「正直、いま選挙どころでは...」都知事選を前に大学生が考えること #YoungVoice

「政治とカネ」の問題で辞職した舛添要一前知事の後任を、若者たちはどんな思いで選ぶのだろうか。
Kei Yoshikawa

今回の東京都知事選(7月31日投開票)は、選挙権を得たばかりの若者にとって参院選に続く大型の選挙になる。「政治とカネ」の問題で辞職した舛添要一前知事の後任を、若者たちはどんな思いで選ぶのだろうか。ハフポスト日本版は、参院選に続いて都知事選で1票を投じる都内在住の大学生、鈴木愛海さん(20)に話を聞いた。

■「もう少し候補者を見極める時間が欲しい」

――参院選と都知事選、約1ヶ月の間に2度も大きな選挙が続きます。初めて投票した参院選と今回の都知事選、意識に違いはありますか?

参院選の時は、私と同じく初めて投票する後輩と、政党や候補者について調べました。まず、日本にはどんな政党があって、それぞれどんな主張をしているのか。その上で、自分の選挙区の候補者についてインターネットのボートマッチを使って調べたりしました。

ただ今回の都知事選ではそこまでできていません。というのも、恥ずかしながら正直、いま選挙どころじゃない状況なんです…。大抵の大学生は今の時期、前期のテスト期間に入っており、忙しい人も多いかと思います。本当だったら自分のことより東京都のことを考えなきゃいけないのですが…私たち大学生は単位も大事なので。私の場合はレポートや論文も数本抱えていて、しかも全て英語で書かなきゃいけない。なので、候補者について色々と調べる余裕が無いというのが正直なところです。

テスト期間中なので、参院選で相談しあった友達ともあまり会えていません。会話でもテストの話題しか出ないです。なんか、すみません…。選挙期間は17日間ですが、できればもう少し候補者を見極める時間が欲しいですね。

■「候補者どうしで足の引っ張り合い」 Twitterから候補者の素顔が見える

東京都知事選挙のポスター掲示場。19日午前、東京都新宿区

――どんなことを重視して投票先を選ぼうと思っていますか?

舛添前都知事が政治資金の私的流用の疑いを指摘されて辞職したので、お金にクリーンな人であることは重視したいです。自分の政治資金を、どんなことに、いくら使うのか、第三者の意見を聞く前に自分で説明できない人はちょっと…。2020年の東京オリンピックへの対応も気になります。具体的なテロ対策をしっかりしてくれる人が良いです。具体的に都民をどう守ってくれるのか、そこは気になります。あとは、都立高校の無償化を復活してほしい。その分、学生は参考書や予備校の学費などに使えるようになるので。

――どうやって候補者の情報を集めますか?また、現時点で、誰に投票するか決めていますか?

参院選でもそうでしたが、候補者の情報を調べるには新聞とテレビのニュース、あとはインターネットを活用しています。特に、候補者のTwitterは面白いですね。参院選のときは、言葉の応酬や足の引っ張り合いを見て、「この人たちが日本を動かそうとしているんだ…」と残念な気持ちになりました。

国会中継を見ていると、政治家の方たちの中には下品なヤジを飛ばしたり、寝ていたりする人がいたり、発言中に口を挟む人がいたりしますよね。私が通う大学のディベートの授業なら、先生に怒られることばかりですよ(笑)。今度の都知事選では、そういう人は選ばないように、しっかりと候補者を見極めたいと思います。まだ候補者の人たちの情報を集め切れていないので、投票先を決めてはいませんが、前日までにちゃんと調べようと思います。

■「街頭演説はネットで見た方が効率的かも」

東京都知事選挙が告示され、立候補者の街頭演説に耳を傾ける有権者ら 14日午前、東京・JR新宿駅前

――今回の都知事選で、街頭演説を目にしたり聞いたりしましたか?

