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低所得の若者に現金を直接支給 ソウル市の独自施策に韓国政府は猛反発

2016年08月07日 01時12分 JST | 更新 2016年08月07日 01時12分 JST
OcusFocus via Getty Images
Young man abandoned lost in depression sitting on ground street subway tunnel suffering emotional pain, sadness and looking destroyed and desperate leaning on wall alone

就職難や低所得に悩む若い世代に現金を直接支給する制度を、韓国の首都・ソウル市が試行した。韓国政府はこれに猛反発している。

ソウル市は8月3日、「青年活動支援費」として、計2831人に1人あたり50万ウォン(約4万5000円)を支給した。聯合ニュースによると、ソウル市に住む満19~29歳のうち、勤務時間が30時間に満たない人に、最長6カ月間、学費や交通費、食費などの補助として、月50万ウォンを支給する制度。2016年度は3000人を対象にモデル事業として実施し、将来的に拡大する計画だ。

野党系で、社会福祉や所得分配を重視する朴元淳(パク・ウォンスン)市長の肝いり事業として2015年11月、定職につかない若者を市役所でインターンとして雇用したり、シェアハウスを提供したりするなどの施策とともに発表した

seoul mayor

朴元淳ソウル市長

この計画が発表されると、政府の保健福祉省は「若者への現金支給は、失業の根本的な解決策ではなく、モラルの低下など副作用を引き起こす」と強く反対してきた。ソウル市には保健福祉省と協議して了解を求めてきたが、政府は反対姿勢を崩さず、ソウル市が見切り発車した形だ。8月3日、政府は「若者手当」を即時中断するようソウル市に是正命令を出した。従わなければ強制的に取り消し措置も辞さないとする政府に対し、ソウル市は裁判で争う構えだ。

韓国では15~29歳の若年層の失業率が2015年で9.2%に達している。全年齢の失業率3.6%に比べて高く、大きな社会問題になっている。

ソウル市の南に隣接するベッドタウン、京畿道城南(ソンナム)市も2016年から、満24歳で3年以上居住する計約1万1300人に対し、4半期ごとに年間計50万ウォンを支給する制度を始めている。京畿道も、18~34歳の低所得者が3年間勤続して毎月10万ウォン貯金すれば、道の予算などで25万ウォンを援助し、最終的に1000万ウォン(約90万円)を貯蓄できる独自の積立制度を始めた。

財政状況の比較的良好な自治体が、独自で現金を直接支給する福祉施策を始める動きが広がっており、政府は「ポピュリズム」と警戒。自治体独自の福祉事業を国との協議事項と定めるなど、引き締めに乗り出している。

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