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【石川佳純選手】奇跡ではなく"勝てた理由"が必ずある。女子卓球・日本代表たちの勝利への思い

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子どもからお年寄りまで楽しめる競技といえば、卓球だ。小さいスペースで行えるスポーツであり、温泉宿で楽しむ娯楽としても親しまれている。

人気、競技人口ともに上昇中の卓球だが、トップアスリートから地域のチームまで、スポーツくじ(toto・BIG)の収益による助成が広く活用されている競技のひとつであることをご存知だろうか?

2016年2月に開催された卓球世界選手権団体戦では、日本は男女とも銀メダルを獲得し、世界的な実力を改めて証明した。卓球日本代表の練習拠点、味の素ナショナルトレーニングセンターでは、彼女たちのラリーが今日もリズムを刻み続ける。世界の頂点を目指し、練習を重ねる女子代表、福原愛選手(ANA)、石川佳純選手(全農)、伊藤美誠選手(スターツ)に話を聞いた。

高め合って成長できる、ライバルとのいい関係(福原愛選手)

——団体戦で同じ日本代表メンバーである石川佳純選手、伊藤美誠選手について、どんな印象をお持ちですか?

2人とも、試合を見てみなさんが感じるとおり、勝利に対する意欲が強い選手です。私も見習いたい部分ですね。そのほかにも、私に欠けているところを2人から勉強していきたいです。

特に佳純ちゃんからは、本当にいつもいい刺激をもらっています。佳純ちゃんがいてくれることによって、私もさらに頑張れる。ライバルって本来そういうものだと思います。対戦することもあれば、一緒に練習することもありますので、お互いに切磋琢磨しながら高め合って成長していくことは、日本の女子チームにとっても良いことだと思っています。

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結果こそが、アスリートを支えてくれる人たちへの恩返し

——アスリートとして長くスポーツに関わってきて、スポーツを「見る人」「支える人」の存在をどのように感じますか?

私は色々な国で大会に出場し、国それぞれの環境の違いも体験していますが、ファンの方々の応援にも、お国柄といいますか、それぞれ特徴がありますね。

たとえば中国では観客の中に卓球経験者が多いと感じますし、ヨーロッパは会場を盛り上げるのが上手だと感じます。ですから中国やヨーロッパの会場では、観客席からものすごい迫力を感じます。そして日本では、応援を通して選手を支えようというみなさんの心を、たくさんいただいています。

スポーツを支えてくださるという意味では、やはりスポーツくじが果たしてくれていることが、私たち選手にとって本当にありがたいことです。私は個人として平成25年、26年にアスリート助成という形で支援していただきましたし、卓球界全体も、また他のスポーツも、選手育成のために幅広く助成していただいています。

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自分のプレーや成績は、周りの方々に支えていただいて残せているもの。そういった方たちに出会えていることが、一番の奇跡だと思います。みなさんからいただく様々な支えに対して、私たちアスリートは結果を残すことが一番の恩返しだと思いますので、選手みんなが努力して日本スポーツ界を盛り上げていきたいと思っています。

母のノートに綴られた、福原選手が『卓球を始めた日』

——福原さんのブログには、去年の8月13日に『卓球を始めた日』というタイトルの文章が綴られていました。日付まで覚えているほどの何か強いエピソードがあるのでしょうか?

1992年8月13日が、私が正式に卓球の練習を始めた日だと、母から聞きました。当時私は3歳9カ月でした。小さい頃、卓球台の上に置いたぬいぐるみにボールを当てたりしていた記憶がかすかに残っています。母はこの8月13日からずっと、私の練習ノートを付け続けていました。ちなみにそのノートを、私はまだ読んだことがありません。

年を重ねるたびに、この8月13日という日が大事に思えるようになってきました。自分一人ではこの場所に立てていなかった、ということを実感するからです。

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福原 愛(ふくはら あい)
1988年11月1日、宮城県仙台市出身、ANA所属。3歳9カ月より母親の指導のもと卓球を始め、5歳10カ月で全日本選手権バンビの部(小2以下)で優勝するなど、最年少記録を多く作った。以降、内外の大会で活躍を続け、ITTF世界ランキング7位(2016年5月現在)。オリンピックには2004年アテネ、2008年北京、2012年ロンドンに出場、ロンドン五輪では団体銀メダル。2016年世界選手権では団体戦銀メダルを獲得。

世界の舞台で「自分の成長を感じた」(石川佳純選手)

——世界選手権での、日本女子の準優勝という結果をどう受け止めていますか。

レベルの高いチームとの対戦が続いた大会で、決勝まで勝ち上がれたことは大きな自信になりました。

決勝では中国の李暁霞選手と対戦しました。李選手とはロンドンオリンピックのシングルス準決勝でも対戦しましたが、そのときは正直手も足も出ないという印象でした。逆に今回の世界選手権は、私が第1第2ゲームを連取して、勝てるチャンスがすごく大きかったと思います。

決勝で負けてしまったことは悔しいですが、ラリーや3球目攻撃などで、自分の成長を感じることもできました。

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——日本代表の仲間である福原愛選手、伊藤美誠選手の印象は?

