アメリカ大統領選に勝利したドナルド・トランプ氏がオバマ大統領と会談した11月10日、通常行われる取材の慣習が破られた。トランプ氏は、取材される側が選んだ報道陣が帯同する「プール取材」を認めず、ワシントンD.C.へ向かった。
ホワイトハウス記者協会は交代制の取材システムを管理し、大統領が移動するときはいつでもプール取材できるようにしている。特に歴史的に重要な出来事、または、大統領の命を脅かすような出来事があるときはプール取材を行う。
選挙期間中はトランプ陣営もクリントン陣営も、それぞれの党の最近の候補者と違って、十分なプール取材ができていたわけではない。それでも民主党は、ホワイトハウスで踏襲されているプール取材に近いものだった。トランプ氏は取材記者と共に飛行機で移動せず、所用で出かけるときにも知らせず、また、遅れて来る取材陣を嘲ることさえあった。
2016年10月、ホワイトハウス記者協会のジェフ・メイソン会長は、大統領選から就任までの移行期間中、両方の大統領候補者にプール取材できるように要請した。そうしなければ、「前例に大きく反する」と、彼は書簡で述べた。
これまでのところトランプ氏の陣営からこの書簡に対する返答はないと、メイソン氏はハフポストUS版に語った。
トランプ氏の報道担当者は今のところコメントしていない。
トランプ氏は11月10日、オバマ大統領やポール・ライアン下院議長らと会談するためにニューヨークの自宅からワシントンD.C.へ飛行機で移動した。飛行中、または、車で移動中、報道陣は全く帯同しなかった。次期大統領として、これまでの慣習を破った形となった。
ホワイトハウスの取材陣はオバマ大統領を取材したが、会談後に大統領と次期大統領が一緒に座っている写真を直接撮影しただけだった。
2008年、@dougmillsnytが撮影した写真。ホワイトハウスで当時のブッシュ大統領とオバマ次期大統領が一緒にいる。今回はこうした場面がみられない。
Yahooニュースのホワイトハウス支局長で、ホワイトハウス記者協会の役員オリビエ・ノックス氏は、サウスローン(南庭)にいるトランプ氏を取材できない報道陣を心配しているが、トランプ氏がプール取材を認めなかったことのほうがより大きな問題だという。
次期大統領がメディアのプール取材なしで移動したことのほうが心配だ。有事のときに何も報道されない。
これまでの歴史をみても、911(米同時多発テロ事件)のような危機的状況の時に、プール取材は欠かせない。
ハフポストUS版は「トランプ氏が大統領になることは、報道陣にとって大きな脅威となる。記者を非難し、報道機関をブラックリスト化しているからだ」と伝えている。
トランプ氏は選挙期間中にも前例を破っている。もし就任後もホワイトハウスの慣習が守られないとなると、大統領の日常から大統領専用機の中での取材まで、あらゆるプール取材ができなくなる。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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