「政治に関心持てる方法、教えます」山下雄平・参院議員に若者が聞いてみた #YoungVoice

興味あるテーマが一つだけあれば、政治に関心が持てる。

7月の参院選では、18歳以上が初めて投票できるようになる。新しい世代が参加することで「政治が変わる」ことに期待が高まっているが、そもそも若者たちの政治・選挙への関心はどこに向いているのだろうか。ハフポスト日本版は、18歳から23歳の若者と一緒に国会議員や自治体の首長らを訪ね、率直で様々な質問をぶつけてみた。

「学生時代はモテなかった」。「就職活動はうまくいかなかった」。自由民主党の山下雄平・参院議員(36)は、国会議員の中では若者と年齢が近いこともあり、田嶋嶺子さん(20) 、吉川敦也さん(18)、林広一郎さん(18)の質問に対してざっくばらんに答えた。

「政治にどうやったら興味を持てるかわからない」。インタビュー中、そんな声が若者から何度も出た。では、どうしたらいいのだろう?

(左から)山下雄平・参院議員、吉川敦也さん(18)、林広一郎さん(18)、田嶋嶺子さん(20)

■「私も佐賀県から上京した。地方の状況がわかる」

——そもそも18歳選挙権に賛成、それとも反対? その理由は何でしょうか。

賛成です。将来的には、18歳より下げても良いと思いますし、17歳以下の声をより反映させるため、子供を持つ親に2票を与えるという意見もあります。選挙権を18歳に下げるメリットは様々ですが、私自身が佐賀県唐津市呼子町の出身なので、地方の若者の状況が、ある程度わかります。そうした視点からお答えしますね。

地方の若者は、就職や進学で東京など都会に行く人も少なくありません。本当はいけませんが、住民票を故郷の住所に残したままの人もいて、上京したあと投票に行きづらくなってしまう。初めて選挙に参加できる時に投票に行かないと、その後も億劫になってしまう心配があります。18歳に下げることで、引っ越す前に「投票」という経験をしやすくなるはずです。

■地元の街のことを語る政治家なら、興味が持てる

もう一つは、18歳で投票ができれば、地方を離れる前に自分の生まれ育った街の議員を選べるメリットがあります。私は大学に進学して、佐賀県から神奈川県川崎市に引っ越しましたが、20歳で初めて投票に行った時のことを覚えています。

大学が政治学科ということもあり、一生懸命勉強して投票をしようと、選挙公報を隅々まで読みました。ただ、初めて住む川崎市の選挙だったので、候補者が必死に街の課題を訴えていても、残念ながら、なかなか興味が持てない。

これがもし、自分が生まれ育った佐賀県だったら「違ったのではないか」と感じました。自分の街から立候補する議員が、地域の問題に、どう向き合うのか。町や村への思いをどんな言葉で語るのか。関心を持てたはずです。

同級生とも、政治の話題ができたかもしれません。18歳に選挙権が引き下げられることで、そういうチャンスが多くの若者に与えられるのではないでしょうか。

——山下さんは、18歳の頃は、どんな生活を送っていましたか?

熱い議論が好きな友人ばかりに囲まれていました。実家が海産物屋なので、親から送ってもらったイカのおつまみを食べながら、社会や経済について語り合いました。テストの勉強をしている途中でも、「世の中をこうしたい!」と語る人もいましたね。その友人たちは、今では各業界で活躍しています。

■会社を作って潰しても、評価される時代になる

——今の18歳と、自分が18歳の頃と比べると何が違いますか?

