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「政治に参加しないかぎり、自分が損をする」保坂展人・世田谷区長に若者が聞いたこと #YoungVoice

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7月の参院選では、18歳以上が初めて投票できるようになる。新しい世代が参加することで「政治が変わる」ことに期待が高まっているが、そもそも若者たちの政治・選挙への関心はどこに向いているのだろうか。ハフポスト日本版は、18歳から23歳の若者と一緒に国会議員や自治体の首長らを訪ね、率直で様々な質問をぶつけてみた。

東京都世田谷区の保坂展人区長(60)は、中学卒業時の内申書をめぐり16年に及ぶ裁判の原告となった経験から、若者の声を伝える教育ジャーナリストとして雑誌やテレビで活躍、やがて国会議員から世田谷区長に転身という異色の経歴をもつ。中堀友督さん(18)、松河晴佳さん(20)、松岡宗嗣さん(21)が、保坂氏に「若者が政治に参加する意味」を聞いた。

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保坂区長に質問する大学生ら。左から中堀友督さん(18)、松河晴佳さん(20)、松岡宗嗣さん(21)


■ 中学生で政治活動に参加。「早すぎる選択」なのか、大いに悩んだ

中堀 政治家というと、東大出身とか有名大学を出ているエリートというイメージがあるのですが、保坂さんはそういった典型的なタイプではないですよね。どうして政治家になろうとしたんですか。

保坂 私も中学2年くらいまではエリートコースのような道を歩んでいたのですが、その中学2年で大きく逸れたんです。1970年に、私が越境通学で通っていた中学校の近くでベトナム戦争に反対する集会が行われて、ちょっと覗いてみました。すると、学校から「政治活動をしてはならない。活動を続けたら地元の学校に戻ってもらう」と警告されたんです。

悩みに悩んだ結果、私は政治や社会活動に関わっていくことを選択したのですが、学校側が、政治活動に参加したことを内申書の特記事項に詳細に記したことで評価が下がり、受験した高校すべてが不合格になりました。そして定時制高校に進学したのですが、16歳になって、私は裁判に訴え、生徒の思想信条に関わることを記載することが許される内申書制度は憲法違反だと主張しました。東京地裁では勝訴しましたが、東京高裁で逆転敗訴となり、最高裁は上告を棄却。その間、16年の歳月を費やしたのです。

その後は高校を中退し、さまざまな仕事を経験しながら、教育ジャーナリストとして活動していきました。1986年、当時の社会党で初の女性党首となった土井たか子さんに注目して追いかけていくうちに政治との関わりが深まり、96年に国会議員となって、政治家の道を歩むようになりました。

もともと政治家になる道とは縁がなかったわけではないのですが、資金的なバックアップがあったわけでもないし、特別に超有名な存在だったわけでもない。そういう意味で、政治家になれたのは運が良かったですね。

私は、政治家になりたい人は信用できないんです。政治家になりたい気持ちを持つことは重要なんです。でも、汗を流して働きながら、この社会がどういうものなのかを考え、大変な思いをして涙をこらえきれなくなる…それが人々の生活じゃないですか。なのに、25歳で地方議員になる、30代になって国政に進出する、なんてトントン拍子に上手く渡り歩く人に人々の生活が理解できないですよね。そういう政治家をたくさん見てきていますが、そういう人たちはやっぱり魅力がないんです。

上に行くこと、つまり自分が国会議員になる、総理大臣になることだけが目的で政治家になるなんてつまらないことです。この社会は万人が幸福になることが理想ですが、それはなかなか難しい。でも、50%の人が幸福を感じている現状を60%にする、それが政治というものなんです。

そういうことに取り組むためには、人に対する共感力、想像力、そして人がふと話したことからその話の背景にある「話していないことを嗅ぎ分ける力」が必要です。そういう力を自分の内側に育てていくと、政治家でなくても、いろいろな仕事ができるものです。

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■ 若者は小学生と一緒になって主体的に政治や社会に参加する能力を身につけてほしい

松岡 仰るとおりだと思います。自分が携わっているLGBTも可視化されないことが問題で、LGBTの人たちがどんな問題を抱えているのか、社会全体が理解しているわけではありません。だから、共感力や想像力をもってLGBTの人たちを見てもらうことが大切だと思っています。

保坂 本当に苦しんでいる人って、「こういう理由があって、どういう時に苦しい目に合って、今こういう状態だ」ということを順序立てて説明をすることは難しいんです。何かポツリということしかできない。その一言から背景や前後関係を探りながら理解していく、それだけの力が人間には必要です。

