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【アメリカ大統領選】副大統領候補の討論会でトランプ陣営・ペンス氏がついたウソの数々

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MIKE PENCE
Republican vice-presidential nominee Gov. Mike Pence, right, and Democratic vice-presidential nominee Sen. Tim Kaine speak during the vice-presidential debate at Longwood University in Farmville, Va., Tuesday, Oct. 4, 2016. (Andrew Gombert/Pool via AP) | ASSOCIATED PRESS
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アメリカ大統領選で、共和党の大統領候補・ドナルド・トランプ氏が副大統領候補に指名したインディアナ州知事のマイク・ペンス氏は10月4日夜(現地時間)、最初で最後となる副大統領候補同士のテレビ討論で、トランプ氏が積み重ねたこれまでの攻撃的な発言の数々を、アメリカ人に忘れてもらうことに腐心した。

ペンス氏は、トランプ氏が実際に言ってきたことを何度も避けようとしていた。あるいは単に首を振って質問を無視したとも言える。

「トランプ氏を弁護できて嬉しい」。ペンス氏は語った。

しかしペンス氏は、実際にはトランプ氏を弁護などしていなかった。むしろ大統領候補の言ってきたことをかわしたり、完全に否定したりしていたのだ。

■ロシア

ヒラリー・クリントン氏が副大統領候補に選んだティム・ケイン上院議員(バージニア州、民主党)が、ロシアのプーチン大統領を「素晴らしいリーダー」として賞賛するトランプ氏を非難した。ペンス氏はそれを否定し、プーチン氏を「ちっぽけな、いじめっ子のリーダー」と呼んだ。だがトランプ氏は繰り返しプーチンを賞賛してきたのだ。

「プーチン氏は最近、ウクライナに介入する気がない」とトランプ氏が主張したとケイン氏が指摘すると、ペンス氏はそれを否定した。だがトランプ氏はこう言っていた

「彼はウクライナには介入する気がない、いいかい、わかってくれよ。彼はウクライナに介入する気がない、いいか? 信頼を失うよ」。

プーチンは2014年にウクライナからクリミア半島を併合した。

ペンス氏自身、最近こう言っていた。「ロシアにおけるプーチン大統領のリーダーとしての強さは、この国におけるオバマ大統領よりは強いということは議論の余地のないことだと思う」。

■核兵器

トランプ氏が「今より多くの国が核兵器を保有するべきだ」と述べたことを、ケイン氏が批判した。そこでペンス氏はこう言った。「彼はそんなこと言っていない」。しかしトランプ氏は実際にそう言ったのだ

■税金

トランプ氏が課税証明書を公開すると約束したことをケイン氏が指摘すると、ペンス氏はこう応答した、「彼は確かにそう言った」。トランプ氏は歳入庁(IRS)に監査されているため、自分の課税証明書を公開できないと何度も言っていた(ちなみに、IRSは「公開しても問題ない」としている)。トランプ氏が実際に証明書を公開するという決定的な証拠はない。息子であるドナルド・トランプ・ジュニア氏は、父親が課税証明書を公開しないのには政治的な理由以上のものがあると認めていた。それによって、非常に多くの「疑問」がわき上がるだろう。

■移民

ケイン氏は、トランプ氏が「国外追放権」を導入しようとしていると主張した。家中を、学校中を、会社中をあさって1600万人を追い出したいのだと。ペンス氏はケイン氏のこの発言を「ナンセンスだ」としている。

2015年、トランプ氏はMSNBCの「モーニング・ジョー」のインタビューで、自ら「国外追放権」という言葉を使っていた。「我々は国外追放権を持つ。そしてそれを人道的に行使する。そして我が国に、はっきり言うと、国民をもたらすのだ。この国には素晴らしい国民がいて、長い時代を経た素晴らしい国民がいるんだから」

■メキシコ人

トランプ氏がメキシコからの移民を「レイプ魔」と呼んだとケイン氏が指摘すると、ペンス氏はトランプ氏のこの発言を擁護しようとした。

「彼はこうも言っていた。『そのほとんどは良い人たちなんだ』と」。

トランプ氏の実際の発言を引用すると、こうなる。「メキシコが移民をこっちに送り込んだとき、上位層ではなかった。ドラッグを運んできたり、犯罪をもたらしたり、レイプ魔もいた。だけど、私が見たところ、一部の人はいい人たちなんだ」

■中絶

女性の中絶は処罰されるべきだというトランプ氏の発言にケイン氏が言及すると、ペンス氏はこう言った。「ドナルド・トランプ氏も私も、悲しい選択の末に中絶を選ばざるを得なかった女性を法律で罰することには決して賛成していません」。

