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熊本地震から半年「地元の人が、地元を助ける構造も必要」ボランティアの課題とは

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熊本地震の発生から10月14日で半年を迎えた。一連の地震で大きな被害を受けた被災地では各地で追悼式典が開かれた。熊本市では15日、市主催の慰霊祭が催され、大西一史市長をはじめ多くの市民らが献花した。

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熊本市主催の慰霊祭で献花する大西一史市長

被災地では徐々にではあるが、がれきの撤去や仮設住宅の整備などが進められている。その一方で課題となっているのが、地震から半年を迎えた今も求められるボランティア活動のあり方だ。

熊本県社会福祉協議会によると、被災地ではこれまで延べ約11万5000人のボランティアが入り、復興を支えてきた。震災以来、災害ボランティアセンターが設置された熊本市では、ピーク時の5月の連休中には1日あたり1200人を超えるボランティアが活動に従事。震災当初はボランティア需要のヒアリングや救援物資の仕分け、損壊した住宅の片付け、避難所での炊き出しや清掃などが主な活動内容だった。

被災地をめぐるボランティア活動は、今どのような状況なのか。熊本市の災害ボランティアセンターを運営する熊本市社会福祉協議会・事務局長の中川菜穂子さんに話を聞いた。

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震災直後、ハフポスト日本版の取材に応じる中川菜穂子さん

――震災から半年が経ちました。現在、どういったボランティア活動が求められていますか。

被災地では仮設住宅の整備が進み、被災した家屋の公費による解体がはじまっています。「被災した家を解体する前に荷物を出したい」というニーズが多いですね。高齢の方など、ご自身で荷物を運び出すのが難しいという方にボランティアさんを派遣しています。ただ、いまだ震度3程度の余震は続いているので、安全が確保できない場所、立ち入りが難しい場所については、申し訳ないのですがお断りしているという現状です。

熊本市内でも被害が大きかった東区・南区では、まだまだ屋根の補修に使われたブルーシートが目立っています。これだけ月日が経ってくると、木材の腐食などが進み、危険な部分もあります。どうにかしてあげたい気持ちはありますが、そういった所には立ち入れないので、もどかしい思いがあります。

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震災直後、屋根の補修にはブルーシートが使われた(2016年4月撮影)

――震災当初と比較すると、求められるニーズも変化していますね。

そうですね。ただ、日によってはニーズがばらつくので、必要な参加人数が集まることもあれば、足りないこともあります。ボランティア活動自体は、土日・祝日に実施をしています。というのも、どうしても平日はボランティアさんが集まりにくいので…。平日はニーズをヒアリングするようにしています。ニーズは1日あたり4〜5件です。細々とではありますが、ニーズがある限りゼロにはならないので、これからもボランティアは続いていくと思います。

理想としては、ボランティアに来てくださる方に「この日に参加します」と事前に予約を受け付けた上で、ニーズを平均化するということもできれば良いのですが…。その一方で、ボランティア活動は、高齢の方や障害をお持ちの方も応募対象としているので、当日そういった方の体調が悪い場合などは活動を見送ったりする場合もあります。ボランティア参加する方、受ける方、それぞれの事情でマッチングがうまくいかないという例はどうしてもありますね。

東日本大震災の被災地では、災害ボランティアのWeb上での登録システムを整備していた所もあるので、今後は我々でもシステムの整備を考えなくいてはいけないと感じています。

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熊本市災害ボランティアセンターではFacebookページで最新情報を発信している。

――システムの整備には、人的にも金銭的にも負担が大きそうですが…。

そうですね、県の社会福祉協議会では仮設住宅などの生活支援のシステムがありますが、災害ボランティアについても整備ができたらと思います。ただ、災害ボランティアセンターは災害発生時に社会福祉協議会が立ち上げ、行政とも提携をしていますが、災害のたびにどうしても運営は赤字になっています。引越しの手伝いなどの場合、トラックのリース料なども発生しますし…。そのあたりの見直しも必要になってくるかもしれません。

熊本では県全体として甚大な被害を受けているので、予算面でもどうしても十分に行き届いていないというのが現状です。また仮設住宅とみなし仮設住宅、在宅被災者の方でサポートに格差が出てきてしまうという現状もあります。

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多くの被災者が生活している仮設団地

■仮設住宅でのボランティア、被災者が気を遣って疲れてしまう例も…

――仮設住宅では、被災者にどういったサポートがありますか?

