六曜カレンダーの配布中止を撤回 大分県佐伯市「政治的判断で配布する」

大分県佐伯市は1月6日、同市が作成した冊子「10年ダイアリー」の配布中止を撤回した。
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大分県佐伯市は1月6日、同市が作成した冊子「10年ダイアリー」の配布中止を撤回した。

地元紙の大分合同新聞などが報じた。仏滅・大安などの六曜が記されているため「科学的根拠のない迷信を信じることが差別につながる場合がある」として中止を決めたが、市は「西嶋泰義市長の政治的判断で配布する」と方針転換した。配布に当たり、ダイアリーには市の見解を示す文書を同封。六曜が人権の問題を含んでいるとする一方、製作に多額の費用もかかっていることを説明して理解を求めるという。

■約2500万円かけて5万冊を作製

このカレンダーは、A5判400ページのもので、市制10周年記念事業として、約2500万円かけて5万冊を作製した。2016年から2025年までの日記を書く欄や10年の歩み、方言、文化財、防災情報などを掲載している。2015年12月25日から市内全世帯(約33600世帯)に配布する予定だった。

しかし、市役所内部から指摘があり配布を見送ったという。12月26日付けの西日本新聞朝刊によると、前日に開いた記者会見で同市は「人権問題に関して、市民が迷信などにとらわれず判断できるよう啓発に取り組んでいる。そうした中、六曜の記載は自治体の配布物としてふさわしくないと判断した」と陳謝していた。

■「六曜は差別に繋がる」人権団体などが指摘してきた過去

六曜は暦上の日を、先勝(せんしょう)・友引(ともびき)・先負(せんぶ)・仏滅・大安・赤口(しゃっこう)の6種の吉凶日に分けたもの。結婚式の日に仏滅を避けるなどの慣習が根強いため、カレンダーなどに記されることも多い。

しかし、人権団体からは六曜が「差別的行為の助長につながる」として行政に撤廃を求める運動が起きている。2005年には滋賀県大津市の職員互助会の職員手帳が六曜を記していたが、部落解放同盟の指摘を受けて3800冊を自主回収・焼却した

大分合同新聞によると六曜との結び付きが強い民間の業界では、「差別につながる」という市の説明に疑問の声も出ていた。

婚礼業界の関係者は「六曜にこだわる人は以前に比べると少なくなっているが、まだ大安などの吉日を好む人は多い。六曜を使うことが差別につながると言われても正直なところピンとこない。逆に差別と意識してしまうことの方が、差別を助長する気がする」。カレンダーや暦の歴史・文化の保護に取り組む日本カレンダー暦文化振興協会(東京都)は「心の持ちようや信念、信条に関わる部分なので否定も肯定もできない。六曜を載せようが載せまいがどちらでもいいと思う」としている。

六曜差別を助長? カレンダー回収相次ぐ - 大分合同新聞 2015/12/27)

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