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「2016年7月は観測史上最も暑かった」NASAが発表、「データが操作されている」との陰謀論も

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7月は恐ろしいほど暑かったと感じたなら、その通りだ。

アメリカ航空宇宙局(NASA)アメリカ海洋大気局(NOAA)によると、2016年7月の世界の平均気温は、2015年7月に観測された記録を更新し、7月としては観測史上最も暑かった。また、記録が開始されて以来最も暑い月だったと発表した。

NOAAは8月17日、7月の世界平均気温は華氏62.01度(摂氏16.67度)で、20世紀の平均気温よりも1.57度(摂氏0.87度)高かったと発表した。NNASAも15日、観測方法は若干異なるものの、7月の世界平均気温は平均よりも1.51度(摂氏0.85度)高かったと発表。1880年に記録を開始して以来、7月は最も暑い月だった。

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科学者たちの多くは、この気温上昇を地球温暖化と関連づけている。世界の気温が記録を伸ばし続けているのは、平均気温が上昇する一方で、異常気象が今まで以上に頻繁に起こっているためだ。「7月の記録は、気候変動に対して人類が果たすべきことは、もはや些細なものではないという現実が明らかになった」と、ペンシルバニア州立大学の気候科学者、マイケル・マン名誉教授は述べた。

「日常的なニュースの見出しにも、気候変動が人間に及ぼす影響が次々と出ているが、この7月の記録は最新の事例だ」と、マン名誉教授はハフポストUS版に語った。

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NASAによると、7月は北半球で季節温度サイクルが最も高くなる月で、通常、最も世界気温が高くなるという。

NOAAは、7月で15カ月連続、世界の気温記録が更新されたと述べた。記録が開始されて以来、最長の記録更新が続いている。

NASAは世界中の6300カ所から得られる気温データを分析しているが、2016年7月で10カ月連続の記録更新となったと考えている。

■ エル・ニーニョが世界中の気象変化をもたらす

いずれの観測によっても、この傾向は気がかりであり、終わりが見えない。

2016年7月は、過去136年の観測史上、最も気温が高かった。

2015年は世界の過去の平均気温を華氏1.62度から1.8度上回り、観測史上地球で最も暑い年となり、2014年の記録をあっさりと更新した。

地球の健康診断表」と言われる、アメリカ気象学会(AMS)の年次報告書「2015年気候の現状」によると、2015年はエル・ニーニョ現象(赤道付近のペルー沖から中部太平洋にかけて、数年に1度、海水温が平年より高くなる現象)と結びついた長期にわたる気候変動で、これまでの気候に関する記録を更新している。

2016年が観測史上、最も暑い年として歴史に残るのは「ほぼ確実だ」と、NASAのゴダード宇宙科学研究ギャヴィン・シュミット所長は語る。

一方、「7月は通常、1年で最も暑い月である事実を考慮すると、この記録はそれほど驚くべきことではない」とアメリカ大気研究センターのケヴィン・トレンバース上級研究主幹はハフポストUS版に語った。

ジョージア工科大学の気候科学者、キム・コブ教授ははAP通信の取材に、「最も懸念すべきなのは記録的なエル・ニーニョ現象がやっと終息に向かっている一方で、世界の気温が上昇し続けていることだ」と語った。

エル・ニーニョが、世界中の気象変化をもたらしている。NOAAの報告によると、2015年は「地球が経験した中で少なくとも1950年以来、最も強いエル・ニーニョ現象のうちの一つ」だったという。

2015年、地球は氷河の減少、積雪、北極圏の動物や魚の種への深刻な影響、拡まるサンゴの白化現象、そして記録的なサイクロンの季節や洪水、深刻な干ばつや山火事を含む異常気象を経験した。

「重要なのは、世界中のあらゆる事象が気温の上昇と関連しているということです」と、トレンバース上級研究主幹は語った。

8月12日から発生したアメリカ・ルイジアナ州の洪水は、気温の上昇した大気がどれほど日常的な気象事象をより異常なものに変えてしまうかという事例になる、と彼は説明した。

