夜、目が覚めてしまうあなたへ。◯◯をオススメします

眠気を感じたときは昼間にも睡眠をとることで、大きなメリットを得られるという。
Young woman in bed, portrait
FogStock/Vico Images/Alin Dragulin via Getty Images
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スペイン、ギリシア、イタリア、フィリピン、ナイジェリアなどの国では、何世紀にも渡って人々がシエスタ(昼寝)を楽しんできた。歴史家によれば、このお昼寝が始まったのは古代イスラム文化や古代ローマ文化にまで遡るという。

この習慣にはちゃんとした理由がある。シエスタは、創造性、生産性や注意力を短時間で飛躍的に向上させるというのだ。2人のオーストラリア人専門家のおかげで、いまあらためてシエスタが注目を集めている。

専門家らによると、夜に加え、眠気を感じたときは昼間にも睡眠をとることで、大きなメリットを得られるという。「睡眠を分割してとるのは、むしろ自然のリズムに近いと感じる人もいます」とロイヤルメルボルン工科大学の睡眠研究家、リサーチャーメリンダ・ジャクソン氏と南オーストラリア大学のシオバン・バンクス氏は専門誌「ザ・カンバセーション」への記事の中で論じている。しかも、科学的かつ歴史的な根拠があるというのだ。

睡眠研究家のジャクソン氏とバンクス氏が、明確に「何時間の昼寝が必要だ」と決めていないことも大きい。彼らによると、睡眠を分けてとる場合はサーカディアンリズム(身体の一日のリズム)がゆっくりとなる(身体が睡眠をもっとも必要としている)タイミングで入眠することが大切だという。また、いくら睡眠を分けるといっても、合計でそれなりの時間は眠る必要がある。

ある研究によると、分割して睡眠をとる場合は、1日24時間のうちに合計7~8時間眠ると、一度に同じ時間眠った場合と同じくらいのメリットがあるという。

では、一度に眠ればいいのに、なぜ1日2回眠ることをおすすめするか説明しよう。

1日2回眠ることで、より長く眠ることができる

成人の35%以上は、現在の健康ガイドラインが推奨する7~8時間の睡眠時間に満たないと報告されている。ジャクソン氏とバンクス氏は、とくに眠りが浅く夜中や明け方に目が覚めてしまう人に、この2回にわける睡眠スタイルを推奨する。

2回にわけて寝る方が体質に合っている人にとっては、毎晩一度にきちんとした睡眠をとらなければいけないことは大きなプレッシャーになる。これについて、2人の研究者は「睡眠への不安を募らせることにつながり、また、その問題が慢性化する原因となります」と語る。

これには歴史的な根拠もある。ジャクソン氏とバンクス氏によると、人類の歴史のなかで、夜を通して眠るようになったのは、ほんのここ最近の話だというのだ。

2回にわけて眠ることは、1日に2回、とてもに活動的で発想力豊かな、集中力の高い時間を生み出すということです。1日に1回しか眠らないということは、結果的に1日のなかで眠気が生じ、生産性の低下につながります。

睡眠研究家メリンダ・ジャクソン、シオバン・バンクス

人類学者らによれば、産業革命前のヨーロッパでは、17世紀に習慣が廃れはじめるまで、2回にわける分割睡眠が一般的なことだったという。

また、昼寝は記憶力と学習能力の向上に寄与するという証拠もあり、ジャクソン氏とバンクス氏は「仕事や家族との時間にも柔軟に対応できるようになる」と説明する。

「(2回に分割して睡眠をとることは)1日に2回、非常に活動的で発想力豊かで、集中力の高い時間を生み出すということです。1日に1回しか眠らないということは結果的に、1日の中で眠気が生じ、生産性の低下につながります」と彼らはいう。

この説に納得しない専門家もいる

しかし、多くの専門家は、たしかに(シエスタの)利点はあるようだが、2回に分割して睡眠をとることが人体にどのような影響を与えるかについては、さらなる研究が必要だとしている。

「ひとつのデメリットは、2回目に起きるときには目覚めが悪いことだ」とコロラド大学ボルダー校の睡眠・時間生物学ディレクター、ケニス・ライト氏はハフポストUS版編集部に語った。

「緊急時の対応にあたる人や軍隊などで働く人など、起きてからすぐに活躍しなければいけない人にとっては、リスクとなる可能性があります」とライト氏は話した。

2015年に発表された研究によると、過去3期にわたる産業社会において、うたた寝や2回に分けて睡眠を取る習慣は一般的ではなかったという。この研究は、人類の歴史において睡眠パターンはあまり変わっておらず、(夜の間に)一度に睡眠をとることが人類にとって一般的であると主張している。

2分割して睡眠をとることに反対する理由はないが、その方がいいといえるほどの根拠もない。

コロラド大学ボルダー校睡眠・時間生物学ディレクターケニス・ライト氏

ルートヴィヒ・マクシミリアン・ミュンヘン大学人類寿命学ディレクターのティル・ローンバーグ氏は、「2回に分けた睡眠が人類の身体に及ぼす影響を解明するには、より世界的な、大規模な研究が必要だ」とハフポストUS版に話した。

しかし同時に、もし睡眠を2回に分けることでより長く眠ることができるなら、試してみるべきだと話した。

その場合も、睡眠の長さやタイミングは重要だ。身体のリズムが眠るべきだとする夜に長い睡眠を取り、その約12時間後にまた眠るのが理想的だとローンバーグ氏は述べた。

ローンバーグ氏によると、「2回に分けて長く眠ることを否定する根拠は何もありませんが、それを助長する根拠がないことも確か」だという。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳・編集しました。