私の頃と比べて、社会の仕組みを変えようとしている人が多いと思います。新卒の一括採用など日本社会特有の問題はまだありますが、大学を卒業した後も、みんなと同じような「行列」に並ばず、起業をしたりベンチャー企業に就職したりする人が増えている印象です。

わずか10年ちょっとで、我々の世代と比べて、自分で道を切り開く人が増えました。会社を起こして、たとえ潰したとしても、企業がそういう経験を買って、積極的にその人を採用する時代が来ると思います。

ところで、(田嶋さん、吉川さん、林さんの)3人は初めての投票ですか?(3人ともうなずく)。

——政策を見て、一番親しみを持つ人を選んだり、実行力があったりする人を選びたいですね。でもなかなか、情報が少なくて苦労しそうです。

たとえば、興味を持っているテーマを一つに絞ってみては。LGBTに関心があったら、インターネットで検索をして、国会議員だけでなく、市議会議員や県議会議員で、LGBTについて発言をしている人を探してみる。

あるいは(お金を返さないでいい)給付型の奨学金で、大学などに進学する若者を支えようという考えがあります。これについて誰が反対しているのか、賛成しているのか。その理由も調べてみる。

みなさんの年齢では、ぎょっと感じるかもしれませんが、思い切って市役所や役場など行政機関に電話をしてもいいと思います。「奨学金の担当者はどなたですか」と聞けば、つないでくれて、質問ができます。

■まずは興味を持てる一つのテーマから

——関心ある政策は、ピンポイントでいいんですね。

そうです、そうです。だって防衛問題から、食糧問題、あるいは農業、経済、商工業、教育と全部の問題に精通している人は、政治家でもそんなにいませんよ(笑)。まずは自分の関心あるテーマを掘り下げてみる。そうすると、今の日本社会が抱える問題が映し出され、自然といろいろとつながるんです。

例えばLGBTのことを議論すれば、同性同士の結婚の話につながり、憲法のあり方を考えないといけない。あくまでも仮定の話ですが、仮に科学技術が進んで同性同士で子供を持てるようになった時に、社会としてどう対応するのか。科学技術と社会制度の話につながります。一つの話からすーっと広がるんですね。

■保護者も政治の勉強を始めるはず

——18歳だと、まだまだ政治や社会の仕組みがわかりません。中途半端な気持ちで一票を入れていいのでしょうか。

さっきお伝えしたように、まずはピンポイントのテーマから始めるのがオススメです。18歳だろうが60歳だろうが、それぞれの立場で「世の中こうなったらいいな」と考えていると思うんです。そうした声を集めていくのが選挙ですから。

政治の仕組みがわかりにくいですよね。構造的な問題として、教育を変えないといけないと思っています。例えば日本の学校では、歴史を縄文時代や卑弥呼のことなどから教え始めるので、現代史の学習時間が、十分取れないところも多いです。

結果的に、今の国の成り立ちや制度に関心を持ちづらいのもわかります。例えば消費税の問題を授業で解説して、そこから「税金はそもそもどうして、あるのだろう」という問いを立てて、日本の税金って昔はいくらぐらいだったのかな、ヨーロッパの王様はどうしてたんだろう、などと学んでいけたら興味を持ちやすいですよね。

高校生が投票できるようになって、調べたり疑問を持ち始めたりすれば、必ず、親が政治について聞かれる。そうすると、今のお父さんやお母さんなどの保護者の世代はごまかすわけにもいけませんよね。政治について勉強せざるをえない。18歳の質問を通して、政治に対する関心が広まるんです。

もちろん政治家自身も、いろいろなところに出て行って、政治の状況をどんどん発信しなくてはいけません。

■Facebookで政治家と語り合える時代

——山下さんは発信をどう工夫していますか?

ほぼ毎日1回はFacebookを更新してます。今の若い人にとって、SNSの登場で大人に接触できるハードルが下がりましたよね。私たちが高校生だった頃には考えられないインフラです。

私のところにも母校の高校生からFacebookを通したメッセージがきます。「あなたのこの意見には賛成できない」とメッセージがきたので、一晩中議論をしました。面白い時代に18歳選挙権が実現する、というのが実感です。

山下雄平・参院議員(36)

1979年佐賀県唐津市生まれ。慶應大学法学部卒業。時事通信社、日本経済新聞社の記者を経て、2013年に佐賀選挙区で参院議員初当選。趣味は恐竜について調べること。恐竜学に関心のある政治家を集めた「恐竜議連」を立ち上げた。2015年に第一子が生まれた。

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