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アメリカとフランスの2大政党制は、トランプのような人物をなぜ止められないのか

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DONALD TRUMP US
Human rights activists and people from Muslim community display a placard depicting US presidential hopeful Donald Trump during a demonstration in New York on December 10, 2015 in solidarity for Syrian and Iraqi refugees. AFP PHOTO/JEWEL SAMAD / AFP / JEWEL SAMAD (Photo credit should read JEWEL SAMAD/AFP/Getty Images) | JEWEL SAMAD via Getty Images
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ワシントン -- フランスとアメリカは、現代の共和制民主主義を創った姉妹だとお互いに考えている。そして、過激主義を追放する2大政党制の生みの親だとお互いにみなしている。

しかし、そうした心強くて、ほぼ間違いないような考えは今週、18世紀の啓蒙主義の子孫である両国での投票行動や世論調査、選挙の誇張表現によってズタズタに引き裂かれている。

難民や移民、イスラム教過激派テロリストについて懸念するあまり、敵意に満ちた外国人嫌いのナショナリズムがアメリカとフランスの表層に押し寄せている。それは両国が大切に育て、戦いで守り抜いた開放的で寛容な価値観のアンチテーゼだ。

今ではもうよく知られていることになったが、フランスの保守政党・国民戦線党首のマリーヌ・ルペン氏と、アメリカの共和党の大統領候補選で支持率トップのドナルド・トランプ氏は、それぞれの国で、人々に渦巻く恐怖の波にうまく便乗している。

この過程で、彼らは、より微妙な真実も明らかにしている。つまり主要な政党はもはや影響力をうまく調整できなかったり、影響力を全く持っていなかったりしていることだ。

ほとんどの場所で、政党は変化を起こすための手段としてではなく、腐敗したシステムでエリートが支配する方法としてみられている。

そして、今はソーシャルメディアのおかげで、一人の目立ったパーソナリティや大義名分を囲んで、グループが自然に発生する。既存の政党の歴史や価値観、優先順位、ここ数十年の動向はかつてよりも意味がなくなってきている。

両国では、政党そのものによる動きがあった。

フランスでは、ルペン氏と国民戦線が、他党から模倣されることによって正当性を示した。パリで130人の死者を出した「イスラム国」(IS)の襲撃後はとりわけそうだった。

ニコラス・サルコジ前大統領が率いた中道右派の共和党は、ルペン氏の票を取り込もうとして右派にシフトした。サルコジ氏はルペン氏を非難したが、同時に犯罪や移民、そして、出入国の審査なしで自由に国境を越えることを認めるシェンゲン協定の終結についてのルペン氏の厳しい提案は模倣した。

この結果、フランスの地方議会選挙でサルコジは完敗を喫した

パリ襲撃事件後、社会党党首のフランソワ・オランド大統領は厳格な警察組織と戦争指導者としての役割を担った。彼もまたルペン氏の方向性へシフトし、国内の特別監視体制を強化するとともにシリアのISに対する空爆を次々に行った。

オランド氏も同じく報われなかった。新しい外交政策に焦点を当てたことによって、彼の政権にとって本当の脅威である、2桁に膨れ上がった失業率の問題を分かりにくくしてしまったからだ。

選挙の第一回投票は、「フランスの第一党と争うことなしに」トップに立ったとルペン氏に宣言せしめた

同じ動きがアメリカでも起きているが、もうひと捻り利かせて起きている。民主党はトランプ氏に対峙することでトランプを正当化している。一方、共和党は、少なくともこれまでは両手を広げて歓迎し、トランプ氏を認めてきた。

2016年の大統領選挙戦に彼がエントリーした時から、民主党は故意にトランプ氏の注目度を高めてきた。彼の注目度が大きくなればなるほど、その存在が対立する共和党の重荷となるだろうというのが彼らの考えだった。

例えば、12月8日、民主党の第一候補ヒラリー・クリントン氏は、旅行者を含む全てのイスラム教徒をアメリカへの入国を禁止するトランプ氏の最近の提案を、ニューハンプシャー州での重要な演説の中で非難した。

共和党は誘惑に乗って、その罠にはまってしまった。

トランプ氏が5月に、多くの人々が愚かで不真面目とみなしていた自らの立候補を発表した時、共和党は彼を利用することにした。トランプ氏は結局、人目を惹く実業家で、党のために資金を集めることのできるテレビスターだった。

トランプ氏は2012年にオバマ大統領が真にアメリカ市民であり、クリスチャンであるかどうかについて疑問を投げかけ、自身の怒りっぽい性格を知らしめた。「主流派」の共和党員が言わないような激しい罵りだったが、それが同党の支持基盤に受けたのだ。

共和党のリーダーたちは、最終的に誰が党の候補者になるにしても、党候補者を支持することを要求する誓約書に、トランプ氏がサインさえすれば、賢明だと思っていた。

しかし、彼らはあまりにも賢明すぎた。この誓約のために、トランプ氏が勝った場合、他の共和党候補者も彼を支持しなくてはならなくなった。

その時は、誰もがそんなことは可能だとは思わなかった。トランプ氏自身を除いては。

彼を増長させてしまったため、共和党は彼を排除できなくなっている。トランプ氏が、言語道断で憎しみに満ち、おそらくは憲法違反の考えである、イスラム教徒の移民禁止を提案して以来、前副大統領であるディック・チェイニー氏すらもトランプ氏を非難した。

共和党の議長、連邦議会に属する共和党の指導者たち、2016年の大統領選の立候補者の多くが(しかし全てではない)同様にトランプ氏を非難した。

しかし、共和党はトランプ氏を既に最有力候補にしてしまった。もう何をするにしても遅すぎるのだ。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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