リオオリンピック、地元の人たちはどう思う?「偽善だ」「間違った投資」 一方で期待する人も

もうすぐ始まる大会への不安と期待について市民に話を聞いた。
Andre Murched/HuffPost Brazil

リオデジャネイロにあるオリンピック馬術センターの建物に掲げられている垂れ幕。ブラジル人は、今夏のオリンピック大会の自国開催について葛藤している。

ブラジルは、自国史上最大のイベントを開催しようとしているが、国民は思ったほど興奮していない。

ダッタフォーリャの最新世論調査によると、ブラジル人の3人に2人は、2016年オリンピックの開催がブラジルにとって利益より害の方が多いと信じている。

5日にリオデジャネイロでようやく幕を開けるオリンピックまでの道のりは、政治的、経済的な混乱に満ちている。ジカ熱の大流行やジルマ・ルセフ大統領の弾劾に至った政治危機が、オリンピックの準備にとって厄介な状況を作り出している。

おまけに、国営の石油会社ペトロブラスで次々に明らかになった汚職スキャンダルや原油価格の下落によって、国の資金は底をつき、リオデジャネイロ州のフランシスコ・ドルネレス知事代行は、連邦政府に緊急の資金援助を要請した。

多くのブラジル人は、国の深刻な不況や経済的苦境と、インフラ整備やオリンピック会場など大会のために費やされる110億ドル(約1兆1100億円)相当の巨額投資と折り合いをつけようと努力している。大会開催の数週間前、リオデジャネイロの新しい鉄道網の車両2、3台にスプレーでメッセージが書かれていた。「豪華な輸送網。使えない病院。どんな国なんだ?」

ハフィントンポストブラジル版は、もうすぐ始まる大会への不安と期待について市民に話を聞いた。

怒り

ダニーロさん(マーケティング)

国の医療や教育システムがこんなにひどい状況で、オリンピック大会にお金を使ったことに憤りを感じています。

国内に教育の架け橋を作れ!そこで初めて世界の愛が権力愛に打ち勝つんだ!

ジルマール・メロ・ジュニアさん(教師・販売員)

ばかばかしい試みでオリンピックのアーチを建てる前に、文化や教育分野を強化しなければなりません。私は彼らを憎み、軽蔑します。すべてがうまくいかないと思います。というか、そう願っています。もっと優先すべきことが、たくさんあると思います。どれから始めたらいいかわからないほどです

偽善

マルシアさん(看護師)

偽善です。この国ではいろいろなことが起きています。豆類の価格は高騰し、くだらない聖火リレーイベントの最中に絶滅危惧種が殺害され、公立病院は薬が足りない。それでも大会に多額のお金が使われています行き過ぎた偽善です。

現状はあまり良くない

ヴィクトル・トニオリさん(アドミンアシスタント)

リオデジャネイロは、適切に機能するために必要な資源を供給できません。たとえば外国の代表選手たちが自腹で必要なものを購入しなければならないというニュースを読んだときは、恥ずかしかったし、先が見えません。メディアはマイナス面を隠し、いい部分だけを見せると思いますが、きっと多くの観光客が強盗に遭い、暴行事件が多く発生すると思います。

ふさわしくない

ビクトリアさん(主婦)と娘のコラチさん

とても複雑です。オリンピック大会には反対していません。今のブラジルの状態で大会を開催することに反対しているんです。この国で開催すべきではありません。

準備ができていない

ニーナさん(高校生)

このオリンピックについて特に意見はありませんが、来る人全員を受け入れる準備はできていないと思います。特に今ちょうど私たちが直面している政治危機もありますし。それにまだ、明らかに完成していないものがたくさんあります。地下鉄、その他の交通手段……この国は準備できていません。

間違った投資

ダヴィド・ボグダンスキさん(サンパウロ大学生物学部の学生)

これは間違った投資だと思います。なぜなら、そこにお金を使うべきではないからです。オリンピックはどこか別の場所で開催し、お金は教育に投資するべきです。たとえば私が学んでいるサンパウロ大学(USP)には多くの問題があります。資金が不足し、人々は不満を持っていて、今後の解決策もありません。

この国を愛している、すべてがうまくいってほしい

アナ・ルシア・ジュンケイラさん(教師)

私はすべてがうまくいってくれたらと願っています。インフラの整備がまだ間に合っていないのは少し恥ずかしいです。自分の間違いを認めなかったり、カンガルーやオーストラリア代表選手たちへジョークを言うなど、エドゥアルド・パエス(リオ市長)の態度には戸惑っています。大規模なイベントですが、ブラジルは素晴らしい国です。治安部隊には警戒してほしいです。小さな事件がいくつか起きています。今は頭のおかしな素人集団が行動するのを恐れ、大会を邪魔するようなことを何もしなければと願います。 私はこの国を愛していますし、すべてがうまくいってほしいです。大会を観戦したいし、ブラジルの選手がメダルをたくさん取るのを楽しみにしています。

失敗

ルシアーナ・メロさん(ジャーナリスト)

私たちには他に優先すべきことがあるでしょう? ブラジルは「お祭りムード」です。政党や政府に反対はしません、私は公務員ですから。ただ今回の大会はいまだに容認できません。FIFAワールドカップに賛成しなかったときと同じで、今回も賛成していません。ワールドカップは失敗でした。オリンピックに賛同することはありえません。

ぐちゃぐちゃに散らかった家で客を迎えないで

アイザックさん(オフィスアシスタント)

この国の最悪な状態を考えると、開催がプラスになるとは思いません。私たちは「ぐちゃぐちゃに散らかった家」で世界最大のイベントを開催するべきではありません、そうですよね? 誰もがオリンピックを開催するのは素晴らしいことだと考えますが、現実はそうではありません。ブラジルは今、外国から恥をかいています。ブラジルに来る観光客は、もし本当に来るとすればですが、混沌とした状態で過ごすことになります。ここには、罪を犯しても処罰を免れることが増え、まともな公共交通システムがなく、このイベントを開催するのに適したインフラもありません。

なぜブラジル? なぜ、ここに暮らしている人ではなく、これから来る人をもてなすの?

ジョバニさん(デジタルマーケティング職)

オリンピックには、プラスの面とマイナスの面があります。プラス面は、国にとって大きな経済効果を見込めることです。マイナス面は、ワールドカップの時のように、約束が果たされない可能性が高いことです。当時、彼らはこの国が大発展を遂げると言っていましたが、私たちが目にしたのは経済の低迷でした。そのため、本当にこの国にとってオリンピックが重要なのかという疑問が根強く残っています。私たちは費用がかかることは知っていても、経済的効果をもたらすのかは、まだわかりません。

グローバリゼーション

カミロ・コレアさん(サンパウロ大学物理学博士課程の大学院生)

私はブラジルやラテンアメリカにとって利益になるとはあまり思えません。テロに関しては、ブラジルや世界にとって複雑な状況です。私たちはよく警戒すべきですが、この大会がプラスになると信じています。

ハフポストブラジル版英訳より翻訳・加筆しました。

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