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「新たな使命をいただいた」 家族とともにがんと戦った南果歩さん、検診の大切さ語る

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映画やドラマ、舞台など様々な作品で活躍する女優の南果歩さん。夫である俳優・渡辺謙さんに早期の胃がんが見つかり治療を受けた翌月に、南さん自身も乳がんと診断され、手術をした。4月には主演舞台「パーマ屋スミレ」で復帰し、6月に全国公演を終えたばかりだ。

南さんは取材に対し、がんを経験したからこそ得られた心境や、家族と支えあった日々について赤裸々に語ってくれた。

夫の胃がんと、自身の乳がん。早期発見に感謝

夫(俳優・渡辺謙さん)に、早期の胃がんが発見され、手術を受けたのが2016年2月のこと。南さんは入院中の夫の看病をしながら、これを機にと、自身も検診を受け、早期の乳がんであることがわかった。夫の身体を気遣う南さんのひと言がきっかけで、夫婦ともに早期発見に至ったのだ。

「夫が舞台の仕事でニューヨークへ旅立つ前に、虫の知らせでしょうか、検診を受けたほうがいいんじゃないかと、ふとよぎったのです。彼は以前、大病を患っていますし、渡米前に絶対に人間ドックを受けて欲しいと伝えました」

この段階での発見は「幸運」だったと語る。

「夫の胃がんも私の乳がんも、幸い早期のものでした。お互い何も自覚症状がなく、元気だと思っていた時に、人間ドックで検診を受けたのが早期発見につながったのだと思います。今後の人生に関わる病気を、早い段階で見つけていただいたことは本当に幸運でした」

眠っている間に終了。内視鏡検査のイメージ変わった

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人間ドックを受けたのは今回が初めて、と語る南さんに、その印象を聞いた。

「内視鏡検査自体は10年ほど前に、一度だけ受けたことがあったのですが、そのときは意識がハッキリしている中、胃の中に入っていく感覚を受け止めながらの検査で、とても苦痛でした。ところが、先に検査をした夫に聞くと『眠っている間に終わっていた』と言うのです。私も実際に受けてみたところ、苦しくも痛くもない。患者に負担の少ない検査方法があるのだと知り、『これは変わったな』と驚きました」

検査の重要性をわかっていながらも、病院嫌いの人は多い。検査そのものに苦しいイメージがあると、どうしても足が遠のきがちだ。

「私たちは夫婦ともども、言ってみれば自営業。会社員ではないので定期的な検診を受けないまま、つい忘れてしまいがちです。だからこそ自ら時間を作って、意識的に受けるべきなのだと改めて実感しました」

内視鏡治療の進化に驚き。早期発見がカギ

内視鏡検査の進歩に驚くとともに、もうひとつの発見があったという。それは、南さんの夫の胃がん手術にて行った内視鏡治療の技術だ。

南さんの夫の胃がん手術は、口から入れる内視鏡を使って病巣を切除するか、腹部に数カ所穴を開けて行う腹腔鏡手術で切除するかの二択。医者の見立てにより「内視鏡で切除できる」と診断されたという。

内視鏡による治療は、ほかの手術に比べ、圧倒的に身体への負担が少ないことが特長だ。南さんの夫の場合はわずか3〜4日程度の入院。食事は、術前、術後の2日間にわたり取れなかったものの、数日で普通食に戻せたそうだ。

「口から入れる内視鏡手術で取れる病巣には限度があるので、これほど画期的な内視鏡治療が受けられたのも、早期の段階で発見できたことが大きなポイントになったと思います」

術後すぐに復帰できた理由は、内視鏡治療の「回復の早さ」

南さんの夫は、術後の休養期間も少ないまま、ニューヨークでの舞台公演が待っていた。無事に内視鏡治療を終えた後でも、多忙な夫を心配する日々が続いたという。

「いくら内視鏡治療で済んだとはいえ、術後に出血したりすることもあるかもしれないですし、ニューヨークまでの長いフライト中に気圧が変わることで影響があるんじゃないかって。そしてハードな舞台でしたので、とても心配でした」

