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「歳だからやる、後がないからね」 78歳で料理研究家デビューした小林まさるさん(83)の挑戦

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「定年したら何をしよう」「80歳になったらどんな毎日を送っているんだろう」
まだ遠い未来に、近い将来に、漠然とした不安を抱いている人も多いのではないだろうか。そして、そんな父親の背中を心配そうに見つめている人もいるかもしれない。

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“シニアの星”と呼ばれている料理研究家がいる。小林まさるさん、83歳。ひょんなことから70歳で調理アシスタントとしてデビューし、今なお現役で活躍している。今回、心も身体も経済面でも健康な状態である「ヘルス&ウェルネス」を掲げるメットライフ生命のパートナーシップのもとに、まさるさんにインタビューする機会を得た。定年後に新たな人生をスタートさせ、笑顔満開な日々を送っているまさるさんの元気の秘訣を聞いてみた。

■きっかけは「手伝おうか?」の親心。78歳で料理研究家に華麗なる転身

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「まさか、70歳を過ぎて料理研究家になるとは。サラリーマン時代には想像もしなかったよ」

まさるさんが調理アシスタントになったのは、ちょっとした好奇心と親心がきっかけだった。当時、まさるさんの長男の嫁・まさみさんが駆け出しの料理研究家で、忙しさに手が回らない様子を見かねたまさるさんが思わず「俺が手伝おうか?」と声をかけた。そんな親心から生まれた一言が、定年後に悠々自適な毎日を送っていたまさるさんの人生を大きく変えた。

やがて、雑誌やテレビで活躍するようになったまさみさんのアシスタントを務めるうちに、嫁と舅の息の合った二人三脚が現場スタッフの目を引いた。まさみさんの横で手も頭もフル回転させながら、料理研究家としてのノウハウも会得していった。そうして、気づけば10年。ふたり一緒にテレビの料理番組にも出演するようになり、共著で料理本も出した。今ではお互いプロ同士、肩を並べる家族でありながら、心強い同志でもある。

■樺太生まれの炭鉱勤め。波乱万丈な人生

まさるさんが生まれ育ったのは戦前の樺太。7人兄弟の長男で、父は鉱山の技術者だった。一家は中部の炭鉱町、川上村(現ロシア連邦サハリン州シネゴルスク市)に移り住んだ。周りは見渡す限りの大自然で、まさるさんたち兄弟は野山を駆け回り、魚を捕って遊んでいた。

「川にはサケがウジャウジャいたから、棒で叩いて一網打尽のわし掴みだったね。母親が家の裏で野菜を作ってたから、採れたての野菜と魚で酒のつまみとかもてなし料理をよく作ったもんだ。7歳で魚もさばいてたよ」

そして、時は終戦を迎える。追っ手のロシア軍が迫る中、父親は手榴弾を握りしめ、家族全員で死を覚悟した。まさるさんが13歳の時だった。

「特攻隊の映画を見るとね、あの時の俺の気持ちとおんなじだなぁと思うんだ。明日死ぬ、明後日死ぬ……ってね。でも結局は、生き延びた。夏はいくらでも食べ物が採れたけど、冬は厳しくてわずかな黒パンや大豆を分けあって凌いださ。どんな時でも食うことが第一だね」

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<左>生まれ故郷のサハリン(旧樺太)に向かう飛行機 <右>住んでいた家の前の通りにて

それから2年後、一家はようやく本土に引き上げ、北海道の美唄(びばい)に落ち着いた。高校を卒業すると、父親の背中を追って炭鉱に入ったまさるさんは、20歳になると早々に晩酌の味を覚えて、無類の酒好きにどんどん拍車がかかっていった。家に帰って焼酎をまず2杯、ご飯と一緒にまた2杯、テレビを見ながら、仲間と喋りながら…とストレートでがぶがぶ飲み続けていたという。

「年がら年中、誰かれ寄ると触ると酒なんだよ。ハッハッハッ」

■「自分でできることをやってたら肝臓も糖尿病もよくなった」まさる流健康術

酒浸りの生活がたたって、さすがのまさるさんも40代半ばで肝臓を壊してしまった。そんな時は、お医者さんの言うことを素直に聞いて、10年間、大好きなお酒を断ち、薬を飲み、豚バラ肉を食べて動物性タンパク質も適度に摂るなど食生活にも気をつけた。すると努力の甲斐あって体はすっかり良くなり、50代半ばでまた酒豪復活、60代後半まで1日7合を平気で飲み続けていたという。

「いくら気が若くても、体は努力しないと保てない。調子に乗って暴飲暴食すると、すぐ不調のサインが出る。掃除機をかけてて腕がだるいとか、血糖値が上がってるのも自分で分かるんだよ。糖尿病予備軍だっていう自覚もあるから、そんな時は糖分を控えたりしてるよ」

高齢になると、脂っこいものを避けて、肉を食べたくなくなる人も多い。まさるさんは、幼少期の食習慣から魚中心の食事を続けてきたが、動物性たんぱく質をバランス良く摂るために、最近は意識して肉も食べるようにしているそうだ。塩分もできるだけ控えめがいい。料理する時は、はじめは塩気の調味料は分量の半分だけ入れて、あとは出来上がりに味を見ながら足して調整するのがコツなのだそうだ。

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「毎日なにを口にするかは、歳をとるほど大事。自分で料理すれば、必要なものだけをきっちり見極めて摂れるし、何より料理は頭を使うでしょ。おいしく食べて、体にもよくて、ボケ防止! 料理は一石三鳥だな!」