自宅の最寄駅のロータリーでやっているのを見かけました。人が通れないぐらいに人が集まっていたのが印象的でした。ただ、移動している最中だったので、立ち止まって聞くことはなかったです。それに、街頭演説はYouTubeにもアップされているので、ネットで見た方が効率的かと思います。最初からゆっくり丁寧に見られるし、聞いている中で、気になったところは何度も聞き直せるので。

――選挙広報(候補者や政党の政策・信条などが掲載されたもの)は読みましたか?新聞の折り込みに入っていたり、役所など公共施設に置いてあるのですが。

参院選の時は母親からみせてもらいましたが、都知事選のものはまだ見ていないですね。今回の都知事選の選挙公報は、PDFファイルでネット上に公開されていますけど、知っている人は少ないと思います。

■「投票に行くことで、『嫌なことは嫌だ』とはっきり意思表示するべき」


――選挙権は18歳に引き下げられましたが、都道府県知事の被選挙権は30歳のままです。引き下げたほうがいいと思いますか?

難しい問題ですね。個人的には、衆議院は下げてもいいと思います。一般的に大学を卒業をする年齢である22歳が良いと思います。

でも自分で言っておいてなんですが、22歳で国会議員になれる人って、「コネクションで入ってくる2世政治家とかばっかりになるのでは」とも思います。本当に国のことを考えて立候補したいと思う人よりも、「おじいちゃんのコネで立候補しました」みたいな人が増えそうな気もします。

都道府県知事は30歳のままで良いと思います。リーダーになる人は、様々な社会経験を積んでいる人の方が良いと思いました。ただ、年齢を重ねているからといって、必ずしもリーダーとして適任だとは限らないですけど。やっぱり選挙って難しいですね。それでも、立候補した人の中から選ばなきゃいけないので。

――投票率について。参院選では18歳、19歳の投票率は45.45%でした。なぜ、若者の投票率が伸び悩んだと思いますか?

友達とも話したのですが、「投票したところで何も変わらない」と考えている18歳、19歳が多いと思いました。おそらく、自分で何かを「変えた」という経験が少ないからかなと思います。

私が通う大学の学科では、かつて授業がつまらない先生がいたのですが、学科長に直接抗議したところ、授業内容が改善されました。学費から換算すると、大学での90分1コマあたりの授業料は6000円にもなります。でも、その授業がつまらなかったら、耐えられないですよね。大学の先生たちも「6000円払って、100円ショップと同じレベルの商品がでてきたら、そりゃ怒るよね」と、たとえ話を交えて学生に理解を示していました。

これって、政治でも同じことが言えると思います。東京都民は都民税を払っているのですから、政治に不満があったり、変えてほしいことがあったら、選挙に行って意思表示をするべきだと思います。年齢を問わず、「嫌なことは嫌だ」ってはっきり言うべき。まぁ、その声が届くかどうかはまた別の話ですが…。

――どうすれば若者の投票率が上がると思いますか?

有権者の声が届いていると実感できる政治になれば、少しは変わるかなぁと思います。選挙期間だけでなく、FacebookやTwiterでリプライを飛ばしたら、必ず返してくれるとか。「ネット選挙」という言葉があるのなら、政治がもう少し若者にも身近に感じられるようになれば良いなと思います。例えば、安倍首相がチャットアプリのSnapchatをやったら、若者も政治に興味を持つかもしれませんね(笑)。他には、投票所に行けばレアなポケモンが貰えるとか…すみません、これは冗談です(笑)。

私は9月からアメリカの大学に留学するのですが、向こうの大学の公式サイトでは、大統領戦の予備選の際に「GO VOTE」と書かれた大きなバナーを出していました。地道ですが日本の大学でも、こういう取り組みを積極的に進めたら面白いのではないかと思います。

――都知事選の前に、同世代の人に向けて伝えたいことはありますか?

ポケモンGOをやりながら投票所に行けば、ポケモンも集まるし、たまごも孵化するし、一石二鳥だと思います(笑)。というのは冗談ですが、参院選で初めて投票してわかったのですが、投票すること自体は時間がかからないんですよね。5分もかからない。東京都民だったら、せっかくなので投票したほうが良いと思います。自分の意見を表明できるチャンスなので。

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