毎食後に飲んでいたコーヒーを、夫の手術日から千秋楽まで絶って、夫の身体の回復をひたすら祈った。そんな南さんの思いが届いたのか、夫の身体は順調に回復し、1カ月以上にもわたる海外公演を見事に演じ切ったのだった。

「内視鏡治療って本当にすごいんですね。腹腔鏡手術が出たときも私たちは驚きましたが、内視鏡治療はもっとすごい。夫は『引きつれや痛みはない』と言っていました。開腹していないため、術後の回復は驚くほど早かったです。そのおかげで、夫は無事に海外公演をやりきることができたので、本当に感謝しています」

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命は燃やしていくもの。途中で火が途絶えないように

南さんは、俳優である夫と、自身について「身体を使う仕事をしているにもかかわらず、酷使してきた」と、これまでを振り返る。

「気持ちと身体というのは一体ではありません。気持ちが先行して、知らないうちに身体を酷使してしまう。だから、自覚症状がなくても検診を受けることで、身体の状態に気づいてあげられるのだと思います」

身体と向き合うことの大切さは、南さんがみんなに伝えたいメッセージでもあった。

「命より大事なものなんて、何もないのです。私は、少々過剰な性格なので(笑)『命かけてる!』とか『死にものぐるいで!』なんて言葉を使ってしまうのですが、それは間違っていました。命は燃やしていくもの。命をロウソクに例えるならば、最後の最後まで燃え尽くさないとダメなんです。途中でロウソクの炎が消えてしまったら、人生を全うできません。だから『命をかける』なんて言ってはいけない。自分の体をいたわりながら人生を全うすること。その時々のベストを尽くすことが大事だと今は思えます」

家族の大切さ、生きている意味を考える時間

夫の胃がん治療後に、自身の乳がんを治療。家族をサポートする立場と当事者の両方を経験した南さんは、現在、ホルモン治療やリハビリを行い、仕事に復帰した。これまでのつらい局面において、家族の存在が大きな支えになったと話す。

「乳がんの手術後、唯一受け皿になってくれたのが家族です。リアルな心境をありのままぶつけられる相手がいたというのは救いでした。電話でもLINEでも、『ああ、私もうダメかもしれない』って弱音ばかり。今振り返ると『うわあ、私あんなこと言ってたんだ』って恥ずかしくなるくらい。だけど、どんなに私が泣きごとを言っても受け止めてくれた。夫も息子も、たいしたものでした」

南さんは、今後の人生にとって必要な時間だったと、入院中の日々を振り返る。

「病気をして辛かったけれど、立ち止まる時間をいただけたと思います。家族のこと、そして自分が生きている意味を考える貴重な体験でした」

検診の重要さを伝えたい。がんを経験して得られた「使命」

南さんは、家族、そして自身の経験から、今では多くの人に検診をすすめていると明かした。「みなさん検診ぜったい受けましょう、ってちゃんと書いてくださいね」と取材中、何度も念を押されたほどだ。「もう、会う人会う人みんなに啓発活動です(笑)。家族や友人、仕事仲間にもすすめています。人間ドックで見つけてもらった私がすすめると、説得力があるみたいで、沢山の人が検診に行ってくれていますよ」と胸を張る。

「この記事をご覧になった方が、内視鏡ってそんなにすごいのなら、受けてみようかなって気持ちになっていただけたら私は本当にうれしい。だって命はかけがえのないもの。誰もが、家族や友人、仕事関係、周りの人たちにとって、なくてはならない人なんですから」

病気に対して、いいイメージを抱く人はいないだろう。だからこそ南さんは、つらい面も前向きな気持ちも、事後報告ではなく、リアルタイムに伝えていきたいと語る。それは、元気な姿を見せることで「がんを乗り越え、再び仕事に戻ることができた」というメッセージを伝えたいという思いからだった。彼女のTwitterや公式ブログに綴られた言葉にもその思いが表れている。

その決意は一体どこからくるのだろう? 南さんはこう語る。

「女優という仕事の中で、これからも色んな人間を演じていきたい。その一方で、がんと向き合ったからこそ伝えられるメッセージもあると思っています。これは私のもうひとつの『使命』だと感じています」

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(撮影:西田香織)

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