福原さんはいつでも全力。どんな時も手を抜かないプロフェッショナルだと思います。福原さんとは世界ランクも競っていますし、仲間でもありライバルでもあります。競う相手がいることは刺激になり、ありがたいことだと思います。

(伊藤)美誠ちゃんは15歳ですけど、すごく落ち着いていて物怖じしないですよね。私は年齢や実績を重ねるごとに自分に自信とプレッシャーの両方を感じるようになりましたが、美誠ちゃんにはいつまでも堂々と、落ち着いた卓球をしてほしいと思っています。

人とスポーツの“出会いの場”を作ってくれるもの

——石川選手が卓球を始めたのは、小学1年生の時だそうですね。

はい。日本代表レベルの選手は2歳、3歳から始めたという選手が多いので、私は遅いほうです。

私が卓球を始めるきっかけになったのは、両親の所属する卓球クラブの試合を見にいったことでした。最初は会場で他の子どもたちと遊んでいましたが、すぐに飽きてしまい、「大人の仲間に入りたい」と思ったのが卓球との出会いでした。

それから4カ月ぐらいで全国大会の予選に出場して、予選通過できたんです。勝てたことが嬉しくて、一生懸命やろうという気持ちになりました。すると今度は母が自宅の1階に卓球場を作り、卓球教室を開きました。まさか家に卓球場ができるなんて想像もしなかったので、「これは頑張らなきゃいけないな」と思ったことをよく覚えています。

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——自宅が卓球場になり、卓球教室が開かれた。身近な場所に施設があるというのは、とても恵まれた環境だと思います。スポーツくじも、全国各地の様々な人たちがスポーツを楽しめるように、施設の整備などを助成しています。

スポーツくじは人々とスポーツとの出会いの場を作ってくれているのだと感じます。小1の私が卓球と出会ったのも、近所に体育館があって、そこで大人たちが楽しそうに球を打っていたからです。

卓球は何歳からでも始められるスポーツで、そしてたくさんの世代が一緒にできるスポーツでもあります。小さな子どもとおじいちゃん、おばあちゃんが試合をできるスポーツは、なかなかないと思います。

逆転勝利は「奇跡」じゃない。なぜ勝てたのか? その根拠を考える

——石川選手の卓球人生の中で、「これは奇跡だ!」と思うような体験はありましたか?

自分の想像を超えるパフォーマンスを出せた経験なら、あります。2009年に横浜で開かれた世界選手権です。当時16歳の私は世界ランク99位で、10位の帖雅娜選手(香港)と対戦しました。4ゲーム先取で勝ち抜けという試合で、私は第3ゲームまで全部負けて、第4ゲームも3-9と大きくリードを奪われました。あと2点で相手の勝ちが決まる。でもそこから私が挽回して、第4〜第7ゲームを取り逆転勝ちしました。

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きっと見ている方は「奇跡だ!」と感じたと思います。でも私は、それを奇跡と表現するつもりはありません。私には勝てた理由があると思っています。それは「絶対あきらめない」という気持ちと、マックスまで高まった集中力です。集中しきった時からボールがすごくゆっくりに見えて、普段見えないボールの回転まで見えました。そして打つ前に「これは絶対入る」と思うと、必ず狙ったところに入りました。

去年、ラグビー日本代表が南アフリカに勝った時も「奇跡だ」と表現されていましたけど、私は必ず根拠があると思っていたので「どんな練習をしたのだろう」という興味を抱きました。「あれは奇跡だったね」で片付けることなく、「なぜ勝てたのか」と考えることで身につくものがあるはずです。私は2009年のあの大逆転のように、練習から高い集中力を持てている時は、試合でも集中力のスイッチが入りやすいのかなという感覚をつかんでいます。

——今後も大きな舞台で、石川選手の「必然の大勝利」を期待しています。最後に、スポーツくじを購入することで様々なスポーツを応援してくれているスポーツファンのみなさんに、メッセージをお願いします。

みなさんの気持ちをエネルギーに変えて、もっともっと活躍できるように頑張っていきます。多くの方に支えていただいていることをとてもありがたく感じています。私の大きな目標は、やはり世界一です。これまでにお会いしたことのある吉田沙保里さんや高橋尚子さんなど、世界の頂点に立った方はやっぱり金メダルのように輝きが違うなと感じます。私もその輝きを手に入れたいです。

