寝袋にもテントにもなるコート、難民救済へ 学生がデザイン

ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)の学生たちは、変形して寝袋やテントにもなる、難民向けの多目的コートをデザインした。

シリアを離れ、ヨーロッパに向けて数千キロの苦しい旅を続ける難民たち。彼らは身の回りの持ち物、最低限必要な毛布やコートなどでさえ、家に置いていくことを余儀なくされた。

このことにヒントを得て、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)の学生たちは、変形して寝袋やテントにもなる、難民向けの多目的コートをデザインした。

この「衣」と「住」を合体させたユニークな作品は、まだ試作段階だが、RCAの学生たちは現在クラウドファンディングで資金を募っており、2016年の7月までにはシリアの人たちに最初の製品版を届けたいとのことだ。

「良いデザインというのは、必ずしも高度なテクノロジーや装置に限った話ではありません。社会的な側面を持ち、困難な状況に直面している人たちの必要性を満たすものでもあるのです」。RCAのハリエット・ハリス教授はハフポストUS版にそう語った。

この試作品をデザインした、RCAの学生10人のチームを指導しているのは、ハリス教授と特任教授のグレーム・ブルッカー氏で、現在この試作品は中国の工場で作られている。

難民にとっての旅がどのようなものかを知るため、学生チームは「国境なき医師団」と相談したという。その結果、コート・寝袋・テントという、3つの役割をこなせる衣服の構想を思いついた。

「この3つの形態で、難民が2〜5週間にもわたる旅の途中で遭遇するであろう様々な状況に対応できる」とハリス教授は話す。

デザインの過程で最も難しかったのは、どのようにしてコートをシェルターに変形させるかだったと、RCAの学生の1人キャシー・バックハートさんは述べた。寝袋のデザインは自然に生まれたという。コートは軽く、防水のタイベックという合成素材で作られており、ハリス教授によると、工場で大量生産しても十分に安いコストで作ることのできる素材だ。

テントがコートへと変形していく過程は、以下の動画から確認できる。

ハリス教授は、現在ヨーロッパに100万人以上いる難民や移民のニーズに対応できる実用的な解決策が無かったことが、今回の計画の動機になったと話している。

「私たちのこのコートで、難民の問題が全て解決するわけではありません。あくまで部分的に解決するだけです。また、この人目を引く、刺激的なデザインが難民危機に注目を集めてくれることにも期待しています」とハリス教授は述べた。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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アーティストがホームレスの人たちのためにデザインしたメッセージボード

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