「気温が華氏1度上昇するごとに、大気は約4%多い湿度を含むことになり、より強烈な嵐と洪水を生み出す」と、トレンバース上級研究主幹はハフポストに語った。

「この気温の急上昇と記録更新は、どちらも気候変動が加速度を増し、世の中が油断しているところに襲いかかってくるものだという警告なのです」と、アリゾナ大学環境研究所の共同主任を務めるジョナサン・T・オーバーペック氏はハフポストに語った。「異常なほど深刻な洪水は、ニュースでは上昇した大気によって起こったと伝えられましたが、干ばつが気温の上昇によって悪化していること、同様に史上最大の深刻な山火事の危険性についても忘れてはならない」

アリゾナは、6月の記録的な猛暑と、犠牲者を生んだ2015年秋の洪水に見舞われた。

■ 「地球温暖化は幻想」という陰謀論

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8月初め、バングラデシュのジャマルプール県グートハイルで洪水の被害に遭った女性が、高台に立っている。バングラデシュ災害管理局によると、約150万人が2016年の洪水で被害を受けた。

決定的な科学的根拠があるにもかかわらず、アメリカ共和党の複数の政治家は気候変動の人間への影響について否定し続けている。

オーストラリアの議員で、極右政党「ワン・ネイション」のマルコム・ロバーツ氏は、気候変動を否定する過激な主張を展開した。ロバーツによると、NASAがデータを操作して、地球温暖化の幻想を作り出しているという。当然ながら、彼はSNSで激しい非難を受けた。

ロバーツ氏の主張に対し、NASAのカレン・ノートン報道官は「科学的根拠は非常に明白だ」と、ハフポストに述べた。

「NASAによる世界の気温分析は、異なるエージェントによって提供された3つの独立するデータを用いています。データに関する品質管理チェックは、定期的に実施されています」と、ノートン氏は説明する。「NASAはこのデータの正確さに自信を持っていますし、世界の気温に関する、以前の科学的に基づいた結論を支持します」

ペンシルヴァニア州立大学のマン名誉教授は、ロバーツ氏の主張を「NASAを攻撃する議員を選び、科学機関が人を月に送り込み、近代的な宇宙計画を設計している間に、我々は本当に気候変動を否定する最悪の状況にたどり着いてしまった」と批判した。

「我々はまったく新しい陰謀論めいた考えにたどり着いてしまった」と、マン名誉教授は付け加えた、「知性の素晴らしき新世界が終焉を迎えたのです。科学的理解への認識が信頼を増すたびに、陰謀論が深く幅広く蔓延するような状況だ」

この記録は、気候変動は作り話だという地球温暖化停滞論へのまたとない反証となると、NOAAの広報担当テオ・ステイン氏はツイートした。

7月は観測史上最も暑い月。15カ月連続更新。#地球温暖化の停滞?そんなことはない。#気候変動

しかし、CO2の増加に加担している産業との対立は、アメリカの政界では棚上げになっている。

「これは練習ではない」、とシェルドン・ホワイトハウス上院議員(ロードアイランド州民主党)はハフポストUS版に寄稿した。「この最新の記録は測定結果であり、理論上の話ではない。我々が排出する二酸化炭素が気候に及ぼす影響をリアルタイムで示している。このようなニュースの見出しがいくつあれば、共和党議員たちが化石燃料産業を支援するよりも気候変動に取り組む決意をするのが大切だと気がつくだろうか」

オバマ政権は、気候変動に対して徹底した行動を起こすべきだと長い間呼びかけているが、共和党の気候変動否定派と頻繁に対立している。

アメリカ大統領選でヒラリー・クリントン氏と候補者指名を争ったバーニー・サンダース上院議員も「7月は観測史上最も暑かった月だ」とツイートした。

共和党議員たちは、いつになったら人間の健康よりも化石燃料から得られる利益を優先するのをやめるだろう?

ビル・マキベン、環境保護主義者で350.orgの共同設立者は、ハフポストに対し、たった今我々が経験している変化は、将来の地質学者たちが畏敬の念を持って振り返るようなものです、とハフポストに語った。

「我々がここで変化が起きているのを知りながら、それを止めるために何の努力もしなかったことに対する畏敬の念です」、とマキベンは述べた。

この投稿記事は、記録を更新した気温に対するさらなる反応とともに更新されています。リディア・オコナーがこのレポートを提供しました。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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