旭山動物園、地元で根強い人気 アムールトラの赤ちゃん公開【画像集】

近年の動物園人気の先駆けとなった北海道旭川市の旭山動物園。アジア諸国からの来訪者も増えているという最近の情勢やその魅力を、画像とともに紹介する。
Wataru Nakano

近年の動物園人気の先駆けとなった旭山動物園(北海道旭川市)は、2015年度の入場者数はピークだった2007年度の約307万人からは半分ほどに減ったものの、地元を中心に根強い人気を維持しており、アジア諸国からの来訪者も増えている。最近の情勢やその魅力を、画像とともに紹介する。

旭山動物園 正式名称は「旭川市旭山動物園」。1967年に開園。日本の動物園としては最北に位置する。ホッキョクグマやペンギンなど寒冷地の動物や、ヒグマ、エゾシカ、キタキツネなど北海道産の動物とともに、ライオン、キリンなど熱帯産の動物もいる。絶滅が危惧されるフクロウ類はじめ、野生動物の保護・増殖活動にも力を入れている。

それぞれの動物が本来もつ特性、その動物の持つ最も特徴的な動きを見せる「行動展示」を重視、環境エンリッチメント(動物が退屈せずしあわせに暮らせるように飼育環境を工夫すること)に力を入れ、その動物本来の生き生きとした姿を見せることに成功、その結果、入場者数を飛躍的に伸ばした。

2004年夏には、初めて入場者数日本一を記録。旭山動物園の成功は、ほかの動物園・水族館などにも刺激を与え、社会的な関心を集めた。

旭山動物園は1990年代には廃園の危機に陥りながら、2000年代初めに全国区の人気を誇る動物園となった。フジテレビが再生物語を描いたドラマシリーズを06年から始め、09年には西田敏行主演の映画「旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ」公開された

旭山動物園の近況について、広報担当の堺井建吾さん(42)に聞いた。

旭山動物園の堺井建吾さん=旭川市

――最近の来場者の動向はどうなっていますか。

07年をピークに年々少しずつ減っています。ただ、うちの施設は300万を受け入れる規模の施設ではないのに当時は余りのフィーバーぶりでどこでも行列ができ、苦情が殺到しました。しかし、いまでは行列はできないし、ゆったりと見られます。かつて周辺の人たちは混んでいるのを嫌って来ませんでしたが、いまは地元の小学生や幼稚園児が多く訪れ、市民の憩いの広場になっています。だから、15年度の入場者数約152万人は心配する数字ではないと考えています。

東日本大震災の直後は一時、外国客が減りました。しかしここ数年は、中国や台湾、タイなど東南アジアからの客が増え、入場者の約1割を外国人が占めます。外国人に対応するため、「AR(拡張現実)リーダー」という仕組みを導入しています。園内パンフにスマホをかざすと飼育員が各国語で解説する映像と音声が流れるもので、2年前から始めました。パンフレットは現在、日本語のほか英語、中国語の簡体と繁体、韓国語をそろえていますが、冬にはタイ語も設けます。

――特に、最近の見どころはありますか。

どこが特に人気ということはないですが、ともに(国際自然保護連合の)絶滅寸前種に指定されているアムールトラと、ユキヒョウに4月、赤ちゃんが誕生しました。6月からは一般公開しています。赤ちゃんでいる期間は短いです。愛くるしいですし、お母さんが育児をしています。ぜひ、成長する姿を見ていただきたいです。

園の様子は夏と冬ではがらりと変わります。「ペンギンの散歩」は冬の積雪時だけです。一方、夏はチンパンジーとオランウータンが活発に動き回ります。ここの施設では広大なアフリカのサバンナを再現することは無理ですが、立体的な施設作りを考え、動物にストレスを与えないよう、そして、お客様が自然のあるがままの行動を間近に見ることができるように工夫しています。それが、この園の特徴である「行動展示」です。

――最近の新しい取り組みはありますか。

2013年まで古い施設を毎年一つずつリニューアルしていました。「かば館」と「きりん舎」が13年に新しくなり、1967年に開業した際の古い施設はなくなりました。カバは、水中を泳ぐ姿をじっくり見られるようになりました。

また、イベントとしては、2年前から「雪明かりの動物園」というものを実施しています。2月の旭川雪祭りの期間中、冬の夜の動物たちの動きを見てもらうものです。旭川なので、時にはマイナス15度にもなって寒いのですが、スタッフが作った氷の器「アイスキャンドル」と雪明かりで照らします。節電のため極力ライトを使いません。動物たちはほのかに浮かび上がり、園内はとてもきれいです。

通路の上にある水槽を泳ぐペンギン。

ガラス越しに男の子と目が合うチンパンジー。

アザラシの泳ぎを観察できる円柱トンネル「マリンウェイ」。

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ぺんぎん館

旭山動物園

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旭山動物園の開園時間や入園料など詳細情報は公式サイトへ:http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/

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