難民キャンプ「ジャングル」 撤去に抗議して暴動発生 フランス・カレー

カレーからの退去を拒む難民は逮捕や国外退去のリスクがある。

フランス北部カレーにある難民キャンプ、通称「ジャングル」の解体に伴い10月24日から立ち退きが始まり、難民の一部が抗議し、暴動が発生した。

カレーは1990年後半から中東やアフリカからイギリスに渡航しようとする難民や移民がキャンプを設営して滞在するようになった。フランス政府が2015年夏キャンプを1カ所に集め、8000人ほどの難民・移民が滞在している

キャンプの衛生環境は劣悪で、治安も悪化していることから「ジャングル」と名付けられ、地元自治体から苦情が出ていたことから、フランス政府は2016年中にキャンプを撤去し、難民認定をした人はフランス国内の別の自治体で受け入れる方針を表明した。

放火された難民キャンプの前に立つフランスの警官隊

「ジャングル」キャンプの撤去は24日の朝から開始され、そこに暮らす約6500人の難民の大半は、バスで一時収容施設に移送される予定となっている。

キャンプの解体は25日に開始される予定だと、フランス内務省の広報官が述べた。

退去開始に伴い配置につく機動隊

「我々の優先事項は移民の方々を受け入れ、フランスのしっかりした施設や住居に保護することだ」と、広報官は述べた。

「多くの人々の受け入れを望んでいる。その数は決まっていないが、24日には2000〜3000人を受け入れたいと考えている」

退去が近づく中、「ジャングル」キャンプで暴動が発生した。22日と23日夜に起きた衝突では、石などが飛び交う中、警官隊が催涙ガスを使用した。

23日、辺りが暗くなるなかキャンプ周辺に警察車両の一団が到着すると、キャンプの住民たちは叫び声や怒りの声をあげた。

#カレーの退去が進行中

6500〜10000人の難民

1000人以上の同伴者のいない未成年

1250人の警察官

540人の「公認ジャーナリスト」

大量のバス

夜間にキャンプで火の手が上がった

スカイニュースによると、フランス警察が石を投げる難民たちに催涙ガスを発射したとされている。

また、イギリスの難民支援団体「No Borders」が、退去を妨害するためにカレーに向かったとされている。

これまでの48時間で、ボランティアの人々は数千個のリュックサックを送り届け、暴動の危険を最小限にするため住人に退去の準備をするよう促した。

荷物を詰めるバッグを受け取るため、難民はキャンプ中央部のぬかるんで水たまりができたメインストリートに何時間も列を作った。

24日からは、60台のバスが数千人の同キャンプ住人を一時受け入れ施設に移送する予定となっており、彼らは一定期間内にフランスで難民申請を行わなければ国外退去処分を受けることになる。

荷物を持ち、移送待ちの列に並ぶキャンプの人々

難民たちはキャンプの端にある登録センターで家族、未成年、体力が弱っている人または病気の人、その他一人の人というグループに分類され、自分たちが行きたいと望む地域ごとに色付きのリストバンドが渡されることになっている。

支援活動員は難民に対し、家族や友人、コミュニティーが一緒に移動できる可能性を最大限に高めるため、バスの登録は一緒に行うようアドバイスしている。

退去する人数の規模が大きいため、25日と26日にはさらに85台のバスが到着する予定となっている。

カレーからの退去を拒む難民は逮捕や国外退去のリスクがあると、ボランティアの人々は警告する。

イギリス政府は「ジャングル」キャンプが閉鎖される前に、親類がいる同伴者のいない子供たちをできるだけ多くイギリスに受け入れると発表した。

キャンプの一部が燃え、煙が立ち上る

イギリスに移送された70人ほどの若者たちはデヴォンにある緊急収容施設に収容され、その後家族に引き取られるか、同国の他地域に送られることになる。

一番最近になって「ジャングル」キャンプからイギリスに到着した難民の子供たちのグループは、ついたての裏で姿が見えないようにされていた。関係者は、これは子供たちの年齢がわからないようにするためではなく、彼らの保護のためだと主張している。子供たちの年齢は、ここ数日議論の中心となっている。

移民局のロバート・グッドウィルは「我々はカレーの子供たちの安全保護に全力を尽くしており、今年はすでに数多くの同伴者のいない未成年の子供たちをイギリスに受け入れてきました」と述べた。

「我々はフランスと緊密に協力しており、喫緊の優先事項はキャンプに残っている人々に対し、撤去作業中の安全な収容施設を確保することです。政府はイギリスでの受け入れに適格な難民の判別を引き続き行っていきます。

我々は適格な未成年者のイギリスでの受け入れをできるだけ早期に行い、彼らが安全に到着できるよう引き続き注力していきます。これは合意がなされた適切なプロセス、そしてフランスの同意のもとで行われなければなりません」

今朝、#カレー #ジャングルから退去するため列に並ぶ移民たち

各地のキャンプに送られる前の難民の一時収容施設として使われる倉庫内部

支援団体「Care4Calais」の創設者クレア・モズレー氏は、「子供たちの安全確保や人々を穏便に移送するために必要な手順がしっかりと実行される前から解体作業が始まったことに非常に失望しています。人々の安全や健康よりも、施設の解体を一刻も早く行うことに重点が置かれているのは明らかです」と語った。

「これからの数日間は、難民の人々にできるだけ多くの支援と情報を提供することに注力していきます。彼らはすでに多くの困難に直面し、今は不安定な過酷な未来に向き合っています。

昨年難民に必需品の支援を行ったのは「Care4Calais」と少数のボランティアだけでした。彼らがキャンプを離れ、これまで十分な支援を行ってこなかったフランス政府の管理下におかれた場合、彼らが健全な生活を遅れるのかどうか、強い懸念を抱いています。

2月の退去の際には、受け入れ施設での必需品や、難民申請を行うために必要な通訳がいない、法律面の情報へのアクセスができないといった深刻な問題があったことが報告されています。そうしたものがなければ、彼らは不公平な退去処分を受けることになってしまいます。

さらに、フランス北部で非公認のキャンプが増加していることも懸念しています。そこではインフラ設備、水道水、トイレ、医療設備不足が深刻なため、可能であればそうした地域での直接支援も行う予定です」

ハフポストUK版より翻訳・加筆しました。

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カレー「ジャングル」キャンプ

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