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認知症男性の死亡事故、JRが逆転敗訴 最高裁「家族に監督義務なし」

2016年03月01日 16時40分 JST | 更新 2016年03月01日 16時41分 JST

認知症の男性が徘徊中に列車にはねられて死亡した事故をめぐって、JR東海が遺族に約720万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は3月1日、家族に賠償責任はないとする判決を言い渡した。認知症の人を介護する家族の監督責任について、最高裁が判断を示したのは初めて。朝日新聞デジタルなどが報じた。


■JR東海が720万円の賠償を求めて提訴

この裁判は、2007年12月7日、愛知県大府市で徘徊症状のある91歳の男性が電車にはねられて死亡したことをめぐるもの。男性は当時「要介護4」の認定を受けていたが、同居していた当時85歳の妻らが目を離したすきに男性は外出していた

NHKニュースによると、列車に最大で約2時間の遅れが出たとして、2010年にJR東海は対応にかかった費用として720万円の賠償を求めて家族を提訴した。1審は男性の妻と長男に請求どおりの賠償を命じたが、2審は同居していた妻にだけ約360万円の賠償を命じ、双方が上告。

2月2日の最高裁で開かれた弁論ではJR側が「同居していた妻や介護の方針を実質的に決めていた長男には監督義務があったのに対策を怠った」と主張したのに対して、家族側は「一瞬も目を離さずに見守るのは不可能で、監督義務を課すと家族の負担が過酷になる」と反論していた。


■高齢者介護の現場に影響も

責任能力がない人の賠償責任を「監督義務者」が負うと定めた民法714条をめぐり、認知症の人を介護する家族が監督義務者と言えるかが最大の争点となった。3月1日の最高裁判決では、上告した妻は監督義務者に当たらないと判断し、賠償責任もないと結論づけた。

認知症は高齢者の4人に1人が予備軍とされており、2015年現在で約520万人いると厚労省は推計している。2025年には約700万人まで増加する見込みだ。最高裁が示した判断は、高齢者介護の現場に影響を与えそうだ。

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