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「夫は同性愛者でした」3人の女性が語ってくれたこと。

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woman sad no face
(写真はイメージ)

動画配信サービス「Netflix」でヒットしたオリジナルドラマ「グレース&フランキー」は、結婚して20年になる女性たちの物語。夫がゲイであると知った彼女たちの姿が、ハリウッドのユーモアたっぷりに描かれる。しかし、実際には、中年期を過ぎたカップルにとって、配偶者の同性愛カミングアウトは、胸が張り裂けるような出来事である。周りの人たちにとっても笑えることではない。

「私たちは全員、被害者です。ゲイである配偶者と、ストレート (異性愛)である配偶者、両方ともです」。アミティ・ピアース・バクストン氏は、ハフポストUS版のインタビューで語った。バクストンは、25年間連れ添った夫に同性愛をカミングアウトされた後、1986年に「ストレート・パートナー・ネットワーク」を設立した。同じ問題に悩む人々に助けの手を差し伸べるためだ。

関わる人たちが中年以上の年齢だった場合、それぞれが独自の問題に直面することになる。

「年をとると、新しい人生を再構築する時間がないのです」とバクストン氏は語った。彼女の経験では、3分の1のカップルは怒ってすぐに別れ、3分の1は円満に離婚し、もう3分の1は一緒にいる方法を探るという。

「円満に退職し、パートナーと過ごす時間や、孫の訪問を喜ぶ日々を夢見る年齢の女性たちにとって、夫のカミングアウトは衝撃的な出来事です。人生を子育てに捧げてきたシニア女性の多くは、自分の価値を問いかけられるとともに、金銭的な問題に直面することになります」ヴァージニアを拠点に研究する心理学者のキンバリー・ブルックス・マゼラ氏は、ハフポストUS版に語った。

つまり、このような状況での怒りのほとんどは、配偶者の「同性愛」というに端を発するのではない。

「私を含め、多くがLGBT理解者であり、同性愛者の権利を強く支持していています」とマゼラ氏は言う。「異性愛配偶者が感じる『怒り』は、特に長く続く場合、自分が利用された、欺かれたといったものです。パートナー自身から打ち明けられない場合、怒りが最も激しいものになるようです」

実際、彼女が調査したところ、3分の2の同性愛配偶者は、自ら告白するわけではない。多くが不貞行為や、プライベートな交際やポルノなどといった他の手掛かりを発端に、配偶者に気づかれることになる。

専門家が言うには、同性愛の配偶者が自ら配偶者にカミングアウトすることは、ほとんどないという。宗教的信念や社会的制約といった外部要因によるものだ。パートナーとの真の愛情や強い友情が理由になっている場合もある。

「(狭い部屋の中に閉じこもるかのように)人生で秘密を持つのは理解できます。しかし結婚をしたのであれば、全く疑いもしない配偶者を、その部屋に入れてあげるべきです」とマゼラ氏は言う。

中には、ストレートの関係が同性愛の衝動を抑制することになると考える人もいる。これがうまく機能しない場合、同性愛の配偶者は充実し“本物”の人生を生きることができず、ストレートの配偶者と同様に、荒んでしまうのだ。

「私たちは、セクシュアル・マイノリティであることは、不道徳なことではなく病気ではないと人々に知ってもらう方法を見つけました。だから性的指向が異なる者同士の結婚がこれ以上増えることはないでしょう……もう起きないのです」とピアース・バクストンは語る。「狭い部屋の中で生きるような、内緒の結婚はもうこりごりです」

このような状況で何が起きるのか。さらに理解を深めるため、3人の女性がそれぞれの体験をハフポストUS版に語ってくれた。その物語を紹介する。

■アミティ、87歳

私たちには2人の子供がいました。本当に素晴らしい結婚でしたが、最終的には彼が離れていきました。彼は早期退職し、旅や色々なことを1人で楽しんでいましたし、そこまで深く考えていませんでした。

別れた翌年、彼からランチに誘われました。そこで、私が冷たく怒り狂った人間だったと、彼に責められたんです。その後、小さな手術を受けるために入院した彼を訪ねました。まだ麻酔の影響が残っていた彼はこう言ったのです。「話がある。僕は同性愛者だ」と。私は笑い転げて言いました。「私たちはメロドラマをやっていたの?」

彼はカトリック信者で、私と結婚するために別れを告げた恋人がいました。結婚していたときは、彼は私に対してとても誠実だったのです。

(このような場合)ショックを受け、不信感が募り、その後、現実を直視するための時間が少しかかります。あなたは自問します。「これには何の意味があるの? 私には十分な性的魅力がなかった? セックスの正しいテクニックを持ち合わせていなかった」そしてこう思うのです。「自分の人生が他人の嘘の一部だったのであれば、私は誰なの?」私の信じていたもの全てに歪みが生じました。

