国連職員採用に「日本人はもっと挑戦してほしい」 人事担当者にインタビュー

国連の人事担当者ジョン・エリクソンさんがハフポスト日本版のインタビューに応じ、「リスクもあるのですが、ぜひ挑戦してほしいです」と話し、もっと多くの日本人が国連職員の採用に臨むことを期待していると強調した。
Wataru Nakano

もっと多くの日本人に国連で働いてほしい――。日本の大学生らに向けた採用説明会のためにこのほど来日した国連の人事担当、国連人的資源管理部アウトリーチ・ユニット長のジョン・エリクソンさん(58)がハフポスト日本版のインタビューに応じ、「リスクもあるかもしれませんがが、ぜひ挑戦してほしいです」と述べ、もっと多くの日本人が国連職員の採用に臨むことを期待していると強調した。

ジョン・エリクソン スウェーデン出身。1982年に国連に入り、旧ユーゴスラビアやカンボジアで国連平和維持活動(PKO)関連業務に携わり、その後、タイやケニヤ、エチオピアなどでも勤務した。国際基督教大学(ICU)への留学経験もあり、日本に詳しい。

――今秋は上智大や早稲田大で採用説明会を行いました。どんなことを話しているのですか。

国連児童基金(ユニセフ)や国連開発計画(UNDP)などは有名かもしれませんが、ほかにみなさんに知られていない国連機関は少なくありません。これを紹介して、もっと多くの人たちに応募してもらいたいと思っています。

説明会では、国連職員としてのキャリア形成や、組織について説明します。また、どういった職種があるのか、それにはどういった知識や経験が必要なのか、どう応募するのかなども話します。

国連に入るのには様々な方法があります。国連機関への就職を目的に、各国政府が国際機関に派遣して経験を積ませるジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)という制度があるのですが、国連の日本人職員の多くはこのJPO出身です。他業種経験者にも道は開かれています。

――今回のように日本への説明に初めてきたのはいつですか。また、学生らの雰囲気は変わりましたか。

8年前が初めてです。関心は以前から高かったのですが、日本人の英語力は向上し、海外を経験した人も増えています。

説明会に参加する学生らには、国連職員はみな、高い志を持って、人道支援を達成しようと頑張っていることをアピールしています。和平や開発などの点で、世界に貢献しているのです。

――日本の国連拠出金に比べて日本人職員の数が少ないと、以前から指摘されています。その状況は変わりませんよね。

ええ。日本の拠出金はアメリカについて2番目で、この金額に基づくと「望ましい」とされる職員数は186から252人です。しかし、現在はその3分の1程度の80人ちょっとしかいません。ちなみにこの数字は「レギュラー・バジェット・ポジション」での職員で、国連通常予算内で、通訳と翻訳などの言語職を除くポストを意味します。

――職員数では上から7番目程度ですよね。どうして日本人職員が少ないのでしょうか。

応募数がまず少ないです。初めから無理だと思って諦める人が多いのではないでしょうか。日本人は仕事経験も教育も豊富で優秀です。それで、毎年のようにこうして人材開拓に来ているのです。確かに採用されるのは簡単ではないですが、一度働き始めればその後ずっと居ることはそんなに難しくないですよ。男女の間でも扱いや評価は平等で、チャンスも等しくめぐってきます。国連職員には年金も社会保障もあり、日本企業に就職するのと大差はありません。

――日本人は、特に英語力に自身が持てなため応募に躊躇する人も多いと思いますが。

英語は完璧でなくても構いません。重要なのはコミュニケーション力です。職員の多くは英語のネイティブではないです。日本人全体の英語力も上がっています。もちろんリスクもあるかもしれませんがが、ぜひ挑戦してほしい。もっと多くの日本人に来てほしいです。

※国連広報センターのサイトの関連ページはこちら。外務省のサイトの関連ページはこちら

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