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新20ドル札の顔になる女性は、かつて20ドルで父を救おうとした。

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次の20ドル札は、こんなデザインになる?

地下組織をつくって奴隷を解放させた女性が、新たな黒人の歴史をつくった。

4月20日、アメリカ財務省が、奴隷解放運動家のハリエット・タブマン氏が、2030年に発行されることになる20ドル札の表を飾る、と発表した。アメリカの紙幣の表を、アフリカ系アメリカ人が飾るのはこれが初めてだ。

現在20ドル札の表に印刷されている第7代大統領アンドリュー・ジャクソン氏は、裏側にまわる。奴隷として生まれたタブマン氏が、奴隷を所有していたジャクソン大統領に取って代わるというのは、何とも皮肉なことだ。

タブマン氏は、奴隷解放組織「地下鉄道(Underground Railroad)」を作り、数千人の奴隷を助けたことで知られる。新たな20ドル札の顔として選ばれた彼女だが、実は20ドル札にまつわるユニークなエピソードがある。

アトランティック誌のヨニ・アッペルバウム氏によると、それはこんなストーリーだ。

1. ハリエット・タブマン氏の伝記の著者、サラ・ホプキンス・ブラッドフォード氏が、タブマン氏のこんな逸話を紹介している。

2. タブマン氏の両親は、メリーランドで働かされている奴隷だった。彼らを助けるためには、資金が必要だった。

3. 資金を手に入れるため、 タブマン氏は奴隷制度廃止派オリバー・ジョンソン氏のニューヨークにある奴隷事務所に乗り込んだ。そして、座り込んでハンガーストライキを決行した。

4. タブマン氏はジョンソン氏にこう訴えた。「20ドルを要求するよう、神がお告げになったのです」。タブマン氏を怪しい人物だと感じたジョンソン氏は、彼女を無視した。

5. しかし、タブマン氏が苦しい状況に置かれていることを知った人々が、彼女が眠った後に、ポケットに60ドルを入れてあげた。そのお金と共にタブマン氏はメリーランドへ向かい、父親を自由の身にした。

6. 「20ドルをください」と求めたタブマン氏。彼女が次の20ドル札の顔になる。

このストーリーは、1869年に出版されたタブマン氏の伝記「Scenes in the Life of Harriet Tubman」の中に記されている。筆者のブラッドフォード氏は白人の女性で、金銭面でタブマン氏を助けるためにこの本を書いた。

奴隷だった両親を救うために要求した20ドルに、タブマン氏が描かれるというのはとても興味深い。


1860〜70年の間に撮影されたタブマン氏の写真。アメリカ議会図書館所蔵。

もう一つ面白いエピソードがある。タブマン氏は、奴隷解放活動家以外の顔も持っていた。南北戦争の間、彼女は看護師そして北軍の秘密スパイとして働いた。1865年にニューヨークに戻った後は、年老いた両親を看病しながら近くの病院で働いた。しかし、3年後に夫が亡くなると生活が苦しくなった。

そこで彼女は、南北戦争で働いていたときの報酬を払うよう、政府に求めた。しかし支払いは拒否された。働いていたという正式な証明がなかったからだ、とVoxは伝えた。そこでタブマン氏は、連邦政府を相手に訴訟を起こした。裁判所で何度も議論を戦わせた結果、アメリカ議会の年金委員会は、タブマン氏に月々20ドルでを支払うことで最終的に合意した。

2030年に20ドル札の顔となる女性は、20ドルにとても縁が深かったのだ。

今回のデザイン刷新では、タブマン氏に加え、公民権運動の指導者、マーチン・ルーサー・キング氏が5ドル札の裏を飾ることになる。人種差別を受け、ワシントンD.C.のコンスティチューションホールでの公演を禁じられたオペラ歌手、マリアン・アンダーソンも一緒だ。

しかし、一番注目を集めているのはタブマン氏だ。紙幣に描かれた彼女は、人種差別の歴史と痛みをアメリカに思い出させるだろう。それは、今でも人種差別が残る社会に住む私たちが、いつも心に留めておかなければいけないことだ。

ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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