彼にとって(結婚生活が)刑務所のような日々だったことは、むしろ明確でした。ある日、彼は私に言いました。「これ以上、先に進むことはできない」と。そこで私は言ったんです。「もちろん、進めるわよ!」

翌日、彼は自ら命を断ちました。重すぎる人生だったのでしょう。素晴らしい人だったので、私はいっぱい泣きました。自分の人生を偽って生きなければならないことに、絶望したのだと思います。同性愛の男性は、これらのセクシュアリティとアイデンティティといった問題に直面します。子供もです。関わる人々全員が、この問題に対する答えを探すことになります。

■スーザン、51歳

約10年間の結婚生活で、夫は(別の)女性と関係を持っていると思っていました。彼がバーでダンスしていることを、誰かと電話で話しているのを聞いたのです。そして、その相手が男性であることを突き止めました。休暇中のある夜、私たちは少し飲み過ぎていました。私は夫にそのことについて尋ねると、こう答えたのです。「僕が魅力を感じるのは、いつだって男性だ」

それから数年に渡って、何度も彼に尋ねましたが、彼はただ怒るだけなので、質問もしなくなりました。でも頭の片隅にずっと残っていました。でも結婚に終止符を打つ勇気を持つには、さらに10年ほどかかりました。

2015年までに、色んな醜いことがありました。彼が自分の性的指向と折り合いをつけ、やっと私はパズルを解くことができたのです。

私は勇気を持って尋ねました。「自分が同性愛者であることに、結婚する前から気づいていたの?」彼の答えはイエスでした。その瞬間、そしてそれから長い間、この事実に対して、私は非常に複雑な感情を抱えることになったのです。怒りの感情が私のほとんどを占め、彼を嫌いになりました。しかし同時に、彼を可哀想に思う気持ちも同じくらいたくさんあったのです。「あなたが私に対して正直であれば、親友でいられたのに」と、彼に伝えたことを覚えています。それが私の望みだったと伝えました。

彼のカミングアウトは、私自身の自尊心にも少なからず影響がありました。もし20年間、一緒に暮らしていて、彼のことをそんなに知らないなんて……私に何の間違いがあったのでしょう? 誰かと会ったり、親しくしたりするのが怖くなりました。その半面、こう思いました。私は受けいられる人間なのか? 偏見や先入観を持っていないか——? 私にとって、それらはポジティブな特性です。だから、この旅を通じて、そんな視点で自分自身を見つめ直すようになりました。

子供には、こう伝えています。「完璧な世界では、私たちがみんな一緒になって休暇を過ごせるけれど、私はまだ100%ではないの」と。

この経験が、彼にとってどんなものだったのかは分かりません。きっと、狭いクローゼットから片足だけを出している状態だったのでしょう。「ゲイである」と彼は言いません。「男性に興味がある」と言います。その言葉を口にするのを恐れているようで、彼にとっては難しかったんだと思います。

■ジュディス、70代

私の体験は、多くの人々とは全く異なります。結婚する前から彼が同性愛者だと知っていました。それでも、ソウルメイトだと感じる彼に惹かれていたのです。1966年のことです。結婚前日、ディックが言いました。「話がある。君以外の女性に興味が持てない。僕は同性愛者だと思う」と。

当時、(カミングアウトしている)同性愛者はほとんどおらず、周りにもいませんでした。私は、神経症のようなものだろうと思っていましたし、彼もある意味それに同意して、セラビーに通っていました。「もっとセラビーに通ってはどうか」と尋ねたこともありました。

彼は、私に結婚を望み、私たちは結婚しました。彼が苦しんでいたこと、また男性のことを考えていたことは知りませんでした。そのことについて話し合わなかったのです。ふたり関係は不安定でした。

彼がカミングアウトしたとき、一方で私は冷静でした。そして、何かを失くすという恐ろしい感覚が押し寄せました。ただ、私はフェミニストであり、同性愛者の活動を心から支援していました。運動が始まったばかり頃です。ですから「あなたの勇気を讃える」と彼に伝えました。

もし彼が女性と寝ていたなら、私は荒んでいたでしょう。彼との居場所から、追い出されていたでしょう。私はその時、彼の人生でたった1人の女性であり、それが慰めにもなりました。深く愛した人との別れと同様に、前と同じ様には戻れないと分かりました。

彼はずっと人生で最も大切な人でした。そう、娘を持つまでは。ディックが1986年にエイズで亡くなるまで、夫との間に問題はありませんでした。私の悲しみように夫は驚きました。他の誰ともここまで繋がったことはありません。私の青春と若い頃の情熱のすべては、ディックと繋がっていたのです。でも、それを取り戻すことはもうできません——。

(Judithの全文(英語)はここから読めます)

*経験者の告白は、一部を編集・要約されています。

「ストレート・パートナー・ネットワーク」はこちら

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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