【プロキシマb】地球に似た生命の存在可能な惑星の発見には、研究チームの「ドラマ」があった

「多くの人々の努力がこの発見に結実しました」

太陽系に最も近い惑星の赤い準惑星プロキシマ・ケンタウリの周りを回るプロキシマ b の想像図。

地球から4光年と、太陽系に近いところで地球の環境に似た惑星が発見された。8カ国による研究グループによると、「我々から最も近い場所で太陽の周りを回る、地球のような惑星」だという。

「プロキシマb」と名付けられたこの惑星は、「プロキシマ・ケンタウリ」と呼ばれる恒星の周りを周回している。ヨーロッパ南天天文台(ESO)は8月24日の発表で、この惑星は水が存在するのが可能な温度で、生命が居住可能だが、研究者はまだ生命が存在するかどうかは不明だという。

ESOは発表で、「岩に包まれたこの星は地球より大きく、地球に最も近い太陽系外惑星です。そして太陽系外で最も近くにある住居可能な場所かもしれません」と述べている。

赤い恒星プロキシマ・ケンタウリは、地球からわずか4.25光年の場所にある。天文学的距離で言えばかなり遠いが、宇宙をバケツの水に見立てると、その距離の規模は一滴に過ぎない。他に発見された地球に類似した太陽系外惑星は、地球からはるか遠くにあるので、このプロキシマbの発見はより期待が高まる。

プロキシマbの地表の想像図

2016年前半、チリの研究グループは太陽系外惑星の探索のために高解像度の高精度視線速度系外惑星探査装置(HARPS)を用いてプロキシマ・ケンタウリを観察した。軌道上の星の重力に引かれていることを示す惑星のゆらぎを探るためだ。

そして、驚くような発見があった。

「惑星が存在する可能性が発見されたのは2013年でした。しかし発見は確信の持てるものではありませんでした」と、チリの研究チームを率いるロンドンのクイーン・メアリー大学のギレム・アングラーダ・エスクード教授はESOの発表で述べている。2016年、チームはプロキシマ・ケンタウリのスキャンを60日間毎日チェックした。「初めの10日間は明るい見通しがつき、20日後には期待通りになり、30日目にはほぼ間違いない結果を得られました。そこで、発表論文に取りかかったのです!」と、エスクード教授は話した。

研究グループは歴史的発見の詳細を記した科学論文を8月25日、ネイチャー誌に発表する。

以下の動画はプロキシマ・ケンタウリ系の想像図だ。

■ 科学者にとっても「生涯にまたとない経験」

ESOによると、プロキシマbは地球の約1.3倍の大きさで、約11日周期で恒星の周りを回っている。その恒星と惑星との距離は太陽と地球よりもかなり近く、わずか5%だ。

研究グループによると、プロキシマbはハビタブル・ゾーン(生命の居住可能な地域)を公転しており、水が液体の状態で存在できる地表温度だという。しかし、必ずしも生命が存在するとは限らない。赤色矮星からの放射線の影響で、地球とは大きく異なる気候の可能性もある。

この発見で、とても近い(宇宙規模での話だが)近隣の惑星に対する詳細な探査がこれから始まる。そして、この惑星が地球外生物の調査の主要な研究対象になる。

「今までも多くの太陽系外惑星が発見され、今後もさらに多くの惑星が発見されるだろう。しかし、私たちにとって、地球と類似したこの惑星を発見できたことは生涯にまたとない経験となりました」と、エスクード教授は述べた。

「多くの人々の努力がこの発見に結実しました。この結果は、また研究チーム全員の功績でもあります。プロキシマbの生命体について、調査がこれから始まります」

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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