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「サルに著作権ない」 自撮り写真めぐる裁判、動物愛護団体が敗訴

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CREDIT: DAVID SLATER/PETA VIA AP

2014年、1枚の写真がインターネット上を駆け巡った。それは、歯を見せて笑っているように見えるクロザルが偶然撮影した「自撮り写真」だ。

写真が口コミで広まるにつれ、ある疑問が生じた。この写真の著作権は、一体誰が所有するのか。このサルか、カメラを放置していった写真家か? はたまた、写真の権利は誰にも帰属しない(パブリックドメインとなる)のか?

1月6日、サンフランシスコの連邦裁判所が「このサルに写真の著作権は認められない」と判決を下し、白熱した議論に、ついに決着がついた。

サンフランシスコのウィリアム・オリック連邦判事によれば「議会と大統領は人間だけでなく動物にも法の保護を拡大することができるが、動物にまで著作権法の保護の範囲が拡大された事例はない」という。AP通信が報じた。

オリック判事は「私はこの問題に介入すべき人間ではない」とした上で、「これは大統領と議会の問題です。もし彼らが動物に著作権が認められるべきだと考えるなら、彼らがそうすることも憲法で認められています」と述べた。米ブログ・アルステクニカが報じた。

すべての始まりは、2011年にインドネシアのスラウェシで、イギリス人の自然写真家、デイビッド・スレイターさんが絶滅危惧種のクロザルの写真を撮影していた時のことだ。

スレイターさんは数か月間、三脚の上にカメラを放置したままだった。すると、好奇心旺盛な動物たちがカメラに興味を持ち、それを使って遊び始めたのだ。

ナルトと名付けられたクロザルが偶然にも自分の写真を撮影したのは、その時だった。

それ以降、この写真の著作権を巡って、論争が吹き荒れた。

スレイターさんは、この画像の著作権は自分にあると主張する。誰も自分に写真の使用料を払わないので経済的損失を被ってきたと主張し、この写真を無料で配信してきた人々に反論している。

スレイターさんはウィキメディア・コモンズに対して、写真を削除するように要求した。しかしウィキメディア側は、写真は人間ではなく動物によって撮影されたものだから、パブリックドメインに属すると主張し、要求を拒否した。

これに加え、2015年、動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)がナルトに代わって、この写真の著作権所有を求める訴訟を起こしたことで、議論はさらに白熱してしまった。

PETAは「人間以外による著作者の主張は奇妙に思われるかもしれないが、米国著作権法(17 U.S.C. § 101 et seq.)下の『著作者』は十分に一般的で、ナルトにも適用される」と述べた

同年の9月、スレイターさんはPETAの行動に対し「悲しいし、怒っている」と述べた。

スレイターさんはFacebook上で「動物愛護団体のイメージが悪くなりましたね。本当に動物が必要としていることから目を逸らし、このような馬鹿げた行為に走るのは悲しいことです」と述べた。

オリック判事は1月6日、PETAの主張は「飛躍し過ぎである」として、自分は今度の命令でPETAの訴えを却下するだろうと語った。

しかしPETAの方はというと、ナルトの権利のため、闘い続けるとの姿勢を曲げないようだ。

PETAの弁護士であるジェフ・カー氏は「今日、新たな法制史が作られたのです。なぜなら、ナルトが所有物と見なされるのではなく、著作権の所有者になれるのかどうかについて、連邦裁判所との議論にまで持ち込んだのですから」と述べた。「この訴訟は、自分の利益のために動物を利用する人々の行為も暴いているのです」。

2014年、アメリカ合衆国著作権局は、「自然、動物、または植物により作り出された作品に著作権の保護を付与することはできない。従って、それらはパブリックドメインに属する」と述べた

しかしPETAによれば、アメリカ合衆国著作権法自体に、非人間が著作権を所有することを禁止する文言は含まれていないといい、著作権局の方針は「単なる意見」であると一蹴した。

カー氏はAP通信に対して「著作権法は、作品を作った者に対して著作権を付与するものです。そこに生物の種類の制限はありません」と語った。「著作権法はカメラを所有する人間ではなく、写真を撮った存在に権利を与えています」。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。


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