■「もう歳だから」は年寄り病。年だからやらないと後がない

しかし、そんなまさるさんにも、定年後の数年間、暇を持てあましていた空白の時期があったという。大好きな釣りに、木彫りや墨絵など趣味を広げながら楽しむ一方で、第一線から退き、所在なく社会から遠のいていく虚しさ、喪失感は拭えなかったと当時を振り返る。定年まで必死に働いてきたからこそ、その反動はよけい大きいのかもしれない。

そんな時でも、「自分にできることは自分でやる」「誰かの役に立ちたい」と、まさるさん生来のチャレンジ精神は、歳を重ねても健在だった。

「昔の栄光にしがみつきながら、『もう歳だから』と口癖のように繰り返す。そういう言い訳が自分を年寄りにするんだよ。『歳だからできない、やらない』は、年寄り病だ。そんな考えは早く捨てた方がいい。歳だからやる!後がないんだから。ホラでもいいから、俺にもひと肌脱がせろってね」

■実は「主夫」「イクメン」のパイオニア

奥さんが病気がちだったことをきっかけに、結婚当初から仕事と両立して家事炊事をこなしていたというまさるさん。いわば昨今流行りの主夫やイクメンの先駆者ともいえる。

「妻は結婚当初から入退院を繰り返していたから、家にいないことも多いし、料理もあまりできなくて。でも、文句言っても始まらないし、だったら俺がやるかって。朝晩、2人の子供たちに食わせて、弁当も作ったよ」

男女は関係なく、家事は「出来る人がやればいいさ」と、トイレ掃除も平気でやってのける。それは息子の嫁に対しても同じだ。まさみさんが夢に向かって仕事を頑張ることを約束に、「動けるうちは全部やってやるからがんばんな」とまさるさんが家事の一切を引き受けている。小林家は、まさるさんと息子夫婦3人の見事なチームワークによって回っているのだ。3人のうち、誰か2人が顔を合わせると、些細な言い合いからケンカが始まることもある。するとすかさず、残りの1人が仲裁に入る。そうして最後には、みんなで一緒に食卓につく。

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「言いたいことは腹に溜めない。言い放った分、お腹いっぱい食えば、仲直りさ。70歳からあとの俺の人生は棚ボタだ。けれど、はっきり言えるよ。今が一番幸せだね!」

■あるものでササっと作れるおつまみが得意料理

78歳の時、初めての料理本「まさるのつまみ」が出版された。キッチンで飲みながら、ノートにコツコツ書き溜めたレシピは、まさに酒の肴、ササっと作れるものばかり。樺太でも、美唄でも、あるものを上手に使って料理するのが当たり前だったから、材料はわざわざ買いに行かない。冷蔵庫の残り物や乾物、缶詰を賢く使い回して作る。材料は野菜や魚介類が中心で、常備菜や副菜になるメニューも多い。シンプルな品書きだが、器選びと盛り付けには持ち前のセンスが光る。

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<左>10冊以上書き溜めているレシピノート <右>まさるさんの著書

「初めて本が出た時はうれしかったね。天にも昇るとはこのことだよ」

手軽で、目にもおいしく健康志向。まさるさんのレシピは、時代にピタリとはまっていて、ベテランの主婦はもちろん、若いお母さんたち、男女問わずの料理初心者にも好評だ。

◆ まさるのつまみ「いかワタ入りキムチ炒め」◆

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<材料2人分>いか 小1パイ(200g)、万能ネギ 1本、白菜キムチ 100g、サラダ油 大さじ1
*作り方は記事下のスライドショーをご覧ください


■まだまだやりたいことは盛りだくさん。まさるさん83歳の夢

これから先やってみたいことはと尋ねると、まさるさんは目をキラキラさせて語ってくれた。

「夢はね。男の料理学校をやってみたいんだ。定年を迎えたお父さんたちを集めて、一緒に料理を作ってさ。おいしいものを食べながら一杯やる。そんなことができたら楽しいだろうなぁって」

やりたいことをやって、自分らしく生きていく。そのためには、体の健康と同じくらい“心の健やかさ”も大切だということが、まさるさんの活き活きとした言葉や満面の笑顔から伝わってくるようだ。

よく食べること、楽しく飲むこと、大きな声で笑うこと。
“好き”はとことん、我慢せずにやること。
そんな毎日のひとつひとつがまさるさんの元気の源になっている。

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まさるのつまみ「いかワタ入りキムチ炒め」のつくり方
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私たちがより充実した人生を送るためには、身体の健康だけではなく心が健全であること、そして、経済的なリスクや不安を軽減することも大切です。

メットライフ生命では、心をケアするサポートから病気のご相談まで、“あなたに寄り添うサービス”を通して、いくつになっても活き活きと楽しく過ごす皆様を応援します。

<小林まさるさん プロフィール>
昭和8年サハリン(旧樺太)生まれ。ひょんなことから料理研究家・小林まさみの調理アシスタントになり、一躍人気者に。元々の料理好きが功を奏して、料理研究家としてテレビや雑誌で活躍している。

<著書>
●「小林まさるのカンタン!ごはん」(KADOKAWA)
●「簡単!お待たせしません!まさるのつまみ」(主婦の友社)
●「小林まさみとまさるのさわやかシニアごはん」(文化出版局)