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虐待死の子ども、0歳が6割超 背景に"母親が孤立したまま出産"

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虐待死の子ども、0歳が6割超 背景に「望まない妊娠」

2014年度中に虐待で亡くなったと確認された18歳未満の子どもは71人で、無理心中を除けば前年度より8人多い44人に上った。そのうち0歳児は27人で初めて6割を超え、15人は生後24時間以内に死亡していた。厚生労働省が16日、児童虐待による死亡事例の検証結果を公表した。

公表は05年から行われ、今回で12回目。14年度中に発生や発覚した子どもの虐待による死亡事例について、自治体からの報告をもとに検証した。

無理心中以外では39人が3歳までに亡くなり、9割近くを占めた。主な加害者は実母が28人と最も多く、次いで実父が3人だった。

亡くなった44人の子どもの実母が抱えていた問題を複数回答で聞くと、「望まない妊娠」が最多の24人で54・5%を占め、過去11回の検証の平均割合(21・7%)を大きく上回った。そのうち19人は0歳児の親だった。妊婦健診を受けていない実母も18人いた。

虐待をした動機を複数回答で聞くと、「子どもの存在の拒否・否定」(14人)、「保護を怠った」(5人)、「しつけのつもり」(4人)などが挙がった。

虐待の内容別では、「身体的虐待」が24人、「ネグレクト(育児放棄)」が15人だった。また、14年7月に東京都西東京市の中学2年の男子生徒が養父から虐待を受け、「24時間以内に自殺しろ」と迫られて自殺した事件について、今回の検証で初めて「心理的虐待による死亡」と認定した。

14年度までの3年間に乳児院や一時保護所などから家庭に戻った後で死亡した14人の事例も分析。家庭に戻ってから半年未満で亡くなった子どもが9人もいた。検証チームは「環境の変化が虐待の再発につながりやすい。少なくとも半年程度はとりわけリスクが高まる期間として養育状況を把握し、援助すべきだ」とした。

■背景に望まぬ妊娠

望まない妊娠をした母親が孤立したまま出産し、虐待につながった――。生後24時間以内に死亡した15人を分析すると、こんな背景が浮かぶ。子どもの虐待死を防ぐには、妊娠中や周産期の母親に対する支援体制の強化が求められる。

生後24時間以内に死亡した15人の加害者は、全員実母だった。14人は望まない妊娠で、11人は母子健康手帳を受け取らず妊婦健診も受けていなかった。

一方、13人の実父は同居していなかった。このうち5人は実父が特定できず、3人は行方不明などで連絡が取れなかった。

出産場所は14人が自宅としており、助産師らの立ち会いなしに産んでいた。医療機関で出産した人はおらず、社会とのつながりを持てていなかったようだ。

そのうちの一人、高校2年の女子生徒(当時17)は、自宅のトイレで女児を出産。そのまま窒息死させてしまった。妊娠後、家族や学校関係者にも言い出せないまま、大きめの服でおなかを隠し、出産前日まで高校に通っていたという。

検証に関わった関西大の山縣(やまがた)文治教授(児童福祉)は「父親が逃げてしまうなどして母子が残され孤立してしまうケースが多い。ある意味では母親が被害者の立場」と指摘する。

子育ての悩みには児童相談所が相談に応じているが、虐待があれば親子を引き離すといった強権的な役割も担う。山縣教授は「より相談に行きやすい窓口をつくることが重要だ。学校の先生や民生委員など、身近な人が悩みに気づけるような視点を持つことも、自ら相談に行けない親を救うことにつながる」と話す。

厚労省は望まない妊娠をした人を支援する事業を来年度から始める方針。児童虐待に対応する児童福祉司らを産院や助産所などに常駐させ、相談窓口につなげる計画だ。(伊藤舞虹)

abuse death

虐待で亡くなった子どもの数

(朝日新聞デジタル 2016/09/17 05:00)

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(朝日新聞社提供)