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グレート・バリア・リーフ、3分の1以上が死滅した地域も 世界最大のサンゴ礁で進む「白化現象」

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オーストラリアの研究グループは5月29日、グレート・バリア・リーフの一部でこれまでないほどの規模の大きなサンゴの白化現象が起こり、この地域のサンゴ礁の3分の1以上が死滅してしまったと発表した

白化現象とは海水温が上がり、サンゴから褐虫藻が抜けだしてサンゴが白くなる現象のこと。サンゴは色と同時に成長するツテを失って、ほどなく死に至る。

今回の報告で、「地球最大の生命体」とも言われるグレート・バリア・リーフは、またしても悪いニュースが続くことになってしまった。わずか1カ月前、研究グループはグレート・バリア・リーフのサンゴの93%が白化現象の影響を受けていると発表したばかり。

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今、オーストラリアのグレート・バリア・リーフでこれまでにない規模のサンゴの白化現象が進み、サンゴ礁が深刻な被害を受けている。

最新の統計結果は特にグレート・バリア・リーフの北部と中央部に関するもので、研究グループは「これほどの規模の大きな白化現象は観測したことがない」と話している

今回のサンゴ礁の調査を担当した、科学者でナショナル・コーラル・ブリーチング・タスクフォースの代表テリー・ヒューズ氏は、「地球温暖化により、グレート・バリア・リーフの珊瑚礁に白化現象が観察されたのはこの18年で3回目のことだが、今回はこれまでと比べ物にならないくらい規模が大きい」と話している。ヒューズ氏によると、今回はエルニーニョ現象(赤道付近のペルー沖から中部太平洋にかけて、数年に1度、海水温が平年より高くなる現象)によりさらに白化が進んでしまったという。

ヒューズ氏は、「白化現象のサイクルを繰り返すことにより、一度弱体化したサンゴ礁が元に戻るのは非常に困難になる」と警告した。

今回の調査で唯一救いとなるのは、グレート・バリア・リーフの南のエリアでは、死滅してしまったサンゴはわずか5%だったことだ。研究グループは、これらの「若干白化した」サンゴのエリアは数カ月で元に戻ると考えている。

温暖化で海水の温度が高くなると、サンゴ礁の白化現象が頻繁に発生しやすくなる。海水の温度が低くなればサンゴは白化から回復することができるのだが、海水が長時間暖かいままだと、多くのサンゴが死滅してしまう可能性がある。

ヒューズ氏たちの研究グループはこの大規模な白化現象を観測した後、現在のグレート・バリア・リーフの状態についてここ数カ月警鐘を鳴らし続けている。2015年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)は世界遺産のグレート・バリア・リーフを「危険遺産」のリストに加えたが、オーストラリア政府はまだサンゴ礁の大部分は問題ないと考え、本格的な対策を講じていない。

イギリスのガーディアン紙は5月27日、オーストラリア政府が国連に対し、気候変動により存続が危ぶまれている世界遺産に関する報告書に、あえてグレート・バリア・リーフには言及しないでほしいと圧力をかけていたと報じた。オーストラリア政府は、観光業に影響を与えることを懸念していたとみられる。

ヒューズ氏の研究グループが報告書を発表したのと同日、この研究の責任執筆者アダム・マーカム氏はブログで、本来はオリジナルの報告に入る予定だった情報を公開した。「サンゴ礁の白化は今も続き、さらに事態が悪化する可能性もある」ため、マーカム氏は緊急に対策を講じる必要があると呼びかけている。

オーストラリア政府はこのサンゴの白化現象に対応するため、年間2億ドル(約222億円)の予算をサンゴの保全に充てることを約束した。しかし研究グループは、気候変動による海水温度の上昇を解決するには、温室効果ガスを減少させるしかないと考える

ヒューズ氏は、環境学者たちからの激しい反対にもかかわらず、オーストラリア環境省が国内最大の鉱山開発を承認したことを指摘している

「サンゴ礁にとって最も脅威になっているものは気候変動です。オーストラリア政府もそのことは十分に認識していると思います」とヒューズ氏はシドニー・モーニング・ヘラルド紙に話した。「しかし、新しい鉱山に60年間の稼働を承認するなど、政府の政策には齟齬があり、そういった姿勢がグレート・バリア・リーフや、その他のサンゴ礁にも影響を与える可能性があるのです」

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白化するグレート・バリア・リーフ
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ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。