しかし今は、世界中の人間の中でそういった共感力や想像力といったものが低下しています。だからアメリカでもドナルド・トランプのような、イスラム教徒や外国人に共感できない人が人気を集めて大統領候補にまで登りつめて、社会現象を巻き起こしている。バッサリと、強い口調で極端なことを言い、「いいから俺についてこい」タイプの独裁的な人には、強い意志を持っていない人が惹きつけられるからなんです。そうではなくて、相手の心をよく理解しながら、みんなにとっていいと思えることを自分一人ではなくてみんなで考えるように仕向けるコーディネート能力をもつことが大事なんです。

中堀 保坂さんは18歳選挙権に賛成の立場なんでしょうか。正直言うと、18歳の僕はまだ、政治に参加して行動するという意識を持っていませんでした。

保坂 18歳選挙権って、1945年に普通選挙権が認められて以来、71年ぶりの権利の拡大なんです。戦前の選挙は25歳以上の男性に限られていました。女性は投票所に行くことも、立候補もできなかったんです。それが戦後になって20歳に引き下げられ、男女同権になったのです。18歳に選挙権を与えるというのは、それ以来のことなのです。

ですが、若者が自分たちで勝ち取ったというよりも、上から決まったことだから18歳の人たちにとっては実感がないのでしょう。それが残念に思います。それでも、これまで関係のなかった選挙、政治に対する考え方が変わってくると思います。

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■ 18歳世代が声を上げれば、「自分たちで政治は動かせる」という実感をもてる

松河 高校の先生に言われたのは、「選挙に行かなかったら、政治で決まったことに何も言う権利がない」ということでした。行って投票するだけでいいから、選挙には行こうと思っていますけど…。

保坂 政治や社会活動に関わるのは、早ければ早いに越したことはありません。18歳選挙権でも遅すぎるくらいです。18歳になって模擬投票なんかを実施しても、若い人がいきなり政治的リテラシーを持つのは難しいでしょう。判断の正確さとか、政治家に対する見方とか、候補者の中でよりましな選択肢をとるとか、そういった視点は小学生から中学生、つまり10〜15歳の時期に徹底的に話し合うことによって培われます。

自分の意見を言ってみたけれど途中で間違ったことに気がついて自分の意見を取り下げて相手の意見に乗るとか、相手も歩み寄ってきて第三の道が見えてくるとか、そういった議論の末に出てくる結論を実行に移す。こうした経験を積み重ねていくと、相手の話を聞く力や自分の意見を伝える力が磨かれていくのです。つまり、政治や社会活動に主体的になって参加する「シチズンシップ教育」を子供の頃から行うことが大切になってきます。

18歳で選挙権を得た大学生たちのみなさんは、小学校に行くといいと思います。自分たちが小学校の頃に議論する体験がなかったのなら、小学生と一緒に話し合うのもいいでしょう。たとえば、「掃除の仕方を変えられないか」「学芸会は何をやるのか」といったような、身近な話題でいいんです。40人いるクラスで意見を求めて手を上げさせるやり方ではなく、小さなグループに分かれて、ワークショップ形式にして、参加している全員が自分の思っていることを言いながら意見を集約させていく作業を子供と一緒にやると、自分のためにもなるし、子供のためになる。一挙両得だと思います。

小学生たちのサポーターとなる若者自身も自分の意見が何かを考えるようになりますし、子供たちにも考える力が育ちます。

松岡 面白そうですね。そうすれば若い人たちの政治に対する関心が高くなって、投票率も上がるのでしょうか。

保坂 残念ながら、今のままでは18歳の投票率は低いままだと思います。20歳の投票率が低いままなのに、18歳だけが上がることはないでしょう。特定の年代だけでなく、若者全体の投票率を上げなくてはいけないわけですから、そのためには、社会活動や政治に参加して声を上げないかぎり自分が損をしてしまうという現実に気がつくことです。市民として政治に参加すること、そして政治について意見をたたかわせることも当たり前と思わないといけません。

保坂展人(ほさか・のぶと) 世田谷区長

1955年11月、仙台市生まれ。教育問題を中心に取材するジャーナリストを経て1996年11月、社民党から衆院議員初当選。2011年4月の世田谷区長選挙で初当選。区民参加の意見交換の場を次々と持ち、今後20年の「世田谷区基本構想」をまとめる。

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