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【国連難民・移民サミット】安倍首相は2800億円出すと約束した。世界の首脳は何を語ったのか

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難民・移民に関する初のサミットが第71回国連総会で開催された。移動を強いられた人々に対する包括的で予測可能かつ持続可能な支援策や、国際的な移民に関する制度の確立を目指す「ニューヨーク宣言」が全会一致で採決された。安倍首相は今後3年間で総額28億ドル(約2800億円)規模の人道支援を行うと表明した

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パン・ギムン(潘基文)国連事務総長が発言する中、第71回国連総会議長ピーター・トムソン氏(中央)と第70回国連総会議長モーエンス・リュッケトフト氏が見守る。9月19日、国連本部の難民・移民の問題を扱うサミットの開会式で。

各国の首脳が集まってこの危機について話し合った。現在世界では6500万人が難民として住む場所を追われており、第二次世界大戦以来最も多くなっている。

「今日のサミットは、人類の移住という課題の解決へ向けた各国の共同の努力が進展したことを示しています」と、パン・ギムン国連事務総長は19日の開会式で述べた。「ある人は戦争を逃れ、ある人は機会を求めて国を離れました。難民・移民を負担とみなすべきでありません。われわれが解放しさえすれば、彼らはその力を大いに発揮してくれます」

難民の統計を見ると、ハッとさせられる。世界銀行総裁のジム・ヨン・キム総裁によると、現在の難民の半分は4年以上強制的に移動させられている。

こうした現実は難民を受け入れる国々にとって深刻な負担となる。例えば、ピュー・リサーチセンターのデータによると、欧州連合(EU)加盟国とノルウェー、スイスは、2015年に130万人の難民を受け入れた。2016年に入って減少したが、今も、ほとんど毎日のようにギリシャとイタリアの海岸沖から難民が救助されている。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の調査によると、世界にいる約600万人の就学年齢にある子供たちのうち、およそ370万人が学校教育を受けていない。学校に通っていない難民は、世界平均よりも5倍いる。


【参考記事】
難民にまつわる8のよくある質問


「難民の強制移動は人道主義的課題ですが、これまでと異なるのは、ニューヨーク宣言が今までにない効力と反響をもたらす政治的約束だということです」と、UNHCRのフィリッポ・グランディ高等弁務官は話した。「この宣言は、国際的な難民保護システムの中にずっとあった矛盾を解決するものです」

■ カナダとギリシャ、対照的な姿勢

その解決策は、ニューヨーク宣言に集約されている。難民問題で苦闘している国々への支援を向上すること、危機状況にあり保護されてはいるが絶望の淵にある難民を援助すること、児童教育、人道的援助資金と移民の移住を後援することなどが宣言にうたわれている。

サミットではまず、政府を超えて移民と難民問題に取り組む国際移住機関(IOM)が国連との関係を強化させることが決まった。

IOMのレイシー・スウィング事務総長は19日、「国連の一部となることで、外部で活動していた時よりもより効果的に情報やパートナーを共有することができるようになります。その時が来たのだと思います」と話した。

今回、特に脚光を浴びたのは、難民を快く受け入れる姿勢を示したカナダのジャスティン・トルドー首相だ。トルドー首相は19日、カナダの人道支援予算を今年度10%増額し、援助を必要とする難民の移住を推進する意向を改めて表明した。

「我が国には、支援を最も必要としている人々を常に温かく迎え入れて来た、という誇り高き歴史があります。今後数年間、さらに多くの移民や難民を喜んで歓迎致します」と述べた。「我々は暖かく、広い心でこの取り組みを主導していくつもりです」

連日計り知れない数の難民を受け入れ、難民危機に第一線で取り組んできた国々は、このサミットで国際社会への失望感を表明すると共に、より多くの国々からの支援拡充を強く求めた。

【参考記事】
「難民受け入れ」に第三の道


「古い国家、そして地方の組織では、今日我々が抱える課題に対処することはできません」と、ギリシャのアレクシス・チプラス首相は話した。ギリシャは現在、約5万7000人の難民に住居を提供している。

2015年夏、毎日何千という難民がギリシャの海岸に上陸した。「世界レベルで協力し合う、新しく効果的な方法を見つけなければなりません」と、チプラス首相は警察による監視と国境警備活動を強化すると述べた。

■ サミットですべてが解決するのか

移民危機の最前線にある国のひとつであり、2015年に100万人の難民を受け入れたドイツは、国連に国を特定した難民資金を創設するように要求した。

「我々は負荷を均衡化する、より公平な世界的戦略を必要としています」と、ドイツのゲルド・ミュラー経済協力・開発相は述べた。

一方で何人かのサミット参加者は、ニューヨーク宣言が出席する国家に対して拘束力を持たないため、どれだけの効果が見込めるかについて懸念を示した。

2013年にアメリカに亡命し、以降難民問題の活動家として活動するシリア人、サナ・ムスタファ氏は国際社会が有意義な変化をもたらす力を持ちうるかどうかについては否定的だ。「またサミットを開催しているだけでしょう」と、ムスタファ氏は言う。

サミット参加者の多くは、国際的な取り組みができない現状に対する不満をはっきりと言葉に出さなかった。

ドナルド・トゥスクEU大統領は、難民の多くがヨーロッパに流れ着く現実を踏まえ、「国連は取り組みを強化し、前例のない大量の難民への人道支援やその他の問題に対処するための資金を捻出しなければなりません」と述べた。2015年、ヨーロッパにたどり着いた難民数は急速に拡大し、いくつかの国では国境フェンスを作ることを決定している。「追いつくためにすべきことがたくさんあります」

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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