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「女性の権利向上、闘わないと」 映画『未来を花束にして』登場人物の子孫は訴える

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suffragette
映画『未来を花束にして』より



20世紀初頭のイギリスで女性参政権を求めて闘った女性たちを描いた映画『未来を花束にして』が、1月27日からTOHOシネマズシャンテなどで全国公開される。そのサフラジェット(女性参政権運動の活動家)の中心人物が、メリル・ストリープ演じるエメリン・パンクハーストだ。

パンクハーストのひ孫で、DVや貧困など女性の権利問題に取り組む活動家のヘレン・パンクハーストさん(52)が12月に来日してハフィントンポストの取材に応じ、「先進国でも、男尊女卑が隠れて残っています。力を合わせて、女性の権利向上に向けて戦わないといけないんです」と語った。

あらすじ 1912年のロンドン。劣悪な環境の洗濯工場で働くモードは、同僚の夫と幼い息子と3人で慎ましく暮らしていた。ある日“サフラジェット(女性政権運動の活動家)”である友人の代わりに公聴会で証言をすることになり、工場での待遇や身の上を語る経験を通して、初めて彼女は"違う生き方を望んでいる自分"を発見する。その後モードは、WSPU(女性社会政治同盟)のカリスマ的リーダー、エメリン・パンクハーストの演説を聞き、デモにも参加するようになっていく。

emmeline pankhurst
インタビューに時答えるヘレン・パンクハーストさん=東京都千代田区

ヘレン・パンクハースト エチオピアの首都アディスアベバ生まれ。サセックス大学とエジンバラ大学で学び、社会科学の博士号を持つ。現在は女性や子供の貧困解決を支援するNGO「ケア・インターナショナル UK」のキャンペーン・アンバサダーで、「ケア USA」では水問題に取り組むチームでテクニカル・アドバイザーを務めている。家庭内暴力にさらされている女性を守り援助するため「パンクハースト・センター」を設立、運営もしている。

2012年のロンドン・オリンピックの開会式では演出としてサフラジェット運動が再現され、ヘレンとその娘ローラもサフラジェットのリーダー役として出演した。今作品では、パンクハーストさんは娘のローラさんとともにカメオ出演している。

——まず、この作品の感想を聞かせて下さい。

一つの映画として、美しくて素晴らしいできだと感じました。サフランジェットを率いた私のひいお婆さん(エメリン・パンクハースト)が作品中に登場するので、私も脚本に意見するなどしました。私的な物語である一方、そこに大きな歴史的な動きがミックスしています。特に、一人の女性が政治に目覚めていく姿を追いかけたのが良かったと思います。

——そのエメリン・パンクハーストさんについて、どういう人だったと聞いてきたんですか。

夫を早く亡くし、そのとき子供4人を抱えていました。夫はラジカルな左派の弁護士でした。ひいお婆さんは、サフラジェットに趣味のように関わったのではありません。一家の大黒柱で、かつ世界のファミニズムの母でもありました。デリケートで文才を持ち合わせる一方、パワフルで政治的な力もあったと聞いています。

——ハンガーストライキをする女性を数人で押さえつけ、鼻や口から流動食を押し流すという拷問なような場面もあります。今のイギリスからすると考えられないことです

ええ、まさに「拷問」と言う人もいるでしょう。当時の女性は選択肢がなく、ポジションも欠如し、虐待に抵抗して声を上げることができず、上げたら虐待を受ける可能性があったんです。

——ヘレンさんは、現在はどういう活動をしていますか。

本を執筆しています。また、女性の権利に関する活動をしています。私はエチオピアで生まれ、これまでの生活の半分はエチオピアで過ごし、水や衛生に関する活動をしてきました。またこの国では、かなり幼い女の子を結婚させるという風習があるので、その是非を問う活動もしています。

——エチオピアは、お父さんの仕事で携わるようになったのですか。

祖母も活動家でした。(1935年に)イタリアがエチオピアに侵攻した際、この植民地主義に抗議する意を込めて、私の父リチャードと訪れ、そこで暮らすことになったんです。

——ところで、日本に来て日本の女性の政治参加の状況についても聞いたと思います。どう捉えていますか。

来日前から聞き知っていました。イギリス下院の女性議員の比率は30%近いのに、日本の衆院で女性議員が占める割合は9%に過ぎません。日本で国会の超党派議員連盟と意見交換したのですが、政治家だけではなく、一般市民が関心を持っていると言う空気感は感じました。

参加した議員たちは皆、深い興味を持って、いろいろな策を検討しています。ただし、問題はそこに来ていない議員の人なんです。(一定割合を女性に割り当てる)クオータ制を導入するなど、何らかの法制をつくって女性議員を増やそうということにあまり積極的でない人がいるのが問題なんでしょうね。

日本とイギリスの状況は、以前に比べて良くなりました。しかし世界では、アフガニスタンやサウジアラビアなど一向に女性を取り巻く状況が改善されていないところもあります。パキスタンでマララ・ユスフザイさんが撃たれたのも、世界では、昔からの考えが根強く残っていることの一端です。

先進国でも、男尊女卑が隠れて残っています。力を合わせて、女性の権利向上に向けて戦わないといけないんです。


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映画『未来を花束にして』より
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『未来を花束にして』
キャスト:キャリー・マリガン、ヘレナ・ボナム=カーター、ブレンダン・グリーソン、アンヌ=マリー・ダフ、メリル・ストリープ
監督:サラ・ガヴロン 脚本:アビ・モーガン
2015年/イギリス/英語/1時間46分/シネマスコープ/カラー/音声5.1ch/原題:SUFFRAGETTE
提供:KADOKAWA、ロングライド 配給:ロングライド 後援:ブリティッシュ・カウンシル

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