「パラリンピックが終わったら安楽死を考えている」金メダリスト、病と闘う苦しみを明かす【UPDATE】

痛みがひどくて10分しか寝られない夜もあるんです。

マリーカ・ヴェルヴート選手(WARREN LITTLE VIA GETTY IMAGES)

ベルギーの車いす陸上選手マリーカ・ヴェルヴートは、痛みで眠れないことがある。そんな時に彼女の心に浮かぶのは、金メダルと死だ。

現在37歳になるヴェルヴートは、2000年に脊椎変性疾患を発症した。体が麻痺したため、それ以来車いす生活になった。しかし車いすでも人生を楽しみたいと考えた彼女は、バスケットボールやトライアスロン、陸上などスポーツに積極的に取り組んできた。

そして、2012年に出場したパラリンピックロンドン大会では、車いす100メートルで金、200メートルで銀に輝いた。

2015年にカタールのドーハで行われたIPC陸上競技世界選手権大会の女子400メートルで、金メダルに輝いたヴェルヴート(右)(FRANCOIS NEL VIA GETTY IMAGES)

しかし、病は容赦なくヴェルヴートを襲っている。あまりの耐えがたい痛みに、彼女はリオ大会のあとに安楽死を考えていることを明かした。

「金メダルをとって笑っている私を知っている人は多いでしょう。しかし影の一面は誰も知りません。金メダルを目指していますが、痛みがひどくて10分しか寝られない夜もあります。リオ大会は私の最後の夢です。昼も夜も病気と闘わなければいけませんが、練習の手は緩めません。アスリートとしてのキャリアをリオの表彰台で終えることができたら」とフランスの新聞ル・パリジャンに語った。

また、「リオ大会の後、現役を引退するつもりです。私にはやりたいことがあります。曲芸飛行もやってみたい。それから安楽死も考え始めています」とデイリー・エクスプレス紙に語っている。

ベルギーは2002年、「世界で最もリベラルな法律」と呼ばれる、医師のほう助による自殺を認める法律を可決した。この法律の下では、3人の医師による承諾書があれば、安楽死できる

ヴェルヴートはまだ安楽死を決めたわけではない。しかし、自分の死んだ後のことはすでに想像している。

「葬儀は、教会では行いません。コーヒーとケーキを飲みながら見送ってもらうのではなく、シャンパンを飲んで『マリーカに乾杯。良い人生を送ったね。今はもっと良い場所にいる。新しい場所で幸せが訪れますように』と言ってもらいたい」とフランスの国営テレビ・フランス2に語った。

【UPDATE】 2016/09/12 23:20

9月10日に行われた車いす400メートルで、ヴェルヴートは銀メダルを獲得した。

試合後の会見で、2008年に安楽死に同意する書類にサインしていることを明かした、とBBCなどが報じた。また、「苦しみが喜びを上回る日が来たら」安楽死を選ぶことを示唆したが、「そのときはまだだ」と語った。

ヴェルヴートは会見で、これが最後のパラリンピックであること、また重い病にかかっている人にとって、安楽死という選択肢が心の平穏を与えている面があることなども訴えた。

ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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