メガネは「なりたい自分」を実現させるためのアイテム――JINSデザイナーが追求する「モノづくり」へのこだわりとは

2016年03月24日 00時09分 JST | 更新 2016年03月24日 00時31分 JST
Tomohiro Yamamoto

メガネをかけたことがある人なら、一度は「今かけているメガネは本当に自分に合っているのだろうか」、あるいは新しいメガネを選ぶときに「自分に合ったメガネって本当にあるのだろうか」と思ったことがあるのではないでしょうか。

自分に似合うメガネを選ぶのは難しい。ましてや、メガネ店に入ってみたらどれが良いのか分からない…とがっかりしたこともあるはず。でも、「自分に合うメガネは必ずある」と断言するのは、アイウエアブランド「JINS」のデザイナー、北垣内康文さん。

「自分に似合うメガネ」を選ぶポイントは何なのか? メガネのプロから見ると、それは、単純に見た目のデザインだけではないようです。

■バランスだけでなく、「なりたいイメージ」を膨らませる

――メガネをかける人なら誰しも悩むことだと思うのですが、「自分に似合うメガネって何だろう」「本当にこのメガネ、自分に合っているのかな」と思いながら、なんとなくメガネ選びをしているように思います。一人ひとりに似合うメガネというものは本当に見つかるものなのでしょうか?

メガネ選びのポイントはいくつかあるのですが、まずは顔の形に合うフレームを選ぶことがとても大切です。卵型の輪郭を基準に、「丸顔」「面長」「三角顔」「四角顔」の4つの輪郭に合わせて、人にどんな印象を与えたいかによってフレームを選んでみてください。

たとえば丸顔の方で、相手にキリッとした印象を与えたいとすればスクエア型のフレーム、四角顔で優しい印象を与えたいという時にはオーバル型のフレームを選ぶ、といった具合です。

顔の輪郭に合わせたフレームの形

また、フレームの縦幅は、眉からあごまでの3分の1だとバランスが良い、テンプル(メガネのつる)部分がきつく食いこまない幅を選ぶ、黒目の位置はレンズの中央、または少し内側に入るくらい、といったように、顔に合ったフレームサイズを意識しましょう。

このように、いくつかのポイントを押さえるだけで、自分に似合うバランスのとれたメガネを選ぶことができます。一方、「自分は仕事ができるように見えたい、エレガントな雰囲気になりたい」など、なりたい自分のイメージを膨らませていき、別の視点も追加して選ぶことを我々はお勧めしています。JINSでは、店頭に常時約1200種類のデザインのフレームを用意しているのですが、メガネ1本1本、「どういう人が、どういう時に、どういったかけ方をするのか」具体的にイメージしながら素材や色を選び、デザインしています。メガネをかける人一人ひとりの"ストーリー"に合わせられるものを作っているのです。約1200種類ある中から、皆様の年齢・性別・ライフスタイル・趣味趣向にぴったり合うメガネがきっと見つかると思います。

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――メガネを自分に合わせること以上に、なりたい自分に変わるためにメガネを利用することが大切なんですね。

そうですね。自分はどうなりたいのか、相手にどう見せたいのか。それがメガネ選びで一番重要だと思います。「今までかけていたメガネに慣れているから次も同じようなフレームで」とか「メガネの存在感を消したいから目立たないものを」といった消極的な理由でメガネを選ぶ方はまだまだ多いと思います。けれども、「私はこういう人間になりたい」という前向きな理由で、メガネを楽しんで選んでいただき、使っていただければと思うのです。

だから私たちは、楽しんでもらうために多くのバリエーションをできるだけ手に取りやすい価格で用意することで、気軽に「なりたい自分」へイメージチェンジできるお手伝いができればと考えています。

毎日洋服や靴を変えるのと同じようにメガネを変えてもらえるといいですよね。洋服や靴だと、サイズが違っても値段は基本的には変わりません。ですがメガネの場合、例えばレンズを薄型にすると値段が上がることが多く、それが視力の悪いことへのコンプレックスにもつながったり、お金がかかるからメガネをかけ替えることをしなくなったりといったことにつながっていました。私たちはどんな度数が強くても、どんなに乱視がきつくても、基本的には追加料金をいただいておりません(※)。

※単焦点クリアレンズに限ります。度数や乱視の状況によります。

――とはいえ、約1200種類という膨大な数の中から自分に似合うメガネを自力で探しだすのは難しいですよね。選ぶポイントはあるのでしょうか?

JINSではメガネの用途、そしてどんな雰囲気にしたいかといったニーズによって選び方のセグメンテーション(細分化)を図っています。ビジネスやカジュアルなど、自分がメガネを使うシーンを想定した区分を設定し、売り場をゾーニングしていますので、ご自分の狙うテイストを見つけやすいと思います。さらにそのセグメント毎に「なりたい自分」を加味した形で細分化をしてデザインしています。細かいデザインや色の違いを試していただきやすい並べ方をしていますので、そこで顔の形に合わせて絞り込んでいくと、本当に自分が必要とするメガネにたどり着く、というシステムです。

こういったシステムは、あくまでその人がなりたいイメージをふくらませるためのものです。顔の形に合わせたおすすめのフレームは確かにありますが、重要なのはどんな自分になりたいかというイメージに沿ったメガネ選びをサポートするシステムなのです。

先ほど申し上げたメガネ選びのポイントだけにこだわると、人から見て違和感のない姿にはなりますが、自分のなりたいイメージに到達しない可能性があります。多少ルールから外れても「なりたい自分」を演出することで、ちょっとした違和感も個性につながることがあるので、これまでかけたことのない形でも積極的に試していただきたいです。

■メガネを長く使うために必要なことは?

――日々の生活の中でメガネをかけ続けていると、手入れもおろそかになってしまいがちです。長く使い続けるために必要なことは何でしょうか。

たとえばメガネをたたむときは左側のテンプルから先にたたむ、そしてレンズがひどく汚れたら拭くよりも1回水洗いし、柔らかい布でコーティングがはがれないよう優しく拭き取るといいでしょう。あとは高温の場所に置かないことが重要です。夏場の車内に放置するとメガネが歪んでしまう原因になります。

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メガネの開閉テストの様子

JINSでは、できるだけ長く使っていただくためにさまざまな耐久検査を行っています。メガネの値段が安ければ、素材も性能もそれなりなのではないかというイメージを持たれるかもしれませんが、JINSでは国際規格のISOや、旧JIS規格(日本で過去に定められた高度な品質を要求する工業規格)をクリアすることはもちろん、より高いハードルを課す形で最大14種類の品質検査をしています。たとえば、メガネをかけたり外したりする動作を想定して2万回の開閉テストを行ったり、人間の汗や薬剤による表面劣化を確認する耐腐食性試験を実施したりしています。

仮にメガネを1日に3回掛け外しすると、2万回行うには18年以上かかります。それほど多く開閉されることを想定しているのです。これらの基準を満たさなければ、製品化されることはありません。

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――なぜ、ここまでメガネ作りに情熱とこだわりを持っているのでしょうか。

わたしたちが日々思っているのは、メガネというプロダクトを通して人々の生活をよりよいものにしていきたい、ということです。メガネをかける人がより豊かな生活を送れるためにできることは何だろう、と真剣に考えながらメガネを作っています。それが社風につながっているのではないかと思います。

メガネを選ぶというささいなことから、人生の中で「なりたい自分」になれる道はあるのだという気づきにつながるきっかけになるとしたら、メガネというモノづくりに携わっている1人の人間として、こんなにうれしいことはないですね。

メガネをかけた有名人たち