テスラ・モーターズに試練、トラブル続きで成長にかげり

今回はテスラにとって瀬戸際だ。

テスラ社のイーロン・マスクCEO

アメリカの電気自動車メーカー「テスラ・モーターズ」は7月3日、2016年第2四半期の納車台数を1万4370台と発表した。これは株主に向けた5月の書簡で目標とした1万7000台を下回る結果となった。第1四半期も目標が1万6,000台に対して結果は1万4820台だったが、今回の数字はそれにも及ばない。

テスラ・モーターズにとってこの数週間はつらい時期だ。そして事態はさらに悪化した。

今期の問題は輸送だった。テスラが急激に生産台数を増やしたため、6月締めの四半期中に5150台の納入が間に合わなかった。

「第2四半期で急激に生産を増やしたため、第2四半期終わりの時点で注文された数千台はまだトラックや船の上にあります。テスラ社の第2四半期納品台数は予定より低く、『モデルS』9745台と『モデルX』4625台を合わせて1万4370台でした」と、テスラ社は声明の中で述べた。声明は独立記念日の連休と週末が重なった3日 、アナリストや記者がほとんど休みをとっている期間に出された。「注文を受けた5150台は、今四半期終わりの時点でまだ輸送中で、第3四半期の初めに納品されます」

前四半期の問題は供給だった。テスラ社は最新の「モデルX」に必要な部品を切らしてしまい、製造のニーズに2カ月間対応できなかった。

「第1四半期の納車台数は、1月と2月にモデルXの深刻な部品不足があり、当初の予定より長引いたことが影響しました」とテスラ社は4月のプレスリリースで述べた。「問題が解決するとすぐに製造・納品率はすみやかに改善されました。3月の最後の1週間までに、モデルXの生産率を一週間750台まで増やしましたが、四半期内にオーナーの方へ納車するまでは間に合いませんでした」

テスラは目標を達成できない、ごまかしているから成功しているか分からない会社として、投資家からの信用を再び回復させることに苦労している。

6月、テスラ社は電気自動車メーカーから世界初の再生可能エネルギーの巨大企業への転換を狙って、太陽光発電の企業「ソーラーシティ」に対し買収提案した。ウォールストリートはパネルレンタルの失敗が目立ち、受注件数が減っているために、最近太陽光発電系大企業への興味を失って取引を嫌っていることから、テスラの株価暴落につながっている。

またテスラ社は30日、自動車の自動運転機能「オートパイロット機能」を使っていた男性が死亡した件で連邦当局の捜査が入ったことを明かした。株価は値上がりしたが、今回の捜査は、テスラがリードしようとしている新しい自動運転産業への妨げになるかもしれない。

テスラは今回の危機を乗り越えるだろう。普通の経営者とは違い、マスク氏はたとえそれが有利に働いたとしても、ウォールストリートのような短期的な利益追求をしないことで知られている。そしてテスラは安全上の問題にも直面している。2年前、ある男性が盗難車のモデルSを運転して電柱に衝突し死亡した。この事故で、以前から問題視されていたテスラの安全性について議論が沸き起こった。しかしテスラ社は2016年はじめ、最新の「モデル3」の予約台数を約50万台の大台に乗せた。

それでも、今回はテスラにとって瀬戸際だ。投資家の信頼を回復するには、これまでもアピールしてきた、自動車製造と販売の両方で成功する会社になれることを証明しなければならない。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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