東京都渋谷区を皮切りに、同性パートナーシップに関する条例を制定する自治体が増えている。2016年5月には、民進、共産、生活、社民の野党4党が「LGBT差別解消法案」を国会に提出、継続審議となっている。
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどの性的マイノリティ)について、7月10日投開票の参院選で、各党はどのような政策を掲げているのか。国政政党9党の選挙公約を分析してみた。
LGBTの課題に触れているのは自民、民進、公明、共産、社民の5党。おおさか維新、生活、日本のこころ、改革の4党は、公約に見当たらなかった。
<LGBTを取り上げた党>
■自由民主党「多様性を受け入れていく環境を目指す」
性的指向・性自認に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定とともに、各省庁が連携して取り組むべき施策を推進し、社会全体が多様性を受け入れていく環境を目指します。
■民進党「LGBT差別解消法を」
多様な価値観と少数者の人権を尊重する社会をつくります。ヘイト・スピーチ対策法を発展させ、人種、民族、出身などを理由とした差別を禁止する法律をつくります。LGBT差別解消法(性的指向や性自認で差別されない法律)をつくります。
(民進党 | 参院選2016 国民との約束11 国民の自由と
人権を守る)
■公明党「性別適合手術の保険適用化」
国連人権理事会決議やオリンピック憲章に基づき、性的指向や性自認を理由とする差別のない社会をめざし、性の多様性を尊重し、性的マイノリティーへの理解
の促進を図ります。そのための法整備を推進します。
性同一性障害特例法の見直しを含め、性別適合手術の保険適用化や安心して使えるトイレの普及など、性同一性障害の当事者が、医療や職場、学校などで抱える困難の解消を図ります。
「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施」(教職員向け手引き)を基に、教員向けの研修の強化、相談体制の充実などを図ります。
■日本共産党「全自治体で同性カップル政策」
(前略)日本共産党はこの間の性的マイノリティをめぐる施策の一定の前進や社会的認知をふまえ、さらに性的マイノリティにたいする差別の解消や偏見の除去、そして生活の向上と権利の拡大のために力をつくします。(中略)
▼公的書類における不必要な性別欄を撤廃する
▼すべての自治体で、東京都渋谷区や三重県伊賀市などで導入したような、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認定する条例や施策を実現する
▼それぞれ企業が、規模に応じて、相談窓口の設置や福利厚生、社内研修など適切なSOGI、LGBT対策を実施する
▼国、自治体としてSOGI、LGBT対策に積極的にとりくむ企業の顕彰をおこなう
▼現行の「性同一性障害特例法」第3条について、未成年の子どもがいても性別の変更を可能にするとともに、性別変更の他の要件についても見直しを検討する
▼保険適用に性同一性障害をくわえ、治療のできるクリニックを拡充する
※SOGIとは、Sexual Orientation(性的指向)と Gender Identity(性自認)の頭文字をとった言葉でLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)以外も含む性的マイノリティ全体を指す言葉。「ソギ」または「ソジ」と読む。
■社会民主党「同性婚実現を目指す」
レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなどの性的マイノリティ(LGBT)への偏見解消に取り組み、直面する困難の解消や差別禁止を定めた「LGBT差別禁止法」を制定します。同性婚についても実現を目指します。
<LGBTに触れなかった党>
・おおさか維新の会
・生活の党と山本太郎となかまたち
・日本のこころを大切にする党
・新党改革
関連記事
関連記事