仮設住宅では、炊き出しなどのボランティアやカウンセリングや子供の心のケアをしてくださる方などにもご尽力いただいています。ただ、仮設住宅に来ていただくのは大変ありがたいのですが、場合によっては入居者の方が気を遣いすぎて、疲れてしまうという例もありました。

例えば、「先週もカウンセリングあったよね」「今日も同じようなお話があるね…。でも、行かないわけにはいかないし…」といった感じで。被災者の方達は「せっかくボランティアで来てくださったのだから…」と、なるべく全てのご支援を受けるようにしていらっしゃいます。ボランティアの受け入れの対応していた自治体の方が、疲れのせいで入院してしまった例もありました。

だからといって、被災者を「見守る」と言いながら「無関心」にならないようにしなければなりません。私たちとしては、「寄り添う」というスタンスは維持していきたいです。そのあたりのバランスが非常に難しいところです。せっかくのご支援なので、なんとかニーズとのマッチングができるように仮設住宅だけではなく、みなし仮設住宅に住む人や在宅の被災者の人にもボランティアの活動を受けられるよう、ボランティアセンターとして行政など自治体と協議しています。

――これから先のボランティア活動には、どんな課題がありますか。

震災から半年が過ぎ、どうしても熊本地震が忘れられつつある感がありまして…。新聞の紙面やテレビ画面に載る機会があれば震災に興味を示していただけますが、その機会が少なくなると、被災地への人的な応援、金銭面の支援も少なくなってしまうというのが現状です。

5月の連休あたりにはたくさんの方にお越しいただいて、全ての方に活動に参加していただくことができないということもありましたが、
今はニーズも落ちついてきています。ただ地震から半年を迎えた今も、まだまだ支援は必要です。

災害ボランティアセンターの業務を、どう着地させていくかという課題もあります。どうやって通常のボランティアセンターの業務に組み込むか。今後はニーズの推移を見ながら規模を縮小はしていきますが、これからも相談は受け続けていきます。熊本市でも自費解体、公費解体が進み更地になっている場所がありますが、益城町などは悲惨な状況が続いています。被災者の方達に不安を与えないよう、慎重に進めていきたいと考えています。

■「地元の人が、地元を助けるという構造も必要」

――ボランティア参加者の内訳は、県内と県外でどのぐらいの割合ですか?

現状、県外からの参加者が6割を占めています。地元からのボランティア参加者が伸び悩んでいるのは、課題だと感じています。ここから先も息の長いボランティアを継続するためには、地元の人が、地元を助けるという構造も必要なのではと思います。身近な人を助けていかないといけない。

先のことを考えると、地元の子供たちへの災害ボランティアに関する周知教育の必要性も感じています。地震を思い出したくないというお子さんもいますが、それでも自分が成長していく中で、地域の互助・共助・自助努力をどうやっていくのかを考えていかないといけない。今回の地震では発生直後の初動がどれだけ大切だったか、みんなが感じた点だと思います。10年、20年の長いスパンになりますが、私たちが経験したことを伝える方法を考えたいです。

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熊本地震発生から半年の集いで、犠牲者の冥福を祈り、黙とうする参加者 9月14日

――被災地には行けないけど、応援したいという人もいるかと思います。どういった方法があるでしょうか。

被災地に行けないけれど、応援したいという方には、ぜひボランティア活動への支援金などをお願いできればと思います。地震から半年が経ちますが、いまも個人の方、企業さんからもいただいており、非常に感謝をしております。

台風や水害、新しい災害が発生し、熊本地震がどうしてもクローズアップされなくなった部分がありますが、まだまだ細くて長い御支援をお願いしたいです。被災地も、やっと前を向いて長い道のりを歩き出したところ。風化させたくない。これからもどうかご支援をお願いしたいと思います。

▼震災直後の熊本の様子▼

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地震から1週間の熊本(2016年4月22日)
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