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"トイレ法案"めぐりアメリカ政府とノースカロライナ州が大論争。「差別だ」ってどういうこと?

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5月9日「トイレ法案」に関して、議会に説明を求めるノースカロライナ州のパット・マクロリー州知事(共和党)

トランスジェンダーに「出生証明書と同一の性別」のトイレを使うよう求める州法は合衆国憲法に違反している ―― オバマ政権がLGBTを差別する法案に厳しい姿勢をみせた。

この州法、通称「ハウスビル2」(HB2)は、3月23日にノースカロライナ州で知事によってサインされた

しかし5月9日、オバマ政権が州法は違憲であるとして同州を提訴した。司法省は訴状の中で次のように主張している。

「州法はトランスジェンダーを辱め、非難するものだ。彼らを孤立させ、トランスジェンダーは平等や尊敬を受けるに値しない存在だという認識を社会に植え付ける」

また、「性器はあくまで性別の構成要素の一つであり、その人の性別を決めるものではない」とも司法省は述べている。

ノースカロライナ州では、南西部の都市シャーロットで、ゲイやレズビアン、トランスジェンターが、自認する性に応じたトイレを使うのを許可する条例が2月に可決された。ところが、州はこの条例を無効にするために、HB2を可決した。ダン・フォレストノースカロライナ州副知事(共和党)はシャーロットの条例を「幼児性愛者や性犯罪者、変質者も、女性や子供たちがトイレを使っているところを自由に覗けるようになってしまう」と批判している。

しかし、ノースカロライナ州出身であるロレッタ・リンチ司法長官は、これは「アメリカ国民の尊厳と尊敬にも影響を与える、単にトイレに関する以上の問題だ」とし、次のように発言している。

「このような差別的な動きは、今回が初めてではありません。奴隷解放宣言の後には、ジム・クロウ法(有色人種に一般公共施設の利用を禁止した法律)がつくられました。ブラウン対教育委員会裁判(黒人と白人の生徒を別々の学校に通わせるよう定めた州法を、違憲と認めた裁判)に対しても、反対する動きがありました。また多くの州が同性のカップルを禁止し、結婚を望むゲイやレズビアンの夢を踏みにじってきました」

「もちろんそれは現在では、憲法で保証された権利です。そして様々な州で、LGBTコミュニティーに向けた法案がつくられています。こういった差別禁止に抵抗しようとする動きの中には、未知のものに対する人間の恐怖、変化に対する不安を反映しているものもあります」

「しかし今は、恐怖によって動く時代ではありません。今は、違いを受け入れ、多様性を認め、思いやりと広い心を持つというアメリカの美徳を、思い出す時なのです」

「私たちが絶対にしてはいけないこと、それは隣人、家族、同じ国民に対して、自分ではコントロールできないことを批判し、人格を否定することです。そのために、州が個人のアイデンティティーを規制したり、本来の自分ではない人間として振舞うよう要求したり、差別したいがために本来は問題ではないことを問題化してしまったりする時、私たちはただ黙って見過ごすわけにはいかないのです」

政府がノースカロライナ州を提訴した日、ノースカロライナ州も政府を提訴した。政府が「トイレ法案が公民権法に違反している」として、州への教育資金援助を削減するようほのめかした、という理由だ。同州は、この法案は「身体のプライバシーの権利を守るもの」で、司法省の反応は「根拠の無い、あからさまな行き過ぎた干渉」だと主張している

オバマ政権は2015年、「出生時の性別と、自身が認識している性別が合致しないからといって、トランスジェンダーの生徒に不利な扱いをすることは重大な差別だ」と発言している。また高等裁判所も2016年、トイレに入ることを拒否されたトランスジェンダーの生徒の訴えを認める判決を下している

ノースカロライナ州のマクロリー州知事は9日の記者会見で、「これは、新しく、複雑で感情的な問題であり、プライバシーと平等のバランスをとる必要がある」と述べている。

ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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