木星に到達した探査機ジュノー、どんなミッションがあるの?

これからジュノーは木星との長いダンスを続ける。

アメリカ東部標準時7月4日11時54分(日本時間7月5日午後0時18分)。木星へ、ようこそ!

緊迫した35分間のエンジン噴射後、NASAの探査機ジュノーはアメリカの独立記念日にあたる4日夜遅く、木星の周回軌道への投入に成功した。惑星到達までの5年間にわたる旅の中で重要な瞬間だ。

成功! エンジン噴射完了。#Juno(ジュノー)は今、#Jupiter(木星)の軌道を回っていて、木星の謎解明の準備をしています。

数億キロも離れた場所で、11億ドル(約1120億円)かけたこのミッションは35分間のエンジン噴射にすべてが懸かっていた。 最終進入で機体の速度を下げ、機体を太陽系の中で最も大きい惑星の軌道に乗せる作業だった。

「木星は遠くから見ても壮観ですが、近くから見たら間違いなく息を飲むほど壮大でしょう」とテキサス州サントニオのサウスウエスト研究所ジュノー主任研究員スコット・ボルトン氏は、4日夜の軌道投入前に発表された声明で語った。

太陽光を利用したこの探査機は予定よりほんの数秒の遅れで、このガスでできた巨大惑星の危険な軌道に入り、カリフォルニア州パサデナにあるNASAのジェット推進研究所に集まった人々から拍手喝采が沸き起こった。

NASAはその後1時間も経たないうちに、軌道投入の初期段階として最後の作業となる、電力供給のためのソーラーパネルを太陽の方向へ向ける操作を行った。

エンジン噴射完了、軌道保持。みなさんの謎を解明する準備をしています #Jupiter。よろしく。

アメリカ東部標準時午後11時18分(日本時間5日午後0時18分)にエンジン噴射が始まり、ジュノーは時速約1950キロに進行速度を落とし、惑星の重力に捉えられた。ジュノーは木星に到達するまで時速約21万キロの速度で航行していた。

「私たちには一度しかチャンスがありませんでした」と、ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)に語ったのは、ジュノーを開発、操作しているロッキード・マーティン社の宇宙開発システム部のディレクターガイ・ベウテルスチー氏 。「この接近を逃していたら、ミッションはおしまいでした」

しかし、4日の軌道投入は成功した。

これからジュノーは木星との長いダンスを続ける。この巨大な惑星の周りを20カ月かけて37回周り、木星を取り巻く雲まで最高約4180キロまで接近する、とNASAは発表した。このミッションで木星の両極を探査機が初めて通過することになるという。「この惑星の核、構成、磁界のミステリーにあたらしい答えを提供してくれるでしょう」

また、このミッションで科学者たちは私たちの太陽系について、よりよい理解を得られるだろう。NASAは動画でこう説明する。

「偶然にも、この天体の内部深くに私たちが追い求めている秘密があるのです。私たちの原始太陽系の秘密です」

この重装備の探査機は、苛酷で放射線がたくさん含まれる木星の環境に耐えられるように作られている。しかしこの高予算のミッションには予想不可能な要素がたくさんある。

「前人未到の土地に航海するのはいつも手に汗握ります。何が起こるか分かりませんから」と、NASAのジェット推進研究所のヘイディ・ベッカー氏は科学誌「ナショナルジオグラフィック」に語った。

ジュノーは、この探査船が時間をかけて木星の軌道にとらえ、すべての科学調査の装置のスイッチが入れられた後、10月19日の最終エンジン噴射が終わり次第、科学観測を始めるものとみられている。探査船は2018年2月に木星の大気の中で燃え尽き、その役目を終えることになっている。

ジュノーのミッションについての詳細はNASAのサイトを参照。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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