパリとノルマンディーを舞台に描かれている。

ジャン=ポール・ルーブ(Jean-Paul Rouve) 1967年フランス北部ダンケルク生まれ。俳優としてデビューし「エディット・ピアフ~愛の賛歌~」(2007年)などにも出演。2008年に「Sans arme, ni haine, ni violence」で初監督を務め、今回の「愛しき人生のつくりかた」は監督として3作目となる。

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ハフポスト日本版のインタビューに応じたジャン=ポール・ルーヴ監督(左)とロマン役のマチュー・スピノジ(左)(C)2013 Nolita cinema – TF1 Droits Audiovisuels – UGC Images – Les films du Monsieur – Exodus – Nolita invest

――2015年1月にフランスで公開されたはこの作品は、ロングランのヒット作となりました。どうして多くの人が見たのだと思いますか。

正確な理由は分からないのですが、ストーリーは人々を引きつけるものだったと思います。「とても感動しました」といった声や、自分たちが抱える問題と共通している部分が多かったなどという反応がたくさんありました。それぞれの人たちがストーリーで判断してくれたのだと思います。

――ご自身は、作品で特に何を描きたいと思ったのですか。

何かを伝えたいという明確なものはなくて、いまの社会はこうなんだということを見てほしかったのです。そして、見た人たちそれぞれがこの映画の何かに感情移入してくれればいいと思います。

――青年、父親、祖母と、三つの世代がバランス良く描かれています。作品は孫である青年と祖母が仲良しですが、フランスでは一般的なことですか。

フランスの家族関係は日本と同じように複雑になってきています。3世代家族ではなく、別なタイプの家族も増えています。映画では、おばあさんと孫とは強い絆でつながっている様子が描かれていました。でも、そういった関係は、次第に薄れつつあります。

――この作品の監督を引き受けたきっかけは何ですか。

原作者の( 「ナタリー」などの作品がある人気作家)ダヴィド・フェンキノスが自分の作品を映画化するに当たり、私に監督を提案してきました。原作を読み、フェンキノスの感性が自分に近いと思い、ぜひ一緒に仕事をしたいと思ったのです。脚本は一緒に書きました。

――ルーヴさんは作品中、俳優として脇役で登場しています。今後は監督業中心にやっていく予定でしょうか。

いや、俳優も続けていきたいと思いますし、撮影のないときは脚本を書きたいと思っています。今また、フェンキノスと共同でオリジナルの脚本を書いています。私が関心があるのは、人生、家族、日常です。今後もそういったことにフォーカスしていきたいです。

――ところで、映画の舞台となったパリでは11月中旬に同時多発テロが発生して130人が死亡しました。現在のパリはどんな様子でしょうか。

人々はまだ警戒していますが、少しずつ落ち着いてきて、元通りの生活を送れる雰囲気に戻ってきました。テロの脅威が高まっているということはずいぶん前から感じていたので、「起こるべくして起こった」と思っています。でも、実際起こると、予想以上に怖かったです。

――最後に、日本の人たちへメッセージをいただけますか。

日本のみなさんに見ていただきたいところのは「過去は未来を構築するためのものである」ということです。後はそれぞれで感じてもらえればいいと思います。

■公開情報

愛しき人生のつくりかた」(原題:Les Souvenirs)(2015年)

2016年1月23日から全国で順次ロードショー

監督・脚本:ジャン=ポール・ルーヴ

原作・共同脚本:ダヴィド・フェンキノス

出演:アニー・コルディ、ミシェル・ブラン、シャンタル・ロビー、マチュー・スピノジ、ジャン=ポール・ルーヴ

提供:ニューセレクト

配給:アルバトロス・フィルム

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