しかしトランプ氏は中絶した女性を罰すべきと実際に発言したのだ

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討論会の直後、共和党関係者は、ペンス氏が話をそらしたとの批判に反論した。

共和党全米委員会のスポークスマンであるショーン・スパイサーがこう切り出した。「ペンス氏はなぜ味方しなかったのかって? ばかばかしい。彼はトランプ氏の政策をひとつひとつ支持していました」

ロシアのウクライナ侵攻に関するトランプ氏発言についての質問をペンス氏が無視したとハフポストUS版が指摘したが、スパイサー氏は…話をすり替えた。

「トランプ氏はあの時、明確にしていたと思いますよ...」。徐々に声を小さくして彼は言った。「率直に言って、私がもし民主党の支持者なら、ティム・ケイン氏がやったことを恥ずべきと思いますけどね。彼はヒラリー・クリントンを擁護しなかった」

民主党支持者はもちろん、ペンス氏が一晩かけてトランプ氏発言を巡る論争から逃げようとしていたと非難した。

「ペンス氏がドナルド・トランプ氏を擁護していなかったのは明らかですし、率直に言って、嘘をついていたし逃げようとしていました」。クリントン氏の選対広報担当のカレン・フィニー氏は言う。「一番ひどいのは、プーチン大統領に関してです。ドナルド・トランプ氏は、プーチン大統領がオバマ大統領よりも優れたリーダーだと発言していました。これを追及されて、ペンス氏は確かに同意していました。今夜、彼は何か決定的に違う発言をしてしまいました」

ペンス氏は、クリントン氏が人種問題で攻撃的な大統領候補だと主張した。

「クリントン氏とケイン氏は、黒人警官が差別されていると言っている」とペンスは指摘した。ペンス氏は、人々が「暗黙の偏見や組織的な人種差別を撤廃するよう法律で強制する理由付けとして、こういった悲劇を利用する」のは「本当にやめなければならない」と、ペンス氏は主張した。

ペンス氏は「トランプ氏の支持者の動機が偏見だ」と主張するクリントン氏を非難した。「ヒラリー・クリントン氏は、我々の支持者の半分は他人の不幸を楽しむような人たちだと発言した。我々の支持者は救いようのないやつらだ、アメリカ人ではないと言う。これは大変なことだ。彼女は不法移民をこれっきり断つことが出来ると信じている多くのアメリカ人に対して、次々と『~主義者』のレッテルを貼っている」

ハフポストUS版レポーターのメリッサ・ジェルセンは3月、他人の現実感覚を疑問視して中傷するのはトランプ氏の十八番だと説明していた。そしてペンス氏は、それを繰り返し使っていたのだ。

ケイン氏はこうした戦術を使わなかった。トランプ氏が「メキシコ人をレイプ魔や犯罪者呼ばわりするスピーチで選挙対策を始め、オバマ大統領がアメリカ生まれではないなどと、信用を貶める言語道断な嘘をついた」と彼は言う。クリントン選対はテレビCMで、トランプ氏自身が言ったことを単純に繰り返すという戦術を展開した。だがペンス氏はこれを「人を侮辱するキャンペーンだ」として何度も反発していた。

誰が討論会に「勝利」したか、調査の結果が確定するには数日かかる。討論会の勝ち負けが選挙の結果を左右するという決定的な証拠はない。大統領選の討論会が投票者の行動を大きく変えることは通常ない。副大統領候補の討論会ともなれば尚更だ。

ペンス氏やケイン氏の地元の州で、大統領候補の勝利を後押しできるという証拠もない。「副大統領候補の地元の州は通常、大統領候補の得票には影響がない」と、ポリティコ・マガジン4月号は書いている。「副大統領候補が地元の州でもたらす効果は実際、ゼロだ」

では、4日夜の討論に注目すべき本当の理由とは何か。2人のどちらかが実際に大統領になるかもしれないのだ。44人の歴代アメリカ大統領のうち14人が副大統領を務めたことがある。うち8人は、大統領が任期中に死亡したため任命された。

「あなたが大統領になるってことはないわよね?」グレイス・クーリッジは1920年、副大統領となった夫のカルバンに言った。「もちろんだよ」。彼はそう答えた。3年後、彼は大統領となった。

ハフポストUS版編注:ドナルド・トランプ氏は世界に16億人いるイスラム教徒をアメリカから締め出すと繰り返し発言してきた嘘ばかりつき極度に外国人を嫌い人種差別主義者ミソジニスト(女性蔑視の人たち)、バーサー(オバマ大統領の出生地はアメリカではないと主張する人たち)として知られる人物である。

ハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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