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石川佳純(いしかわ かすみ)
1993年2月23日生まれ、山口県出身、全農所属
両親共に元卓球選手という環境で育ち、小学1年生で競技を始める。
全日本選手権ジュニアシングルスで史上初の4連覇、インターハイ3連覇という記録を残す。2011年の全日本選手権でシニアを初制覇し、高校生の全日本選手権女子シングルス制覇(22大会ぶり4人目)という快挙を達成。2012年ロンドンオリンピックでシングルス4位、団体銀メダル。2015年の全日本選手権では54大会ぶりの3冠を達成し、同年ワールドカップで日本人女子初の準優勝を果たす。2016年世界選手権団体戦銀メダル。ITTF世界ランキング4位(2016年5月現在)。

恐れずに自分を変える勇気をもつこと(伊藤美誠選手)

——2月28日から3月6日に行われた世界選手権を振り返ってみて、どんなシーンが印象に残っていますか。

一番印象に残っている試合は、準決勝の北朝鮮戦です。第1試合で負けた時、自分の調子の悪さに驚いてしまいました。次の出番となった第4試合では、自分を変えなければいけないと思いました。やれることをすべて出そう、思い切って攻めて主導権を握っていこうと。その気持ちを試合に出すことができ、初めて対戦したリ・ミョンスン選手に勝つことができました。

——伊藤選手は15歳と若いですが、これまでに伸び悩んだとか、壁にぶつかったと思うことはありましたか?

2015年の7月から9月頃にかけて、まったく成績が出なかったことですね。その苦しい経験を踏んだことで、自分を崩す必要はないと気づきました。自分を変化させるのは、練習にじっくり集中できる期間に取り組めばいいと思うようになりました。

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皆さんの前で素直な自分を出せる選手になりたい

——世界選手権の様子はテレビ放映され、日本でもとても盛り上がっていました。

いただいた感想の中に、「初めて卓球を見て感動した」というのがありました。私たち選手も、感動を届けられたことを嬉しく思っています。

日本では卓球人気が急上昇というか、盛んになってきたと感じます。でも、中国はもっとすごいです。中国はまさに卓球の国という感じで、テレビをつければCMにもバラエティにも卓球が出てくるんです。卓球は競技スポーツとしても、健康づくりのためにも、どちらでも楽しめるスポーツだと思いますので、日本でももっと広まるといいな、と思います。

——スポーツを見る人、支える人の存在を、どんな風に感じますか?

スポーツくじには一昨年東京で開催された世界卓球の大会や、私とダブルスを組むことの多い平野美宇選手が所属するJOCエリートアカデミーも助成していただいていると聞いています。そのように支えてくださる方たちのおかげで私たちは競技に参加できていますので、その恩返しとしてしっかり成績を残して帰ってきたいと思っています。

また、スポーツを応援してくださる方たちの前で、私は素直な自分を出せる選手になりたいです。試合では真剣に勝負に集中して、試合が終わったらみなさんに明るさや元気を届けられ、時には笑いも取れるような(笑)そんな選手を目指します。

「運命を感じます」——あこがれの選手と世界の舞台に立つこと

——伊藤選手ご自身の今までの卓球人生で、「これは奇跡だ!」と思うようなことはありましたか?

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2015年のITTFワールドツアー・ドイツオープン優勝が、私にとっての奇跡の始まりです。あの優勝があったからこそ私は、正式に団体戦代表候補としてメンバーに選ばれるという道につながりました。

団体戦では、私が小さい頃からの憧れである福原選手とチームメイトとして戦うことになりました。

2歳の頃に初めて母から買ってもらったラケットは、ピンク色の「福原愛モデル」。私が5歳になった頃には、世界で活躍している福原選手をテレビで見て、「こういう選手と一緒に試合に出たい」と思っていましたので、今、福原選手と同じ日本代表チームで戦えていることに運命を感じます。

ドイツオープン以来、対戦相手から研究されるようにもなりましたけれど、研究されても勝つというのが本当の勝ちだと思います。前に試合をやった時と同じ自分じゃなく、新しい技を身につけた自分として再戦するというのが理想です。

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伊藤 美誠(いとう みま)
2000年10月21日、静岡県磐田市出身、スターツ所属。2歳で卓球を始め、2008年全日本卓球選手権バンビの部(小2以下)で優勝。2011年、全日本卓球選手権大会でそれまで福原愛が持っていた史上最年少勝利記録を塗り替えた。2014年、平野美宇との女子ダブルスでITTFワールドツアーのドイツオープン、スペインオープンで2週連続優勝し、同年のグランドファイナルでも優勝。2015年のドイツオープンでシングルス初優勝。2016年世界選手権団体戦銀メダル。ITTF世界ランキングは10位(2016年5月現在)。

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