スタンフォード大レイプ事件、被告に被害者女性の妹から手紙「体が枯れるくらい涙を流した」

「あなたは気の毒だと思っていることが、一つだけあります。あなたは、暴行する前の姉がどんな人間だったか知らない」

ブロック・ターナー被告

アメリカの名門スタンフォード大学の水泳チームに所属していたブロック・ターナー被告は、在学当時、酒に酔って意識を失っていた女子学生をレイプした罪などで有罪判決を受けたものの、「被告に深刻な影響を与える」ことから禁錮6カ月という軽い量刑が言い渡され、議論を呼び起こしている。ターナー被告のレイプ事件に関する裁判所の文書が、6月10日に公開された。この文書の中には、事件のあった夜に被害者女性と一緒にいた、被害者女性の妹の胸の張り裂けるような手紙も含まれていた。

この21歳の被害者女性の妹からの手紙は、姉が2015年の1月にレイプされてから、家族が経験してきた痛ましい回復の過程についての感情的な証言だった。

「今でも、このことを考えるととても気分が悪くなります」と、妹は姉が襲われた夜のことを書いている。「この事件を思い出す度に、吐き気がします。あの時、姉の近くにいて、姉を守ってやれなかったことを考えると、今でも悲しくなります。それ以来私も姉も気持ちがふさぎ込み、言葉を交わすこともなくなり、体が枯れるくらい涙を流してきました

この手紙は、6月3日に公開された被害女性からターナー被告に送った手紙に続くものだ。これらの手紙は、ターナー被告の友人や家族からの手紙と同様に、ターナー被告に判決が言い渡された6月2日の前に提出された

裁判長のアーロン・パースキー判事は、ターナー容疑者に郡刑務所での6カ月の禁錮刑と、3年間の保護観察という処分を下した。しかし、ターナー容疑者が実際に収監されるのは、わずか3カ月ほどになる。

被害女性の妹からの手紙の抜粋は以下の通り。

私がブロック・ターナー被告に伝えたいのは、あなたが姉に与えたダメージは取り返しのつかないものだということです。私が一番ショックなのは、あなたが私が愛する人に対し、私の力では取り除けない苦しみを与えたことです。この1年半、私がこれまで生きてきた中で最悪の時間でした。これまでに感じたことのないような悲しみ、罪の意識、怒りを感じて過ごしてきました。

もし、あなたが姉にしたことを私の力で取り除くことができるのなら、私は姉がこれまでに数えきれないくらい抱えてきた苦しみに、今後も向かい合っていくつもりです。でも、私はあなたが姉にした過ちを取り消すことはできませんし、あなたが姉から奪った部分を埋め合わせてあげることもできません。これまで私が姉を必要としている時、姉はずっと私のそばで力になってくれたのに、私にはどうすることもできないのです。

あなたが姉を暴行した瞬間、それは、ただの始まりにすぎません。あなたは今回の事件が発覚した後で、姉まで巻き込んで自分を擁護しようとしたのです。今回の事件で、「過ちを犯した2人の泥酔した若者」というコメントを読んだ時、アルコールの問題にすれば自分が行った、歪んだ、人を傷つけ、吐き気のするような行動を帳消しにできると考えているあなたのような人間が存在することに、とても激しい絶望を感じました。

女性が一人で酔いつぶれて倒れているのを見たら、どうしてその女性の友達を探そうとしないのですか? 私は姉を探しそうとしていました。あなたに良心の呵責はないのですか? そして本当に教えてほしいのですが、あなたが罪の意識を感じているのは、姉に対して性的な暴行を加えたことに対してですか? それとも、暴行を加えている現場が見つかってしまったからですか?

この手紙の最後は、非常に心の痛む一文で締めくくられている。

「あなたは気の毒だと思っていることが、一つだけあります。あなたは、暴行する前の姉がどんな人間だったか知らない。姉は、世界で一番素晴らしい人間なのです」

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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