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「ポケモンGOは『人を外に連れ出す』という理念から生まれた」生みの親、ナイアンティック野村氏が語る

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スタートアップ企業が集まる祭典「TechCrunch Tokyo 2016」が11月17日開幕した。2016年にプロダクトをローンチした創業3年以内のスタートアップが、事業のプレゼンで競い合う目玉企画「スタートアップバトル」に114社がエントリーするなど、日本最大級のスタートアップイベントとして知られる。

今回で6年目となる同イベントの基調講演では、人気のスマホ向けゲーム「ポケモンGO」を生み出したアメリカNiantic(ナイアンティック)社のゲームディレクター、野村達雄(30)氏が登壇した。

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■ 「人を外に連れ出すプロダクトを作る」

野村氏は2011年にGoogleマップのソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートさせた。ローンチ後3カ月で世界1億ダウンロードを達成し、世界的な社会現象を巻き起こしたポケモンGOは、ゲーム制作と全く縁のなかった野村氏の何気ない思いつきからスタートした。

野村氏は2013年、Google恒例のエイプリルフールネタを考えた時に、「ポケモンがGoogleマップにいたら面白いんじゃないか」と思いついた。このアイデアは2014年4月に「Googleがポケモンマスターを募集している」というジョークを交え、Googleマップでポケモンを捕まえ、ポケモンマスターの能力をテストするための採用試験「ポケモンチャレンジ」として実現した。

2015年、野村氏はナイアンティック社に移籍する。CEOのジョン・ハンケ氏はベンチャー企業キーホール社を創業し、バーチャル地球儀ソフト「Google Earth」の原型を開発した。キーホール社がGoogleに買収された後、ハンケ氏はGoogleの社内スタートアップとしてナイアンティック社を立ち上げた。

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ナイアンティック社の創業者でCEOのジョン・ハンケ氏が動画メッセージを寄せた。「世界をよりよい場所にするための会社を作ってください」

ハンケ氏には、「人を外に連れ出し、他の人と一緒に冒険し、コミュニケーションを深めるためのプロダクトを作る」という目標があった。ハンケ氏が目を付けたのはゲームだった。家に閉じこもっている子供たちが外で遊べるゲームを作ればいいのではないかという発想で、位置情報ゲーム「Ingress」を開発した。

野村氏の「ポケモンチャレンジ」を見たハンケ氏は、「ポケモンとIngressがコラボしたら面白いのではないか」と野村氏に持ちかけ、野村氏はナイアンティック社に移籍し、プロダクトマネジャーとなった。

子供の頃からゲームをしていた野村氏は、「自分たち30歳前後の世代はみんなポケモンで育った。ポケモンのゲームをやり、アニメ、映画を見ていたから、自分をサトシに投影するとか、『ポケモンの世界に入って冒険し、ポケモンを捕まえたりバトルをしたい』という、ある種の妄想を持っていた」という。だから野村氏はハンケ氏の提案に「当然面白くなる」という確信があったと語る。

■ 「ポケモンGOもAR(拡張現実)の一部にすぎない」

今や100カ国以上でローンチされたポケモンGOだが、ナイアンテック社内ではダウンロード数や収益といった指標以上に、「全ポケモンGOユーザーが歩いた距離が45億キロメートルに達した」ことが大きな成果だったと野村氏は語る。これはおおよそ地球から冥王星くらいまでの距離だといい、「人を外に連れ出す」というハンケ氏の理念が実現した指標になったという。

野村氏はAR(拡張現実)について、「カメラがあって、その前に3DオブジェクトがあるものがARだと考えがちですが、それは一部に過ぎない」という。「ポケモンGOもARの一部。人が外に出て、普段はなんとも思っていなかった場所に新しい情報や意味を付加する、あるいはもともとあったもの、気づかなかったものを気づかせるのが広い意味でのARです」

野村氏は起業家たちに、「ARをテクノロジーという分野から切り離し、世界にどうやって影響を与えていくかを考えていただきたい」と呼びかけた。

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TechCrunch Tokyo 2016」は18日まで開催される。